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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊種 ⑩

「・・・1000本以上は伐ったと思うけど、2週間ほどで終わりましたよ?」

「ええ・・・」

 レイクスさんが驚きと呆れに疑念を1(さじ)足したように微妙な表情になる。


 確かに私たちも頑張ったけど、一部のメンバーが競い合っていたことも有って、私たちとしては魔法の練習を頑張っていた感覚の方が強いんだよね。

 どちらかと言えば、工兵部隊の兵士さんたちと馬たちの方が頑張ってたんじゃないかな。


 段々、近付いてくる城門の高さは、単なる木の囲いとは違う。

 まさに、壁だよ。

 敵の接近を拒む威圧感を持って聳え立っている。

 囲いを形成している丸太の1本1本は直径1メートル以上も有るからね。


 そんな丸太が何百本も隙間なく並べられて巨大な壁になっているのだから、その迫力たるや、そんじょそこいらのお城にも負けない。

 実際には採掘場を中心に周りを囲っているだけなんだけどね。

 あのぐらいの高さがないと、シカや触角ヘビなんかの魔獣は跳び越えて来るらしいよ。


「・・・伐った木は、この木ぐらいのものがほとんどでしたね」

「こんな大きさの木を1000本も・・・?」

 たまたま通り掛かった直線道路脇の木を指し示すとレイクスさんが絶句する。

 テツさんも驚きを表してヒュ~っと口笛を吹いている。


「この太さの木を人力で1日70本以上か? そりゃスゲえな」

「・・・最終的には20人以上で分担したから、1人あたりの伐った数はもっと少なかったよ?」

 伐採本数を参加人数で割れば、1日に伐った数は1人頭5~6本じゃないかな。

 枝葉を落として丸太にするのに掛かる作業時間の方が、伐り倒すための作業時間よりも遙かに長かった。

 私は事実を口にしているだけだけど、レイクスさんは何やら納得がいかない様子だね。


「“魔の森”の木々って、そんなに簡単に伐れるものじゃないと思うんだけど」

「・・・覚えてみます? まだまだ改良の余地は有ると思いますけど、甲冑も斬れますよ」

 別に説得する必要はないんだけど、武器が手元になくても剣を持った敵と渡り合える風ジェットカッターは護身手段としても有用だものね。


 実際に伐って見せた方が理解は早いでしょ。

 エルフ族も使えるようになってくれた方が安全性は高まる。

 サッと手を挙げたのはフィティオスさんとアルケマイオスさんの2人だ。


「覚えたいです!」

「私も!」

「・・・じゃあ、後でお手本を見せて教えますね」

 この2人はレイクスさんの護衛らしいし、しっかりと活用してくれるはず。

 ところがレイクスさんは私の頭上を指し示してくる。


「僕はそっちの方が気になるね」

「・・・魔力の手ですか? 教えるのは構わないんですけど手が足りないな」

 限られた時間内に別々の魔法を教えるのに、希望者を一緒くたに集めて教えるのは効率が悪いよね。


 足並みを合わせて同じことを教わるなら周囲と見比べながら試行錯誤できるけど、すぐ隣で違うことをされていると集中できないんじゃない?

 特にレイクスさんは、そうなる気がする。

 そこで手助けを申し出てくれたのは頼りになる私の相棒だ。


「風ジェットカッターは、わたしが教えるわ!」

「・・・任せて良いの? ありがと。助かるよ」

 マスタークラスとも言えるルナリアになら安心して任せられる。

 恐る恐るといった感じにケイナちゃんも小さく手を挙げた。


「私も教えていただいて良いですか?」

「・・・もちろん! 魔石使用法も教えるよ!」

 まだ馬上だから実行は控えたけど、これが馬に乗っていない状況だったら、私は全力でケイナちゃんの手を取っていただろう。

 私がそうすれば、きっとルナリアもケイナちゃんの手を取っていたはずだ。


 今は良い。

 だけど、近い将来はどうなる?

 昨日のケイナちゃんの様子を見たときから、そんな思いが私の胸中にある。


 ケイナちゃんにとってのテツさんは、私にとってのルナリアとお母様のような存在じゃないかと私は感じた。

 ケイナちゃんは控え目なタイプっぽいから我慢しているのだろうし、理性で呑み込んでいるのだろう。

 でも、本心では“行かないで”と言いたいんじゃないかな。


 そのぐらい、ケイナちゃんのテツさんに対する信頼を感じた。

 もしかすると、恋心も有るのかも知れない。

 理性と自制心を見せたケイナちゃんの姿から感じたものは、恋心なんて浮ついたものだけではない確たる信頼だった。


 私だったらルナリアとお母様がいなくなるのなんて耐えられない。

 きっと“私も行く”と我が儘を言うだろうし、何としても付いていこうと全力で足掻くだろう。

 だからこそ、日本という国を―――、地球という世界を知る私は、“行ってこい”とケイナちゃんの背中を押すことが出来ない。


 興味本位で秘密を暴こうとする心ない野次馬が集って、自分勝手なマスコミが集って、ケイナちゃんの平穏をブチ壊しに来るのが目に見えているからね。

 多勢に無勢だよ。

 テツさんがどれだけ強くても、周囲の全てが敵ではケイナちゃんの日常を守ることは難しい。


 そのぐらい日本では金髪碧眼の美少女は注目を集めるし、エルフ族の耳は目立つ。

 こっちの世界だから飛行帽で耳の形を誤魔化せているけど、日本では飛行帽なんて逆に人目を集めるよ。

 SNSで自由に情報発信が出来る時代だし、情報が拡散するのも早い。


 ネット空間で拡散する情報は、強権を振り(かざ)すことが出来る独裁国家でさえ止められないんだよ。

 万が一にもケイナちゃんが異世界人でエルフ族だなんてバレたら、間違いなく全世界からケイナちゃんを誘拐しようとロクでもない連中が集まって来る。



精霊種⑩です。


恋心!?

次回、存在意義!?

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