第一話 一輪の花
<プロローグ>
皆さんは一度は思ったことがあるはずだ。転生して世界を救ってみたいと、これはそんな勇者に憧れた少年の物語である。
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<第一話>一輪の花
何もかもが嫌になった。
高校に入ってすぐにいじめられた。毎日のように殴られ、蹴られそんな日常を過ごしていた。自殺しようとさえ考えた。
だが死ねなかった。死なない理由があった。妹のために。
彼には妹がいた。両親は離婚し父は去り母は病気になり死に彼とその妹だけが取り残された。親戚からは嫌がられ誰も引き取ろうとはせず彼らは叔母の家に預かられた。
叔母はいい人ではなかった。ろくに家事はせず全てを彼らに任せて自分はずっと酒を飲んでいるような人だった。そんな叔母を彼らは嫌っていた。だが他に行くところもない。あったとしてもここと扱いはそれほど変わらないと彼らは知っていた。
彼は高校に入った。妹はまだ小学生、叔母は相変わらず彼らへの態度を変えず生活費を渡してあとは彼らに任せている。
彼は高校に入ってすぐにいじめのターゲットとなった。なぜか
、それは元々いじめられていたクラスメイトを助け標的が変わったのだ。彼は正義感が強かった。助ければいじめは終わると思っていた。だが、いじめを行う人間は定期的に玩具を変える
習性がある。その習性が当時の彼にはわからなかったのだろう
。彼へのいじめは日に日に悪化し、教師ですら手に負えない状況になりだれもが彼は学校に来なくなるだろうと予想した。
そう願っていた。しかし、彼は学校に来ることをやめなかった。彼を知る人全員が不思議におもった。なぜ学校に来ることをやめないのか。
その理由は単純だった。妹の手本になるためだ。妹は彼を慕っていた。何もしない叔母とは対照的に全ての家事をこなしながら学校に通っている兄を尊敬していた。
彼はそんな自分のイメージを崩したくなかったのだろう。ある種のプライドのようなものだ。そんな彼にいじめを行う人間は
よく思わないだろう。彼へのいじめはまた悪化した。
そんな日常が続いて半年が過ぎた頃、今まで何をされようと反撃をしなかった彼がついに手を出した。皆が驚いた。皆、彼は反撃などしない人間だと思い込んでいたからだ。彼の一撃は
とても重く、強く、いじめを行っていた人間に叩き込まれた。
彼には1ヶ月の停学処分が下され、いじめを行っていた人間は
全て退学処分となった。彼の噂は学校中に広がり停学明けの頃には学校の英雄とまで呼ばれるようになった。
彼は嬉しかった。そして疑問に思った。なぜ自分が手を出すまでまわりは何もしなかったのか。答えはすぐにわかった。
誰も彼のことを助けようとはしていなかったのだ。彼を可哀想とは思っていても、干渉はしない。自分がいじめの標的になってしまうのが嫌だからだ。これを全て悟った彼は人間を
見下すようになった。
彼は高校3年生になった。彼は生徒会長になった。学校の生徒全員から推薦されたのだ。そんな日常をおくっているある日のこと、中学生になった妹が夜7時になっても帰ってこない。
部活にも入っておらず、いつもなら夕方5時には帰ってくるはずなのに、彼は妹の中学校や妹の友達などにも連絡したが誰も妹の居場所を知る人はおらず、どこを探しても見つからない。
彼らの学校は田舎にあり。叔母の家も学校から近いのでどこかの店などにいるとは考えにくい。
そんな時彼のケータイにメールが届いた。
住所が書かれておりそれ以外にメッセージなどはない。彼はとりあえずそこに行ってみることにした。そこは彼がいつも通っている高校の住所だった。彼が行くと校門は壊された状態だった。勘のいい人ならこれから何が起こるか、わかるかもしれない。入り口のところに人影が見えた数人が立って待ち構えているような様子だった。その中には手首を縛られ、動けないでいる。その横には彼にいじめを行っていた人間が数名いた。
いじめを行っていた人間どもを仮に集団Aと呼ぼう。
集団Aは退学処分を受けた後ずっと彼に復讐しようと考えていた。だが彼に暴力で敵わないことはわかっていた。以前彼の一撃を受けてから集団Aは全員病院送りになっていた。彼は暴力が嫌いだったのでずっと暴力はつかわないようにしていたのだ。集団Aは考えた。集団Aはバカだがアホではない。
彼の情報を集め妹がいることがわかった。こんなうまい情報を
使わない手はなかった。なので集団Aは彼の妹に近づき拉致してきて彼を呼び出す餌にたしたというわけだ。
「助けて!お兄ちゃん!!」
彼の妹はそう叫んだ彼も何をしてでも助け出そうとした。だが
それを集団Aの人間が許すわけはない。彼に大人数で襲い掛かりついに彼は捕まってしまった。
「お前があの時!俺らに反抗しなかったら!お前の妹はこんな
ことにならなくて済んだのによーー!」
集団Aのリーダー格の男がそういうと妹の制服を脱がせ始めた
妹は必死に抵抗しているが体格差がありすぎる。彼も必死に彼を押さえている奴らを振り解こうとするができなかった。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!助けて!!」
妹はずっと彼に助けを求め続けたが彼も動くことはできない。
遂に妹は下着以外の全てを脱がされた。
「こりゃーすげーぜ!美人で体もいい感じなんて
俺好みだ!!!」
集団Aのリーダー格の男はそんなことを言いながら妹に近づいて行った。彼の妹は比較的美形で同年代の女子と比べても発育が進んでいる方だった。その男は妹の首を舐めた。気持ち悪い
、妹は震えている。そして彼の目の前で犯された。
妹は泣き叫び彼は泣きながら犯され続ける妹を見ている。
そんな光景が一晩中続き、彼の妹の心はとっくに壊れており
泣くことも抵抗することもせず妹はひたすら犯され続けた。
彼はもう涙が出ないほど泣き、心も限界で何も何も感じなくなってきていた。彼にとって妹は唯一の大切なもので彼の心に咲く一輪の花のような存在だった。それを汚され続ける姿を一晩中見ているのだ。彼の心は壊れていた。
そんな地獄が終わり、集団Aの奴らは妹にも飽きてきて帰り始めた。やがて全員が帰り彼と彼の妹だけが残された。
もう朝方だ。流石に学校に来る生徒や教師にこんな妹の姿を見せるわけにはいかないと思い彼は妹に歩み寄り手を差し出した。その手を妹は弾きこう言った。
「お兄ちゃんなんて、大っ嫌い」
妹はその3日後自殺した
彼は生きる意味を無くしてしまった。いままで心の支えであった妹がもういない世界に生きる価値などないと彼は自らの首をナイフで切り死んだ。
「それで?君はこれからいままでとは違う世界にいってもらう
わけだが、よかったのかい?また同じ世界で前回とは違う
幸せな人生を送らせてあげることもできるのに。」
俺の目の前の神と名乗る人物がそう尋ねてくる。そして俺は答える。
「いいんですよ。今はとりあえず何かを壊したい気分なんです
よ。神様」
「そんなノリで世界でも壊されたら、僕も他の神に怒られちゃ
うんだけどねー、まあ行ってらっしゃい葛西秀君」
そう言われて送り出され俺はとある村の少年に生まれ変わった。記憶は保持されている。全て覚えている。
「ここが俺の新しい世界か、じゃあ、
ちょっばかし俺の八つ当たり付き合ってもらうぞ」
続く