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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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エンカウント! ⑬

 これでも“2号”での戦闘も含めて何度も操縦しているから、体幹のバランスの取り方はかなり慣れたと思うんだよ?

 お陰で尻尾無しでも歩かせられるんだけど、重心移動を制限するリミッターで有りバランサーの働きもする尻尾が無いと、重心移動でバランスを取るしか無くなるから予想以上に揺れる。


 人間の体って歩行時は横腰骨の回転運動で上体の揺れを小さくしてるからね。

 本体がコンニャク板の“獰猛くん”には、人体の動きを完全コピーするのは難しい。

 さらには、両足が生えている位置がコンニャク板の両端だから、この大きな横揺れに繋がってしまっているんだろう。


 とはいえ、ガニ股に近い足の生え方だから、街道の上を歩くつもりで位置をトレースしても、街道を踏まずに跨いだ格好になってるんだよね。

 その証拠にレティアの町を振り返れば、北門へ続く街道の路面上ではなく、街道の両脇に点々と“1号”の足跡が残っている。


「さすがに、この揺れが数時間も続くと酔いそうだな」

「・・・遠くの景色を眺めるようにすれば乗り物酔いしにくくなるよ」

「おっ。そうなのか」

 アドバイスすると眼下の地上を覗き込んでいたお母様が明るい声で視線を上げた。


 これって車酔い防止のコツか何かだったと思うけど、乗り物酔い全般の防止方法だと考えて良いんじゃないかな。

 私は”1号”の足を踏み外すわけに行かないから街道から目を離せないけど、チラリと目線を上げれば、右手に広がる森の景色の向こう側に見える東の空が明るくなってきている。


「・・・もうすぐ日の出かな」

「昨日も見たが、こうして見ると本当に大地は球形なのだと分かるな」

 私に釣られて右手へ視線を滑らせたお母様が感情の籠もった声を上げる。


 地平線と言って良いのか“森平線”と言った方が良いのか、見渡す限りの木々の海は、僅かに、そして確かに丸みを帯びている。

 お母様に釣られたルナリアとノーアも右手の景色へ目を向けている。


「きゅうけいって、球ってこと?」

「・・・そうだよ。太陽や月は丸いでしょ? 私たちが立ってる地面も遠くから見ると球形なんだよ」

 コテリと首を傾げるルナリアに空を指して見せる。

 今日はお誂え向きに、白んだ空にまだ月が残っている。


「へぇー。平たいようにしか見えないけど、地面って丸いのね?」

「・・・よーく見てみれば、空と地面の境界線って少しだけ丸みを帯びてない?」

 改めて地平線を指し示せば、ジーッと凝視したルナリアとノーアが気付いたように目を見開く。


「ハッ。そうかも」

「にゃ」

「・・・ものすごーく大きな球に思いっきり目を近付けて見てみれば、あんな風に見えるんだよ」

 今度は月を指し示せば、明るさを増してくる空に浮かんだ白っぽく薄い輪郭に見える月を見上げて、またルナリアが首を傾げる。


「地面って、ものすごく大きいのね?」

「・・・こんなに大きな地面も、ものすごーく遠くに有ると夜空の星みたいに小さな点に見えるんだよ」

「空の星って、みんなそうなの!?」

 驚きを顕わにするルナリアにクスリと来る。

 基礎知識として惑星や恒星の概念を教え込んでおかないと、次のステップに進めないからね。


「・・・大きすぎて実感しづらいだろうけど、そういうものだと覚えておいてね」

「うん。分かったわ?」

 案の定、よく分かっていないらしいルナリアが肯定を返して来る。

 お母様にも概念は教えたけど、何で私がこんな話をしているのか?

 そんなの決まってる。


「・・・この地面の大きさや空の星が“蒼焔”の肝だからね」

「あっ。そう言えば、国王陛下から銘を貰う前は“こうせい”って呼んでたわよね」

 記憶を探ったルナリアの答えに頷いて返す。


「・・・よく覚えてたね。“恒星”って、太陽みたいに燃えてる空の星のことなんだよ」

「そうだったんだ!?」

 私が“蒼焔”のイメージを固めようと四苦八苦していたとき、ルナリアは剣術の訓練に熱中していたからね。

 お母様は西部地域へ戦争に駆り出されていたから不在だった。


 私が構築したイメージを共有できて、お母様もルナリアたちも“蒼焔”を使えるようになれば、ウォーレス領はさらに強くなる。

 ピーシーズにも教え込もうと考えてはいるけど、覚えて貰うなら先ずはお母様とルナリアだ。

 私にとって一番大事な人たちだから、少しだけでも生き残る確率を引き上げたい。

 私たちから地平線へと視線を戻したお母様が目を細める。


「おっ。日の出だな」

「眩し・・・」

 地平線から上端を覘かせた朝日が目を灼く。

 太陽を思わせる鮮やかな金色の髪を、お母様もルナリアも風に泳がせている。


「・・・あの太陽も、ずーっと、ずーっと遠くに有ると、夜空の星みたいに見えるんだよ。ルナリアもノーアもそういうものだと覚えておいてね」

「分かったわ!」

「にゃっ!」

 まだ実感は出来ていないのだろうけど、ルナリアとノーアが元気に応えてお母様も目を細めている。


 学校が出来たら実験室として私も1部屋貰おうかな。

 私もよく分かっていないから重力の概念を教え込めるか自信は無いけど、ハリウッド映画的なビジュアルイメージで宇宙のスケール感を認識させる模型ぐらいは作れるかも知れないし。


 科学の実験で物理現象のメカニズムを理解することが無詠唱行使を実現して、魔法の威力向上にも直結しそうなことは、すでに判明している。

 私の体感が根拠だけど、たぶん、間違いない。

 だったら、体験させて実感させて理解を深めるための実験室は作るべきだ。



エンカウント!⑬です。


実験室!?

次回、大歓迎!?

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― 新着の感想 ―
天体望遠鏡作るのも良いかもですね。月とか惑星を見たら実感出来るかも。
威力は紅蓮でも十分な気がするし先に防御術式を考えてくれないと修行の度に不安になる
キャタピラも出そうですね。宇宙世紀の頃のガ◯キャ◯ノンみたいな
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