第4話「力の解放」
「何で、出ないんだよ!クソ!」俺はそう言いながら必死に呼び出そうとする。
「レオナルド、もしかして君はまだ契約の言葉を知らないのか?」と教官が言った。
「契約の言葉?」そう質問すると。
「そうか、君は神との対話実験で力を授かった者だったな、では少し能力の行使について説明する」と言い教官の説明が始まった。
「まず、力が発現すると自分の内なる怪物から語りかけて来るのだ、ロバートとレベッカがそのパターンであり、二人共幼少の頃や、力が発現した際、脳に直接語りかけて来たと言う報告があった。」
「それは彼等が英雄の末裔であり、先祖達が直接語りかけて力の発現を促したからだ。」と言って。
「しかし、君の場合は特殊で、直接神との対話の過程で力を発現した、つまり外的要因で後から植え付けられたパターンだ」と説明した。
「この場合、我々でも契約をする手段が分からないんだ」と言った。
「そう気を落とすなよレオ、大丈夫必ず出来るようになるよ」
「そうよ、私も最初から出来た訳じゃないし、気にすることはないわよ」
その日俺は、いくら試してもあの時の銀狼になる事が出来ず、その日の訓練を終えた。
そして、そんな俺を心配して二人が励ましてくれていたのだ。
そして次の日も、そしてその次の日も試したが、結局俺は能力を発現する事ができず、初日から数えて、2週間経っていた。
そして、俺が己の無力感を感じながら眠りに着くと、また例のあいつが語りかけてきた。
「随分悩んで居るようだね、僕の愛しいレオ」と嬉々としてルナが言った。
「どう言う事何だよ?お前は俺に力を授けたんじゃないのか?なのにちっとも使えないじゃないか!」
そう言って俺はルナに詰め寄る。
「おい、おい随分と情熱的だね、まあ君になら乱暴にされても構わないけど」と頬を赤らめながら言うと。
「すまないねレオ、僕も最後の契約の儀式を忘れていたんだよ」と語る。
「まず君の疑問に答えるとするよ、君は何故あの日の夜に契約の言葉を使わずに力を行使できたのか、それは君の感情が昂ぶって一時的に君に授けた力と君の魂が共鳴していたから使えたのさ。」
そう言って話を続ける「だが本来は僕が仲介役となり獣と覚醒者双方を契約で結びつけるんだ。」と言う。
「そして契約締結後、覚醒者は仲介人つまり僕に報酬を払わないといけないんだ。」と言った。
「その報酬って?」と俺が聞くと、ルナは笑みを浮かべながら言った。
「それは僕が今一番して欲しい事さ」と軽く言った。
「分かったよ、それで力が手に入るなら頼むよ」と答えた。
「それじゃあ始めるよ、我、その身に獣を宿す者なり、我その力を欲する者なり!顕現せよ!
デッドOrワーウルフ!」そう言ってルナが唱えると、
俺の前に一匹の銀狼が現れた。
「さあ、これが君が契約する獣、白銀の狼王ワーウルフだよ」と言った。
「それで、俺は、どうすれば良いんだ?」と聞いた。
「それは、君と彼とで話してくれよ僕は、ここで見ながら報酬を考えるから」とにこやかに言う。
そして、俺がワーウルフと対面すると頭の中で誰かが語りかけてきた。
「小僧、我の力を何故欲する?」と語り掛けてくる。
「俺は大事な姉、リサを取り戻したい、だからこそ力が欲しいんだ!」と答えたが。
「ふん、違うな、お前は我に嘘をついているな、言え本当にお前の本当に求める理由を」と言われ、俺は答えた。
「リサの事は本当だ、だがそれ以上に俺はこの世界の不条理を憎んでいる、何故俺達がこんな目に遭わなきゃいけないのか、俺達が何をしたって言うんだよ!
俺はこの世界が憎いだから!俺は自分に降りかかる敵や俺の邪魔をする奴等全てを撃滅する力、俺自身の我儘を押し通す力が欲しい!」と想いの丈を語った。
「あぁ、あぁそれでこそ僕のレオだ、やっぱり君は僕の想定を遥かに越えてくるね!僕も我慢できなくなっちゃうよ」とルナは小刻みに震えながら歪んだ笑みを浮かべていた。
「ハハハ!良いぞ小僧気に入った!お前のその我儘とやらが何処まで通用するか、我も特等席で見せてもらおう、せいぜい足掻くんだな小僧」
そう言ってワーウルフの姿が崩れ、そして俺の脳内で言葉が聞こえた。「我、この身に獣を宿す者なり、我、この力を支配する者なり!」
その言葉を復習すると、俺の身体はたちまち作り変えられていき、そしてあの日と同じ銀狼へと変わった。
「おめでとう!レオ、これで晴れて、君も力を得ることができたね」と拍手しながらルナが言う。
「今回は礼を言うよ、ルナが居なければ、俺はこの力を物にでき無かったよ」と言って俺は獣化を解いた。
「それは良かったよ、所で約束は覚えているかい?」
とルナが言った。
「ああ、そう言う契約だよなで?何が欲しいんだ?俺に出来る事なら何でも良いぜ」と答えると。
「今何でもと言ったね?じゃあ少しつまみ食いするよ?」
「え?」俺がそう言った瞬間、ルナが俺に飛び付き唇を奪っていた。
ルナは、俺の身体に飛び付き押し倒した後、馬乗りになりながら俺の舌を貪った。
その舌使いは凄まじく、まるでヘビの様に絡めてきて
離さない、あまりの激しさに暴れて抵抗するが、子供の俺じゃ成すすべもなく、頭が真っ白になっていく。
そして時間にして数分後やっと俺は解放された。
「あぁ、とっても美味しかったよレオ!ご馳走さま」と笑顔で言う。
「何だよ、あれ」と俺が困惑すると。
「そうか、君まだそう言った知識がなかったね、まあ心配しないでくれよ、君の初めてのキスの相手はこの僕でその先もいずれは」と言って
「でも今はまだ駄目、これでも結構我慢したんだから褒めてよね」と言う
「これで、報酬は払ったろう?なら俺はもう行くぜ」
そう言うと「まあ、今日は君を味見出来たし良しとするよ、じゃあ又ね愛しいレオ、次機会があったらもっと愛してあげる」その言葉を最後に俺はまた深い眠りにつく、俺の中の新しい同居人とともに。
第4話 「完」
第5話に続く