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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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第2次領有宣言 ⑧

「ただいま! お父様!」

「おう! 無事に帰ったか!」

 止める間もなく、執務室の扉をノックも無しにバーンと開いたルナリアが飛び込み、待ち構えていたデレデレのお父様が飛び込んできた愛娘を受け止める。


 結局、1週間近くも出掛けっ放しだったからね。

 パパ大好きっ子のルナリアがパパに会えなかったことは、内戦によるお父様たちの出征中にも有ったことだけど、逆の立場でルナリアの帰りをお父様がレティアで待ち続けたことは、ルナリアと私が出会う切っ掛けになった暗殺未遂事件以来のことだ。


 しかも、ルナリアが出掛けていた先は事件と同じ“魔の森”の奥だもの。

 お父様の心配もひとしおだっただろうね。

 本来なら私が引き留めて回避しなきゃいけないお説教案件なんだけど、叱られる気配がないならヨシ!

 お母様も今回はルナリアを注意する気が無いようで、ユルい感じで片手を挙げている。


「帰ったぞー」

「・・・ただいま帰還しました」

「にゃ」

「ただいま戻りました」

「お爺様たち、お婆様たちも、ただいま!」

 お母様に続いて、私とノーアとアスクレーくんも帰還の挨拶を口にして、お父様に捕まったままのルナリアがお爺様たちにも帰還を報告する。


「うむ! よくぞ無事に戻った!」

「予定よりも遅かったから心配したぞ」

 お爺様たちもお婆様たちもルナリアのノック無し突撃を咎める気が無いようで、それだけ心配していたのだということが窺える。


「色々有ってな。処置を施してから帰ってきた」

「部隊や渡河地点に何か問題が?」

 小さく肩を竦めたお母様の報告にお父様がデレデレモードから通常モードへと復帰して、お母様が首を振る。

 サラッと告げられたのは統治者として一大事であろう爆弾発言だ。


「いや。フィオレが迷宮を見付けてな」

「迷宮だと? どこでだ」

 お父様よりも早く表情を厳しくしたハインズお爺様が反応して、緊迫感のない口調でお母様が答える。

 

「渡河地点の目の前だ。入口から覘いただけで詳細な調査はしなかったが、上手く行けば利益を生むかも知れん」

「利益ということは、魔獣か魔物が出るのだな?」

「素材や魔石か」

 お母様の口調から緊急性が低いと判断したのであろうマルキオお爺様が問う目差しを返し、冷静に状況の緊急度を理解したお父様がお母様の言う「利益」を推察する。


 こうなるともう帰還報告ではなく緊急家族会議に雪崩れ込む流れだね。

 厩舎前で実父のレスリーさんとライアスさんに出迎えられたエゼリアさんとアンリカさんも、挨拶を終えればドネルクさんとバルトロイさんを連れて執務室へ来るだろうから、総勢14人もの家族が揃っての突発性大家族会議になるのは目に見えている。

 ササッと現れた領主館のメイドさんたちがソファーセットの配置換えを始めて、そんな裏方さんの様子を気にも留めないお母様がニヤリと口角を引き上げる。


「魔石もだが、聞いて驚け。砂糖だ」

 砂糖というものは生活必需品という意味での戦力物資ではない。

 でも、民心を慰めて統治の安定を図る上での戦略物資にはなり得るものだからね。

 極めて強力な手札が手に入る可能性を示されれば、為政者たる思考回路が骨身に染みついているセリーナお婆様が反応しないわけがない。


「砂糖ですって?」

「味見してみるか? 現物を持って帰ってきているぞ」

 得意気に言ってるけど、セリーナお婆様は罷り間違えば一国のお姫様にも成り得た貴族界のサラブレッドだよ?

 現物の正体も教えずに味見させる気だろうか?


 蜻蛉の体液に毒性がないことは、私をはじめとして摘まみ食い的に味見したほとんどの女性陣が実証しているわけだけど、セリーナお婆様もバルトロイさんと同様の拒絶反応示す可能性だって有るじゃない。

 数多の戦場を生き抜いた戦士としての本能で不穏な気配を感じ取ったのか、マルキオお爺様から冷静なツッコミが入る。


「待て待て。なぜ迷宮で砂糖が採れる? 端折らず説明せんか」

「迷宮内がドラゴンフライの巣になっているらしくてな。ドラゴンフライの体液から砂糖が採れる可能性が有る」

 拒絶反応までは示さなかったけど、知らない情報に触れたセリーナお婆様が首を傾げて知恵袋のシェリアお婆様に目を向ける。


「そんなことが有り得るのかしら?」

「フレイア。それは幼虫ですか? それとも成虫ですか?」

「成虫だ。珍しいだろう」

 冷静さを失わないシェリアお婆様の問いに、悪戯っ子のような笑みでお母様が返す。


 あれ? ドラゴンフライの成虫って珍しいものなの?

 目と鼻の先に幼虫であるヤゴが渡河を阻む害獣として棲息していることは、ナーガ川流域では周知の事実で、有る意味、ドラゴンフライは触角ヘビよりも身近な魔獣と言えるのに。

 私が抱いた疑問の答えは、お母様そっくりの考え中ポーズになったシェリアお婆様の口から明かされた。


「幼虫は兎も角、成虫は空を飛びますからね。私の記憶に有る限り人の手でドラゴンフライの成虫を討伐した記録は有りませんよ」

「アスクレーが詳細を絵に描き取っていたぞ。大型魔獣の断面図なんてものは大陸初かも知れんな」

 へぇ。ドラゴンフライの成虫って、そこまで珍しいものだったのか。



第2次領有宣言⑧です。


為政者の思考回路!

次回、育児!?

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― 新着の感想 ―
アスクレーが魔物図鑑発行したら歴史に名が残るなこれ 偉業持ちばっかの一族になるな
動き早いし、飛行軌道が不規則だから狙って当てるのも難しいんでしょうね。遭遇したら逃げ一択系の魔物なんだろうな。
親玉のサイズ聞いたら卒倒しそうだなぁ
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