幼女サバイバー ④
趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。
人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。
雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。
施設に入って最初にされたことが虫下しの薬を飲まされた、なんて女子小学生は、私ぐらいだと言われたけど、イノシシだろうがシカだろうが殺らなきゃ私が死んでたんだよ。
私のネグレクト被害に気付いていながら放置していた何とか言う顔も名前も覚えていないクラス担任の女教師は、処分されたのか職場に居づらくなって辞職したのかは知らないが、教師を辞めて学習塾の講師をしているとか居ないとかって噂は聞いた気がするけど、どうでもいい奴だから真偽は知らない。
社会人になって狩猟は余りやらなくなったけど、山菜採りは趣味として続けていた。
最終的に、その山菜採りが命取りになったわけだけど、高校生の頃には、ちゃんとワナ猟の免許を取っていたし、何気に私はサバイバル能力が高かったんだよ。
銃砲の方の狩猟免許は警察の身辺調査が入るし維持コストが高いから取らなかったよ。
別に、私の素行が悪かったわけじゃなかったけど、警察の身辺調査で家庭内環境に懸念が有るとライフル銃や散弾銃など銃砲の所持は認められないって聞いていたし、銃砲って中古品でも30万円とかするんだよ。
どうにか所持許可を取れて銃砲を買ったら買ったで、弾には消費期限が有るし、鍵が掛かる部屋に鍵が掛かる保管庫を置かなきゃいけなかったりと保管場所の問題も有ったから、私はワナ猟専門だった。
中学生時代、高校生時代には、女一人で頻繁に山へ入る私の尻を狙って、何度も男たちに後を付け回されたけど、山中で追跡者を撒いたり撃退したりするのにもワナは重宝した。
どこかで刃物が手に入らないかなあ。
採集をするにも、火を起こすにも、ワナを作るにも、捕った獲物を捌くにも、やっぱり刃物は欲しい。
しっかりと食べて体力を付けて、そのうち、いつの日か熊は殺してやる。
熊を殺すにも刃物は要る。
絶対に忘れないからな。次は私が狩る番だよ。
そう、私は心に固く決意した。
町を出ると決断したら、即、行動。ぐずぐずと迷っていたら生き残れない。
空きっ腹を抱えたまま、目立たないように通りの隅っこを歩いて町の外を目指す。
靴も履いていないから、山歩きなんて大丈夫かな? って思ったけど、この子は裸足で歩き慣れていたのか、小石を踏んづけても痛くて飛び上がる、なんてことは無かった。
いくら暴力的な未開文明でも、通行人の出で立ちを見る限り革靴を履くのが標準らしくて、私の他に裸足で歩く者は居ない様子だった。この子も苦労してたんだね。
じろじろと見ないように注意しながら通行人の傾向に意識を向けてみると、存在感を主張する武器を携行していたり、プロテクター? 鎧? みたいなものを身に着けて居たりと、何らかの戦闘を職業にしているんじゃないかと思われる人たちが向かう方向と、明らかに農民だよね? って人たちが向かう方向と、旅装束っぽい恰好の人たちが向かう方向が有って、彼らとは別に、いかにも近所に住んでます、って感じの歩く方向が定まっていない人たちが居ることが分かった。
農民っぽい人たちが向かうのは農村地域、旅装束っぽい人たちが向かうのは他の町へと続く街道、戦闘職っぽい人たちが向かう方向に有るのが狩猟をするための山、あるいは森なんじゃないだろうかと推測する。
だとしたら、私が向かうべきは戦闘職っぽい人たちが向かう方向だ。
と、そこまで考えて気が付いた。
これって、自分の身を守る手段も能力も持ち合わせていないであろう浮浪児の私が、危険な狩猟場へと付いて来ようとしたら、見咎められない?
今までに見掛けた無関心な人ばかりなら関与しないだろうけど、下手に善良な人が居たら善意で騒がれて街中へと追い返される恐れがある。
如何にも現代日本人的な発想だけど、少なくとも、今の餓死寸前の私では体が動くうちに食べられる山菜を確保しないと、日を改める体力的猶予は残されて居なさそうだし、町と外部を隔てる関所的なチェックポイントで警戒されて身動きが出来ないままに死んじゃう恐れすら有る。
保護されて食べ物を与えて貰える? この、浮浪児をゴミを見る目で蔑む町で?
正直、有り得ないと思う。
そんな希望的観測を私は信じないし、そんな性格なら、とうの昔に私は死んでいた。
前世の私も随分と悲惨な目に遭ったけど、どうやら意外にプライドが高い女だったらしい私は、ひもじくても、どれだけ惨めでも、身体を売ったり盗みに手を染めたりは決してしなかった。
この貧弱なガリガリの身体でも、心は圧し折られたりしない。
ならば、今の私が取るべき行動は、誰にも見咎められずに町を脱出して、山なり森なりへと逃げ込むことだ。
絶対に負けてやらない。私は絶対に死んでやらない。
そのためには、誰も信用してはいけない。
野良猫に餌をやるような、気まぐれの中途半端な善意に殺されてなるものか。
慎重に、目立たないように、物陰に隠れるようにして、私は人の流れから距離を取って歩いた。
熊男に振るわれた暴力の痛みで体は悲鳴を上げているし、馬用の水で誤魔化しただけの空腹で手足は痺れるが、絶対に歩みは止めない。必ず自分の力で生き残ってやる。
戦闘職の人たちに付いて暫く歩くと、城門らしきチェックポイントと石造りの城壁らしき工作物が見えてきた。
幼女降臨エピソード④です。
まだ町から出られませんでした!
もうしわけございません!