エンカウント! ⑧
「・・・じゃあ、採掘場から戻ったら支給するよ」
装備の支給を受けてヤル気になったタイミングで王都行きのメンバーを発表かな。
今さらビビって辞退する子は居ないと思うけど、出来るだけ不安は取り除いてあげた方が良いと思うんだよね。
「ピーシーズからは誰を行かせるんだ?」
「・・・メリーナさんを小隊長に、アイシアちゃんと、ナンナちゃんで行って貰うつもり。今回はエターナさんも同行するんだよね?」
この派遣メンバーの組み合わせも結構考えたんだよ。
メリーナさんが年少組の2人を引率することになるけど、エターナさんも付いているならフォローしてくれるだろう。
今現在、王都に駐留しているピーシーズの内、アリアナさんを除いた4人がレティアへ帰還するのは遅ければおおよそ2週間後になる。
その間、手元に残ったピーシーズはネイアさんとオーリアちゃんの2人だけになるけど、ミセラさんたちとサーシャさんたちの8人が居るから、頭数だけで言えばフルメンバーのピーシーズと同じになる。
真面目で用意の良いネイアさんとよく気が付くオーリアちゃんの組み合わせは、私がとても助かるし少人数でも頼りになる。
本職が諜報職であるミセラさんたち8人の戦闘力は純然たる戦闘職のピーシーズに及ばないかも知れないけど、ルナリアの護衛に不足はないはず。
それでも戦闘力が足りなければ私がパワーと触手の数でゴリ押しすれば良い。
私が挙げたメンバーを頭の中で検討したらしいお父様とお母様が頷く。
「良いんじゃないか。エターナの件も、すでに陛下から拝謁の許可が出ている」
「・・・エイラさんも一緒に行って貰おうかと考えてるんだけど、良いかな」
私が追加で挙げた名前にお母様が思案顔になり、お父様が首を傾げる。
「エイラか。作法は出来ていると報告を聞いているから構わないんじゃないか?」
「構わんが、なぜエイラなんだ?」
エクラーダ系の割合を増やすことへの心配かな?
ウォーレス領でもピーシス領でもエクラーダ系の人たちはすでに領民の一人だけど、見慣れていない王都の人たちからすると文字通り毛色の違う異国人だからね。
こっちは心配しなくても、王宮が警戒する恐れは有るよね。
それを踏まえた上で私直下の派遣軍構想も有るから、王都の人たちにもエクラーダ系王国民を見慣れて貰わないと困る。
そして、王国民を見慣れて貰わないと困るのはエイラさんたちも同じなんだよ。
私の中ではリテルダニア系もエクラーダ系もない。
王都へ行ったときの経験でピーシーズが自信を深めた部分も有るはずだし、新人さんたちとも同等の仲間なんだから同等の経験を積ませてあげたい。
ただまあ、これって私の勝手な私情で、王様やテレサたちには関係のない話だから言いにくいんだよね。
「・・・エターナさんの部下に付けて補佐をして貰うつもりだから、一緒に見聞を広めてくれれば育つのも早いかと思って」
当たり障りのなさそうな理由を口にすれば、私の本音に気付いているのかいないのか、お父様もお母様も頷いてくれる。
ちょっと心が痛むなぁ。
「エイラはアリアナと同じ歳だったな。横の繋がりも持ちやすいだろう」
「年回りの問題も有るか。良いだろう。ミリアにも伝えておく」
お母様たちの中でアリアナさんはアリアナさんのままで、他所の子になっていないことに安心する。
本当なら私が一緒に王都へ行ければもっと安心なんだけど、ミリア叔母様が根回しをしてくれるなら、エターナさんたちへの風当たりも緩やかになるんじゃないかな。
「そう言えば、部隊名はピーシーズのままで良いのか?」
「・・・うーん。変えた方が良いかなぁ」
ピーシーズはピーシーズのままで良いと思うけど、新人さんたちが60人も増えるんだから、ピーシーズと新人さんたちで呼び分ける方が私も混乱しないのかも?
「正式な新設部隊として格上げされるのだから、通称であっても部隊名は有った方が良いだろう」
「そうだな。所属する部隊には誇りを抱くものだ」
お母様の意見にお父様が同意する。
エゼリアさんたちに部隊名はなかったと思うけど、人数が少なかったからだろうか?
西部国境地域へ遠征したときは“ピーシス隊”って呼ばれていたみたいだし、お母様的には側近は単に側近で、その他は全員、配下の領軍だったんだろうね。
「・・・そっか。じゃあ、名前を付けた方が良いね」
新人さんたちも“ピーシス隊”で構わない気はするけど、テレサの直下には王都騎士団から引き抜いた“王女殿下親衛隊”が新設されているはずなんだよね。
テレサが気に入っていたっぽいから、きっとそのまんま“プリンセスガード”になってるんじゃないかな。
ちなみに、全部が全部じゃないけど、英単語でも意味が通じるものは、こっちの世界にも存在する。
発音はこっちの各国言語だけどね。
たぶん、英語圏地域から召喚魔法で拉致された人が過去に居たんだろう。
何にせよ、“プリンセスガード”と並べて遜色無い名前というか、バランスが取れる名前にした方が良いよね?
「・・・んー・・・。“ピーシス護衛隊”とか?」
ピーシス隊とプリンセスガードを混ぜただけだけど、即興にしては突飛なものでも見劣りするものでも無い気がする。
お父様とお母様が顔を見合わせる。
「ふむ?」
「ピーシスガード・・・か。響きは悪くないな」
というわけで、私の思い付きがそのまま通ってしまって、新人さんたちの部隊名は“ピーシスガード”に決まってしまった。
どうしても不評だったら部隊を作り直して名前を付け直せば良いや。
歴史ある部隊とかそんなんじゃないんだから、そこまで部隊名に拘る必要はないだろう。
有名ミュージシャンだって音楽性の違いとか分かるような分からないような理由で解散したり、おカネが無くなったのか再結成したりとコロコロ名前を変えていたし。
後で名前が変わるぐらい、ヘーキヘーキ。
エンカウント!⑧です。
部隊名、決定!
次回、名代!?




