第2話 「弔いの街」
「レオ!レオ!しっかりしろレオ!」
アリアの呼び掛けを受け俺は我に返った。
「いきなりどうしたんだ?突然顔が引き攣ったと思ったらこちらの呼び掛けにも応じず神の遺骸を見つめて」
俺は咄嗟にケースを見た、ケースの中のルナは目を閉じたままで動いた気配は無い。幻覚か、俺は内心安堵しながら心配そうな表情をするアリア達に応えた。
「すいません、いきなり突拍子も無い事を見聞きしたんで頭が混乱していました。」俺の説明を受け3人は一応納得してくれた。
「大丈夫そうで何よりだこの遺骸には適正があってね、資格の無いものは立っている事すら出来ない」
アーサーが遺骸を見つめながら言った。
「君達2人は合格だ遺骸は君達を特にレオナルド君を気に入った様だ」
「俺をですか?」
「おや、心当たりでもあるのかね」
アーサーの問いかけにレオが押し黙る、だが無言で首を振り否定する。
「師匠、レオは疲れている様ですし任務を2人に伝えて休ませましょう」ハヅキの言葉にアーサーが同意する。
「これは失礼今度個人的に話そうか」
「時間が合えば、、」
アーサーはレオにそう言って本題に入る。
「フリークス団長として2人に命ずる君達にはドグテニア連邦のある街の調査をして欲しい」
「ドグテニアですか?それでその街とは?」アリアの問いにアーサーが答える。
「街の名はフレッツェ、ドグテニア南部の田舎町だそこではある奇祭が行われているそれ故その町にはもう一つの呼び名がある。」
アーサーが光の精霊で十字架を作り言った。
「弔いの街」アーサーの指令を受け俺とアリアはフレッツェへと向かう事にした。
2週間後、
「着いたぞレオ」
「やっとですか国境を越えるだけで一苦労でしたね」
俺達はドグテニア連邦南部の街フレッツェへと来ていた。
馬車を降りると街は霧に包まれていた街は石造りになっており、建物や道の舗装もしっかりしていた。
「本当にここに神の遺骸があるんですかね?」
「それを調べるのが私達の仕事だろ?」
俺とアリアが談笑していると。
ゴーン、ゴーン、と大きな鐘の音が鳴り響く。
「あの建物からですね」
「どうやら教会の様だな、聞き込みがてら行ってみるか」俺とアリアは鐘の音を頼りに街の中心部へと向かった。
鐘の音の中心まで行くと古い大聖堂があった。
大聖堂の扉を開けた。中には人の気配が無く奥にはパイプオルガンとフレスコ画が鎮座していた。
「何か御用でしょうか?」突然声を掛けられ振り向くと若いシスターが居た。
「勝手に入ってすいません我々は教会から派遣された者です」アリアはそう言って懐から教会のシンボルである十字架を掴む荒鷲を見せる。
「これは私達の宗派とは違いますね」
シスターは自らの首に下げていたシンボルを見せる、それは俺達の物とは違い彼女のはベールで顔を隠したシスターが祈りを捧げる物だった。
「見たことの無いシンボルですね」
「はい、この地域だけの宗派ですので知らなくても不思議ではありません」シスターは改めて自己紹介する。
「申し遅れました私がこの大聖堂の管理者で唯一の聖職者のマローネ•ウォンツと申します。」
「私達は教会に属する機関フリークスに所属する狩人、アリア•テレシアと」
「レオナルド•クライフです」
俺達は自己紹介を終えるとマローネに案内され客室へと通された。
「それで、フリガルシアの教会の方々が何故こんな辺鄙な場所へ?」
客室のソファに向かい合いながら座りマローネが聞く。
「それは、、」俺が今回の任務の神の遺骸の話をしようとすると。
「実はこの街で行われる奇祭について調べる様に言われたのですよ」
アリアが間髪入れずに言った。
「奇祭ですか?もしかして弔いの儀の事でしょうか?」マローネがその祭りの詳細を語る。
今から400年前この地は深刻な疫病と不作による飢饉に苦しんでいた。人々は神の怒りのせいだと嘆き日々神に対して許しを請うた。そんな時にこの街の唯一の聖職者ミネルバ•ウォンツが人柱になる事で神に赦しを請うと言った。
彼女は普段から善人として人々から尊敬されていた、そんな彼女の決断に街の者達は反対したが彼女の意思は固く、街の中央で自らの身体に火を点け祈りを捧げた。彼女の身体は消し炭になりながらも祈りを辞めていなかった。
そして彼女の祈りが届いたのか街の疫病も治まりその年は記録的な豊作となった。人々は彼女の起こした奇跡への感謝と弔いの為に彼女の姿を象ったシンボルと共に大聖堂を建てた。そして毎年彼女の弔いの為に祭りが催される事となった。
「言い伝えではそうなっています、そして代々この大聖堂の管理者は彼女の姓であるウォンツを名乗る様にしています」
彼女の話を聞きアリアが言った。
「その祭りはもう終わったのですか?」
「いえ、丁度3日後に催されます宜しければ参加なさいますか?」マローネの提案に俺達は二つ返事で返した。
弔いの儀その祭りがどの様な物か知らなければ良かった、俺は鳴り響く鐘の音を聞く度にそう思う事になる。
第2話 完 第3話に続く




