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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊種 ㉒

「・・・テツさんたちも一緒に魔法の練習するよ」

「俺もか?」

 声を掛ければテツさんたちが目を丸くする。


 テツさんは“自分に魔法は使えない”と他人事みたいな顔をして見守る態勢だったけど、逃がすわけないじゃん。

 テツさんに魔法を覚えて欲しいって希望は、レイクスさんとケイナちゃんが見せた態度で明らかだもの。

 ケイナちゃんはレイクスさんと一緒に教わる気マンマンだし、残りの5人も逃がさない。


「・・・“たち”って言ったよね?」

「アチシたちもニャ?」

 ちょっと言葉が怪しい黒毛の猫っぽいお姉さんに深く頷き返す。


 この人、小国連合諸国の出身で、親に売られたらしいんだよね。

 自分を売った親の元なんかに戻って堪るかと、テツさんたちと一緒に行動しているんだって。

 言葉が王国の発音と違って怪しく聞こえるのは、出身地による差違だね。


 この大陸では統一国家時代に文字や言語は統一されたけど、発音が国々で違うんだよ。

 ウォーレス領に馴染みつつ有るエクラーダ系領民だって、訛というか多少は発音が違うし、王国の言葉にはない単語も有る。

 こっちの世界で目覚めた頃の私に上手く言葉に出来ない単語が有ったのも、この辺りの言語の差違も影響していた部分が有るはず。


 ともあれ、実の親が奴隷商に子供を売るなんて、と思うけど、日本に奴隷制が有ったら私も間違いなくバカ親に売られていただろうからね。

 このお姉さんには密かにシンパシーを感じている。

 シンパシーを感じているなら、このお姉さんも保護対象だ。

 簡単には死なせないよ。


「・・・目眩まし1つでも手札が増えれば生存率が上がるんだから、当然だよ」

「お、おう。そうだな」

 分かってるよね? と意志を込めて視線を向ければテツさんが苦笑する。


 ヨシ。言質は取ったよ。

 ケイナちゃんの思い人を死なせるわけには行かないし、テツさんの帰りを待っているヒナちゃんのためにも死なせない。

 絶対に魔法を覚えさせると決意を新たにする。


「・・・さてと。じゃあ、レイクスさんとケイナちゃんから始めますよ」

「よろしくお願いするよ」

 小娘にも嫌味なく頭を下げてくれるレイクスさんに頷き返す。

 ドワーフ父娘もこっちの組に入って貰おっかな。


「・・・ロブウッドさんとリットちゃんもレイクスさんたちと一緒にやってね」

「えっ? 私たちもですか?」

 リットちゃんが驚きの声を上げて、ロブウッドさんが眉根を寄せて目を厳しくする。


「特殊な術式や新しい技術ってのは大事な資産だろう。儂らにまで教えて良いのか?」

 まあ、技術で食べてきた人たちなら、そう言うかな。

 ロブウッドさんたちは父娘揃って鍛冶師だというし、秘伝の鍛冶技術とかそんなものも有るんだろう。


 言いたいことは分かる。

 分かるけど、それは考え方の違い。見ているものの違いだよ。

 私の目的は脅威を退けて大切な人たちを守ることで、私が守るべきものは手元に有る技術じゃない。

 そんなわけで、ロブウッドさんたちを捕らえている常識という“枷”をブチ壊してあげよう。


「・・・良いんだよ。私は他にも、そう簡単に真似の出来ない技術を持っているし、必要なら新しい魔法を作るもの」

「ほう」

「凄いですね」

 私の啖呵にロブウッドさんが唸り、リットちゃんが目を丸くする。


 フッフッフ。ロブウッドさんたちにも手伝って貰うからね?

 作って欲しいものは、たくさん有るよ。

 今、手元に持っている技術なんかよりも、遙かに先の未来へ進もうじゃないの。


「・・・他のみんなも、そのうち通る道だからね。しっかり聞いて、目に焼き付けて。見ることも訓練だよ」

「はいニャ」

 ミャウラさんだけでなく、クァタルさんとイカウさんも真剣な表情で頷く。


 気付いていないだろうけど、獣人族のみんなとテツさんの訓練はすでに始まっている。

 なぜなら、本能的な一面が強い獣人族には、目で見て全体のイメージを肌感覚で覚える脳筋訓練法が有効だからだ。

 “考えるな! 感じろ!”ってヤツ。


 理屈抜きで感性に訴えた方が覚えるのが早いのは、ピーシーズで実証済みなんだよ。

 これまでの常識を壊して“そういうものだ”と刷り込んでしまえば、切っ掛けを掴んで壁を乗り越えたとき一気に伸びる。

 勘で危険物を察知するテツさんも獣人族に近い本能的なタイプだと思うから、獣人族の3人と一緒に覚えて貰う。


「属性は何でも良いのかな?」

「・・・使いたい術式と魔石の属性を一致させた方が威力は上がりますけど、何でも構いませんよ」

 手にした魔石を確認しながら訊いてくるレイクスさんに肯定を返す。

 ミセラさんたちが用意してくれた魔石は、採掘場で毎日大量に採れるシカの魔石だった。


「ふむ。魔法道具と同じだね」

「・・・そうらしいですね。術式と属性の親和性で効率が良くなるとか、そんなのじゃないんですか?」

 私は複数の属性の魔石を使ってみた体感で結論したけど、魔法道具作りで長年の知見を積み重ねてきたエルフ族の見解を訊いてみたい。


「属性の一致は、魔法道具作りにおいては基礎的な知識だよ。魔法道具以外での使い道でも同じ結果が出るのなら、魔石は―――、というよりも、属性に染まった魔素はそういう性質を持つものだと考えて良いんじゃないかな」

「・・・そうですね。私も異議は有りません」


 ほうほう。やっぱりね。

 「属性に染まった魔素」か。

 使う魔法の属性に魔力を変化させる変換ロスがショートカットされるとか、そんな感じ?

 考えさせられるものは有るけど、私の肌感覚と推測は間違っていなかったな。

 私も知見を広められたところで、さあ、始めようか。



精霊種㉒です。


Don't think. Feel!

次回、通説!?

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― 新着の感想 ―
ジェットカッターの威力はこの森の木を一撃で凪払うほど強烈な斬擊だったはずですよね…
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