第5話 「満月の王」
あれは夢だったのか?俺は昨日眠りに着いた、あいつの声で起こされた。
ルナ、あいつは俺に契約の続きを結ぶよう言った、
そして、俺はルナの仲介もあり、俺の中の獣、
銀狼ワーウルフと対話し、そして俺の本音をぶちまけ、そして契約を成立させた。
だが、その後のルナへの報酬が過激だった、ルナは俺に襲い掛かり馬乗り状態になり、俺の唇を奪い、そして俺の舌を激しく貪った。
それは、今まで感じた事の無い恐怖と同時に認めなくない快感があった。そして奴は事が終わると、俺の唾液で塗れた自分の口を舌で舐め取り、艶めかしい笑みを浮かべていた。
「それでは昨日と同じく、力の解放を行ってくれ」
教官はそう言って、ロニーとレベッカに言った。
力の解放が出来なかった俺は二人とは別の訓練を受けていた。「レオナルド、今日も君は、私と体術の教練だ」そう言って教官が構える。
この2週間まず二人は己の中の力と向き合う訓練を行っていた。やる事は簡単だレベッカは力を解放し自我を維持する訓練、そしてロニーは獣の力を解放し、能力の開発を行っていた。
俺は二人とは違い力の解放ができないので、教官と組手を通した体術の訓練を行っていた。
「随分と上達したな、蹴りのキレが増したな」と教官が嬉しそうに言う。「教官の教え方が上手いからですよ」と俺も返す、そして2時間程した後もう一つの訓練を行う。
「よし、体術の教練はここまで、よし、レオナルド力の解放を行ってみてくれ」と教官が言った。
いつもならいくら出しても出ないが、今の俺なら出せる確信があった。
「はい、分かりました」そう静かに答え、そしてあの時授かった、契約の言葉を口にした。
「我、獣を宿す者なり、我、この力を支配する者なり!」そうに言うと俺の身体は光に包まれそして、
一匹の美しい銀狼へと変わった。
「その姿はまさか!」と俺の姿を見た教官が恐れながら言った。「その姿は!伝説の英雄達ですら倒す事が出来なかったと言う」と一拍置き言った。
「神に寵愛されし満月の王、エドガー•フォン•ルナティック」そう答えた。
エドガー•フォン•ルナティック彼の伝説は今もなお人々に恐怖を植え付け続けている。
彼の伝説は1000年前に遡る、彼の出生は諸説あるが一番有力な説があり、彼は当時のフリガルシア法国の王である賢王ベケット•フォン•フリガルシアの妾との子だと言われている。当時のベケット王は表向きでは賢王として人々に愛されていたが、その本性は残酷で冷徹そして、女を道具としか見ていない卑劣漢だったと言う。
無論、エドガーの母親である妾が妊娠したと聞いても彼は、正妻との子供以外認知することはなく。
母親も城の地下牢に捕らえ、妊婦でありながら苛烈な拷問を行ったと言う。それでも母親は腹の子供だけでも護ろうと拷問を耐えた、だがそれも虚しく力尽き彼女の亡骸は森にひっそりと捨てられた。
そして彼女の亡骸は獣の餌となるはずだった。
だが、その時に奇跡が起きる、その奇跡は本来瀕死になっている者が受けられる筈だった、だが神は腹の子供にその奇跡を授けたのだ。
そして、その子供は授かった力で母親の腹を突き破り、そしてこの世界を呪い産声を上げた。
そして、成長した彼は自分の生い立ちを神から聞き、この世界に神と共に戦いを仕掛けた。
その戦いこそが3国を巻き込んだ戦い、その戦いは後の世ではこう言われている、1000年戦争と
そして、その戦争において、彼は自分を
エドガー•フォン•ルナティックと名乗り単騎で戦いを挑んだ。彼の強さは凄まじく、100万の軍隊ですら彼の暴力の前では無力だった。彼は全ての国を荒らし周り、彼の通った場所は屍の山が築き上げられたと言う。
だが、彼も12人の英雄を相手には無事で済まなかった。彼は瀕死の重傷を負いあと少しで死ぬ所だった。
だが、再び彼に2度目の奇跡、そして2つ目の能力を授けられた。その日は月が照らす満月の夜だった。
そして、瀕死の彼の身体は変化を起こし、獣化した姿に反映された。彼の元の獣化した姿は灰色の人狼だった。それが月の光に照らされ彼の身体は美しき銀狼へと変わった。
そして、彼はその場にいた12人全てに瀕死の重傷を負わせ勝利した。
そして、彼はその生涯を終えるまで、全ての国を蹂躙し尽くした。
そして彼の伝説は童謡や歌、そして伝承として残された。今でもこの国では子供を叱る時の言葉として。
悪さをすると、ルナティック卿がお前を食べに来る。
そう言ってこの国の子供達は幼少からその名を植え付けられる。
そして人々はそんな彼の名をこう伝える。
神の寵愛を受けし孤独なる満月の王、
エドガー•フォン•ルナティック卿と。
第5話 「完」
第6話に続く。




