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58 焼印

 四日目にやっと国境の門には昼過ぎに着いた。門にいた衛兵に馬車を降ろされて門の奥にある部屋に連れて行かれる。


「腕を出せ!」


 私は飛び跳ねるほどびっくりしたけどお母さんは直ぐに言う事を聞いて袖を肩までまくり上げる。そういえば今朝はお母さんにこのワンピースを着ろと言われたものを着たのだった。それは袖を肩までまくりあげられるワンピースだった。


 お母さんの腕を一人の衛兵が抑える。もう一人の衛兵が火鉢から棒を取り出すとその先の方は赤々として親指ほどの太さがある。それをお母さんの腕に押し付けた。


『ジュッ』


 嫌な音がして獣が焼けるようなにおいがしてお母さんの顔が歪む。


「いやぁーー!!」


 私は扉に向かって逃げ出した。でもすぐに捕まってその衛兵の腕の中で私は暴れた。もう一人の衛兵が来て私を抑える。さっきお母さんにしたことを私にするつもりだとわかった。


 けれど、こんなに私に悪いことをしようとする人たちがなのに何も頭に浮んでこない。

 それもあって私は余計にパニックになった。

 

『バチン!』


 頬に痛みが走り私は動きを止めた。


「ダリアナ! 私たちは生きるのよっ!」


 私を叩いたのはお母さんだった。初めてお母さんに叩かれたショックと理解したくない状況に座りこんでいるとお母さんが私の袖をまくりあげた。

 そして、ものすごい痛みがうでを襲った。


「きゃーーー!!! 痛い! 痛い! 痛い!」


 衛兵に変な薬を無理やり飲まされた。


「痛み止めの薬だ。本当はこんなことしたらダメなんだけどな。罪人とはいえ嬢ちゃんはまだ小さい。すぐに眠るだろう」


 衛兵に担ぎあげられて馬車に乗せられる頃には私は寝ていた。


 私は起きているのか寝ているのかわからない中でプカプカと浮かんでいる。

 黒目黒髪の女性がお腹を抱えて笑いながら一人で喋っている。


 私にはその意味のわからない話を聞いていることしかできなかった。


「あ〜あ。ダリアナが幸せになるために大切なことはちゃあんと見せてあげたのに」


『この人を見るのは初めてじゃない。どうして忘れていたんだろう?』


「私、クラリッサの事が大嫌いだったからあんたを作ってあげたのよ。活躍してくれなきゃクラリッサが幸せになっちゃうじゃない。ホントに役立たずね」


 私の目からぽろりと涙が落ちた。


〰️ 〰️ 〰️


 私は日本という国で極極普通の社会人をしていた。たぶん死んだんだろうけど死んだ理由なんて覚えていない。覚えているのはこの世界に関することだけ。

 生きていた時の私はネット小説が好きで読み漁っていたけど大好物はど不幸エンドものだ。


 そんな中、人気になった小説を友人に薦められて読んでみるとハッピーエンドのゲロものだったの。

 その小説は人気になりすぎたのか隠れ二次創作が作られ無差別的にアップされていた。これはいいと思い私はクラリッサがど不幸になる二次創作小説を書いてアップした。


 私が作ったダークヒロインがダリアナだ。


 美人で無知で傲慢で自信家。まさにダークヒロインの鑑のような女の子。

 クラリッサみたいに大人しくていい子ちゃんで真面目で皆に愛されるなんてゲロ気持ち悪いわ。


 そんなダリアナに憑依できたと思ったのに私にはダリアナを動かすことができないとわかった時にはつまんないと思ったわよ。

 でもポイントを絞って映像をダリアナに送ることができた時にはあまりの面白さに興奮したわ。


 ダリアナを操ってクラリッサをど不幸にするためにいろいろ考えたのよ。


 でもなぜかボブバージルに活躍されて上手くいかなかった。

 クラリッサは本当に人気で私の小説にもたくさんの悪口感想が書かれて私はその度にほくそ笑んでいたんだけど、誰かが私の二次創作の二次創作を書いていて私はそっちの世界へ飛ばされたのかもしれない。ホントにムカつく。


 でも、罪人の刻印なんて貴重なもの見れたしいいか。


 エイダを銭ゲバお化けに設定したのは私なんだからその辺は感謝してほしいわよね。

 バリーは本物のクズだからあんたらを追いかけてなんてこないわよ。きっともう新しいパトロン探しをしているでしょうね。モテモテ設定にしてあるからしょうがないのよね。


 なぁんて。ダリアナには目を覚ましたら私のことは忘れてもらうけど。


 隣国へ行ったら私の力ってどうなるのかな?


 うふふ。楽しみだぁ!!

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