表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1056/1146

エンカウント! ①

「・・・じゃあ、行ってくるね」

「おう。気を付けて行ってこい」

「・・・はーい」

 計画通り午前中もまだ半ば、4の鐘が鳴って間もない時間に帰還した私たちは、一旦、領主館に戻って口頭でお父様たちに報告した。


 建白書の資料が揃い次第、ドネルクさんとバルトロイさんが王都へ戻るから、お母様はそのまま執務室で地図の清書作業に取り掛かることになった。

 一方、偵察任務とオマケの土木工事を終えた私はエターナさんとミセラさんたちを護衛に、ディディエさんとダーナさんを引き連れてレティアの城壁外へと向かう。


「・・・どっち?」

「今日は城壁の西側辺りの旧放牧地で作業すると聞いています」

「・・・分かった」

 検問所の兵士さんたちと挨拶を交わしつつ北門を出たところで、ダーナさんの返事を聞いて旧ピーシス領の方角に向けて手綱を引く。


 先ずは荒れ地の開墾作業に取り掛かっているという農家さんたちを視察して、ラクネの魔石を引き渡す段取りを決めるのが目的だ。

 大丈夫だとは思うけど、金目の物を手にすれば欲に目が眩んで不正を働く人が出るかも知れない。

 一度にゴッソリと魔石を渡してしまうとどうしても自制心を試すことになってしまうだろうし、意外と扱いが難しいんだよね。


 領主一族の一員である私と接近して恩恵を受けるということは一種の利権に連なることになるのだろうから、争いや権限の集中を助長しないように私も慎重に掛からないと。

 誰か一人を責任者に据えて任せると、新たな権力が生まれておかしな上下関係が発生することになり兼ねない。

 複数の責任者を置くと王国貴族みたいに派閥が生まれて争いを始めるかも知れない。


 管理者に据えるディディエさんたちの下に農家さんたちを小グループに分けて統制するのが、魔石の管理もしやすいんじゃないかな。

 開墾した荒れ地の面積に応じて魔石の配給を申請して貰い、ディディエさんたちがお小遣い方式で魔石を引き渡す。

 この辺りは様子を見ながら2人に任せてみよう。


 最近のディディエさんたちは自分自身が強くなった実感が少しは有るのか、以前のように男性を相手にも過剰反応を示さなくなってきている。

 農家さんたちのほとんどはディディエさんたちから見ればお父さん世代だし、顔見知りになって親交が深まるほどに男性に対する恐怖心と警戒心が(なり)を潜めてきているように見える。


 いつかはディディエさんたちも良い縁に恵まれて幸せな家庭を持って欲しいと私は願っているし、良い傾向に思える。

 城壁移動で付け直された街道から数百メートル入り込んだ原野に、何かの作業をしている複数の人影を見付けて馬の脚を止めた。


「・・・あ~。居た居た。農家さんたちを集めてきてくれる?」

「「はいっ!」」

 農業担当者として紹介済みのディディエさんとダーナさんが馬を走らせて、農作業中の農家さんたちに声を掛けに行く。


 10分間も掛からないうちに20人ほどのオジサンたちが集まってきた。

 ヨシヨシ。こっちも良い傾向だね。

 両手を土で汚し手拭いで滲んだ汗を拭いているオジサンたちの表情はどれも明るい。


「フィオレ様! お帰りなさい!」

「ご無事そうで安心しました!」

 昨日はレティアに帰還した後、領主館から出なかったからね。

 オジサンたちが言っているのは、今朝の偵察飛行のことじゃなく昨日帰還した遠征のことだろうね。


「・・・ただいま。畑に使う魔石を手に入れてきたよ」

「「「「「おお~っ!!」」」」」

 農地拡大計画の必要資材がまた1つ揃ったことを告げると、オジサンたちが明るい声で響めく。

 入手したクズ魔石の数は1000個以上だからね。

 スライムによる食害が防げるなら堆肥を漉き込んだりの土壌改良に取り掛かれる。


「・・・差し当たりの開墾に使う分は用意できたと思うから、どんどん農地を広げちゃって良いよ」

「任せてください!」

「農業に参入したいって希望者も増えてきていますよ!」

 おお。そうなの? 


 計画の情報が流れて農業従事希望者が増えたのかな?

 大々的に広報したとは聞いていないから、巨大スライム事件の噂が注目を集めて情報が拡散したのかも。

 損害も被ったけど、想定外に大きな宣伝効果が有ったのなら、私も巨大スライムと戦っただけの価値は有った。


「・・・それは良いことだね。堆肥の方はどう?」

「すでに仕込み直しました。領軍の方から厩舎で出る馬糞の処分も委託を請けることになりそうなので、発酵小屋を増やそうと話し合っています」

 おっと。領軍からの外部委託かぁ。


 お婆様たちの助言が有ってのことだろうけど、お父様の判断か、お爺様たちの判断か。

 私が他のことに集中している間にも、政策は一歩踏み込んだ形に進化していたらしい。

 厩舎の清掃を民間に委託できるなら、領民を食べさせる仕事の創出になる半面、兵士さんたちの負担が減って訓練や強化に当てられる時間が増えるって判断かも。


 農地が増えて収穫量が増えるなら経費負担の増加分を埋められるしね。

 外部委託の前後で収支がプラスマイナスゼロのトントンで終わってくれるなら、兵士さんたちの練度が引き上がる分お得ってことになるもの。

 馬糞も結構な量が出そうだし、堆肥の増産にはまだまだ伸び代が有りそうかな。


「・・・そっか。気付いてると思うけど、森の一部を切り拓く作業が始まったから、あっちで出る枝葉も堆肥に利用できるからね」

「そうなると、発酵小屋はもっと増やした方が良さそうですね?」

 良いね。打てば響くってヤツだ。

 農家さんたちもそれだけ真剣に取り組んでくれているのだと肌で感じる。


「・・・少なくとも数年間は需要がどんどん増えるだろうから、発酵小屋もどんどん増やしてくれて良いよ」

 広げた農地の土壌改良が進んで堆肥の需要が減ったなら、私としては肥料の生産に切り替えたいんだよね。

 食肉加工場から出る骨から骨粉を作れば、土壌のリン酸と窒素の成分を補う肥料が作れたはず。


 堆肥の需要が減って余った枝葉を燃やせば草木灰でカリウム成分の肥料は作れるから、三大栄養素のリン酸・窒素・カリウムが揃う。

 あれ? 合ってるよね? 三大栄養素。

 私の適当な怪しい知識を正誤判定してくれる採点者がいないから、自信が無いときにとても困るんだよ。


 私の間違った知識でみんなが全力疾走を始めてしまったとしたら、発生する損失だけでなく私自身が食らう精神的ダメージは想像するだけでも計り知れない。

 私の思い付きを基にした提案がうろ覚えのいい加減なものだと知らない農家さんたちが、私の心配とは違う方向で心配顔をする。



エンカウント!①です。


順調に計画進行中!

次回、資源の宝庫!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
試験農場を作った方が良いかな
鶏糞が欲しいな 鶏が有用過ぎて美味しくてもオエェ鳥じゃ代わりにならないよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ