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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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生態系の覇者 ㊺

 腰に提げていた大型ナイフを抜いて、手の中で魔石の表面に残った肉片をゾリゾリと綺麗に刮ぎ落とす。

 綺麗に掃除できたところでナイフを鞘に戻し、魔石を空に掲げて陽の光に透かしてみる。

 へぇ。王国民にもちょくちょく居る瞳の色と同じ深い青色の魔石は水属性みたいだね。

 ちょっとだけ緑色が入ってる気もするけど、大きな括りで分類すれば青色だろう。


 飛ぶのが上手い蜻蛉なんだから風属性かと思ってたけど違うんだ?

 触角ヘビもシカもガルダも風属性だった。

 触角ヘビやシカは空を飛ぶわけじゃないけど、跳ぶ、あるいは飛ぶように走る。

 地を這い走るイノシシやラクネは土属性。


 その辺りの生態と魔石の属性が関係しているものだと思っていたんだけど、この仮説は怪しいかな。

 まあ、バンダースナッチが火属性って時点で法則性は崩れてるし、法則性を見付けられたとしても何に活かせるって話でもないんだけどね。

 魔石の属性を活かせる方法が有るとすれば魔法道具だろう。

 研究の方は全く進んでいないし、魔石だけが手元に有っても属性を活かしきれる良い案が思い浮かばない。


 やっぱり魔法道具の知識が欲しいなあ。

 魔法道具の用途と魔石の属性が一致していないと魔法道具の性能が落ちるって言うのが魔法道具の常識、というか一般論らしいから、魔石の属性にも何か意味が有るんだろうか?

 実際、魔石の属性と使う魔法が一致すると魔法の威力が上がる体感は有るし。

 属性の持つ意味が分かれば、魔石を活かす使い道は魔法道具の他にも何か出てきそうに思うんだけど。


「・・・うーむ」

「うーむ、じゃないわよ!」

 纏まらない思考に唸り声が漏れてしまったところ、その唸り声にツッコミが入って思考が霧散する。

 誰かと思えばルナリアだ。


「・・・ふえっ!? な、何!? 何か有った!?」

「ずっと呼んでるんだから、返事ぐらいしなさいよね!」

「・・・そ、そう? ゴメン、ゴメン」

 プンスコと怒っているルナリアに手を引かれて周りを見てみれば、みんなはゾロゾロと地上へ向かっていて、蜻蛉の親玉の傍に残っているのは私たちとオーリアちゃんとナンナちゃんだけだった。


 地上へ戻ろうって総意で纏まったのに私だけがボーッとしていたらしい。

 これはいけない。

 今夜はこの渡河地点で夜を明かすことになりそうなのに、安全に野営が出来る準備を何も出来ていないからね。

 時間的な余裕も無いのにボーッとしていた私が悪い。

 ルナリアに取られた手を引かれながら、自由になる手で腰の小物入れに魔石を仕舞う。


「それで? なに考えてたの?」

「・・・何だろ。魔石の使い道?」

 そんなことを考えてたよね?

 驚いた拍子に何を考えていたのかを忘れてしまってイマイチ自信が無い。


「使い道って?」

「・・・何かないかなあ、って考えてた」

「ふぅん? まあ良いわ。仮設の駐屯地を作るからまた土作りよ」

 中身の有る話では無さそうだと判断したらしいルナリアが、私たちに与えられた仕事を伝えてくる。


 駐屯地ってことは、寝泊まりできる建物というか、魔獣の侵入を防ぐ拠点か何かを建てる作業を急ぐってことだろう。

 城壁で囲うとお母様が言っていたから、建物じゃなく城壁かも?

 地上へ上がるとお母様たちが待ち構えていた。


「やっと来たか」

「・・・ごめんなさい」

 呆れ顔をされたので、一先ず謝っておく。

 叱られたわけじゃないけど、ボーッとしていたのは確かだ。


「まあ良い。陽が落ちる前に簡易な防壁を2重に設けて内側と外側に備えるぞ。最終的に拡張する必要は有るだろうが、今夜の安全確保が最優先だ」

「・・・2重の防壁?」

 2重に壁だけを建てるのかな? 


「休むことも出来なければ兵が保たん」

 簡易ってハッキリ言ってるから、急造陣地か。

 歩兵を主体とした地上戦なら塹壕を掘って防塁を設けるだけのイメージだけど、外側はラクネとガルダ、内側はドラゴンフライに備えるのだから、地面を掘っての塹壕ではなく壁を建てるって理解で良さそうだ。


「・・・私はどうすれば良いの?」

「今、ノイエラとエレーナが迷宮の影響を受けない範囲を探っている。そんなに多い量にはならんだろうがお前たちは土を生成しろ。防壁は私とイディアで建てる」

 お母様が指した先を見れば、エレーナさんとノイエラさんがそれぞれエゼリアさんとアンリカさんを引き連れて歩いて回っている。


 エゼリアさんたちが付いて回るということはドネルクさんとバルトロイさんも付いて回るということで、そこに新人さんたちがゾロゾロと付いて行って小さな大名行列みたいになっている。

 新人さんたちは何をしているのかといえば、邪魔になる魔獣の死体を退けて防壁を建てる場所を確保しているらしい。


 私たちはあの大名行列に合流して、新人さんたちが空けた場所に土を生成すれば良いんだろう。

 大名行列の最後にお母様とイディアさんが付いて来て、私たちが生成した土を使って防壁を建てると。

 工場の流れ作業的な製造ラインを内側と外側で平行して同時進行するんだね。


「分かったわ!」

「・・・了解」

 バルトロイさんの扱いに慣れているお母様がルナリアを連れてエレーナさんの大名行列に向かい、私はイディアさんと一緒にノイエラさんの大名行列に向かう。


 お母様とイディアさんが土の必要量を指示してくれるから、ルナリアと私は本当に土を作るだけで良い。

 時間的にどうなのかと不安は有ったけど、最初に木々を退けて開けた更地に収まる規模で済んだらしい。

 大穴を中心に取り囲んだ内側の防壁は一辺が60メートルほどの正方形で、外側の防壁は一辺が80メートルほどの正方形になった。


 高さは5メートルを超える程度だけど、急襲の初動さえ凌げる時間を稼げれば防衛は間に合うからね。

 刑務所の壁を思わせる本当に簡易な急造陣地だけど、ほんの1時間ほどで防壁は完成した。

 私たちは最低限の任務を果たしたわけだ。



生態系の覇者㊺です。


急造陣地完成!

このお話で本章は最終話となります!

次話より、新章、第44章が始まります!

次回、帰還!?


※少し手直しするつもりが、結構直してしまって大遅刻です!

 定刻にお待ちいただいて方々は申しわけございませんでした!

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― 新着の感想 ―
基礎工事が出来ないから建て付けが不安だね
いつかアスクレー君と研究が盛り上がる姿が見たいですね笑 フィオレちゃんは魔術師が出来るだけの研究者だからね…笑
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