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幼女サバイバー ⑥

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

 橋の欄干の隙間から覗き込むと、水面幅4メートルほどの小川が確かに流れていた。

 さらさらと流れる小川の水は澄んでいて、生活排水などの汚染とは無縁に見える。

 大喜びで河岸の土手を降りて、四つん這いになって小川の流れに顔を突っ込む。

 心ゆくまで綺麗な水を飲んで、ようやく一息つけた。


 これで生存ルートの第一歩、飲み水は確保できたね。

「後は、食料・・・だよね」

 上手く行けば川魚や川エビが捕れるかも。居るかな? 居るよね?

 小川の流れに沿って、上流側―――森のほうへと遡り始める。


「あっ! ツクシ!」

 少し街道から外れた土手の斜面に、見慣れた草の芽がぴょこぴょこと生えている。

 灰汁抜きもしていないのに、と、思いつつも空腹に負けて摘んだばかりのツクシを口に入れる。

「・・・うわ、苦っ・・・!」

 ツクシって普通は茹でてから水に晒して灰汁を抜くんだけど、そのまま食べちゃったものだから、口の中いっぱいに苦味が広がって、無理やり嚥下する。


 何だっけ? ツクシの灰汁は幻覚作用が有る弱い毒なんだっけ?

 あっ、そうそう、アルカロイドだ。

 アヘンとかモルヒネにも含まれている麻薬みたいな成分だったはず。


 摘み集めたツクシを小石で囲んだ小川の水に晒してみたら、少しだけ苦味が和らいだ。

 切実に栄養を欲している虚弱な体だから、ちょっと心配だけど、ツクシはカロチンが豊富な食材でも有ったはずだ。

 人参やブロッコリーにも含まれるカロチンは体内で分解される過程でビタミンAに変化するんだっけ。

 おなかを壊しませんように、と、祈りながらも、食べ過ぎない範囲内を意識しているつもりで、結構食べた。

 ダメなんだよ? 緊急避難的措置とはいえ、灰汁って過剰摂取すると人間の身体には毒だから。


 いくらか落ち着いた気分で土手に大の字で寝転がって、万一にでも、おなかを壊してしまった時を想定して、暫くは小川から離れないようにした。

 おなかを壊してしまうと脱水症状が起こるから、飲み水が無いと命に係わる。

 弱り切った子供の身体だと脱水症状に耐えられない危険もある。

 今夜は木陰で風を避けながら、ここで寝ても良いかな、なんて暢気に考える。


 ところが、だ。

 おなかが少し落ち着いたら、猛烈に頭が痒くなってきた。

 身体全体も痒くなってきたように感じる。

 たぶん、異世界ツクシに毒があって中毒症が出たわけでは無い。そう思いたい。

 一応は清潔感と身だしなみに気を使っていた現代日本人OLとしては、垢塗れの不潔な状態に耐えられるものでは無いのだ。


 せめて日が高くて暖かい内に、と、古代ローマ人の貫頭衣を思わせるワンピースを脱ぎ捨てて、すっぽんぽんになった。

 誰かに見られたとしても、毛の一本も生えていないツルペタ幼女だぞ。

 ぱんつを穿いていないことを確かめたときに、色々な場所に生えていないことは確認済みなんだよ。


 脂ぎったオッサンに言い寄られていた31歳だったときも巨乳とは言い難かったけれど、慎み深くも胸の脂肪は付いていた。

 幼少期の虐待の痕が体中に残っていて、人様の前で見せられる身体じゃなかったけどね。

 日本に居た頃の身体に比べれば、傷痕ひとつ無い幼い肌は眩しいくらいだよ。

 痩せ細った幼女に劣情を抱く余程の変態でも無ければ、今の私が素っ裸を見られても微笑ましいだけで済むはずだ。


 かわいそうに、はっきりとアバラ骨が浮くまで痩せて、骨と皮みたいなっているから、出ベソちゃんになっちゃってるね。

 幼女特有の見るからに柔らかそうな可愛さが、微塵も感じられない貧相な身体だ。

 土手に生えている柔らかそうな草を毟って揉み解し、膝丈しかない小川の流れの中に座り込んで、ゴシゴシと体を擦って垢を落とす。

 ツクシが生えているような春先だから小川の水はまだまだ冷たいけど、まだ耐えられるレベルだと思う。

 何度も水に潜って、ごわごわに絡まっていた髪を濡らし、頭皮マッサージしたり、髪を擦り合わせて体脂の汚れを可能な限り洗い流した。


 ああ・・・、気持ちいい。

 幼女って凄いね。

 シャンプーもリンスもヘアコンディショナーも無いのに、指の間を擦り抜ける髪の感触が絹糸みたいにサラサラだよ。

 昔の人は、塩や砂で歯を磨いていたんだっけ?やったこと無いけど、川底の出来るだけ目が細かい砂を掬って、人差し指の腹で歯をごしごしと擦ってみる。

 ちょっと口の中がじゃりじゃりする気もするけど、歯も磨けてスッキリした。


 おっと、日が傾いてくる前にワンピースも洗濯しておかなきゃね。

 化学繊維なんかに比べて脆そうな麻布(あさぬの)生地のワンピースを必要以上に傷めないように、生地を濡らして岩の上に貼り付けて、手のひらで叩いたり揉んだりして洗濯する。

 茶色っぽい汚れが生地から流れ出して、ぞっとしたが、何度も根気よく洗う。

 うわあ・・・、この服、生成りそのままの淡いアイボリー色だったんだ・・・。

 てっきり、灰色がかった茶色の生地だと思ってたよ。一体、どれだけ汚れていたのかと。


 食べ物シミは付いていなかったし、浮浪児になる前は、それなりの躾をされる身分の子だったのか、それとも、食べ物シミを作るほど食べる機会が無かった子なのか。

 ・・・後者だったんだろうな、って想像して悲しくなった。

 小学校へ入る前から私もネグレクトは受けていたけど、母親は家に帰って来なくとも、雨風を凌げるアパートは有った。

 食べるものなら、食べられるものを図書館で調べて山へ採りに行った末に、狩猟にまで手を染めてしまった。


「ペットは家族」って言う人が居るけど、私の価値観だと、「それ、家畜だよね」ってなる。

 家畜っていうのはね・・・、非常食なんだよ。

 犬猫なんて生産性が無い無駄メシ食らいの家畜を飼うぐらいなら、私だったら豚か雌鶏でも飼うよ。

 豚やニワトリなら育つのも早いしね!

幼女降臨エピソード⑥です。


次回から本格的にサバイバル生活が始まります!

幼女は生き抜けるのか!

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主人公に科学的知識が少ないので仕方がないのでしょうが、主人公の科学に関する記述を信用しないように後書きにでも記載してほしいところです。 大雑把にいうと、アルカロイドは窒素(アミノ基由来がほとんど)を含…
細かいかもしれないけど、山菜はカロリーがほぼないから、餓死寸前の子供が食べても消化に無駄なエネルギーを使うだけでむしろ危険ですね。収支がマイナスなので食べない方がマシです。そもそも消化器官が弱っている…
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