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桃の花をあなたに〜花言葉をキミに贈ろう〜  作者: トン之助


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32/52

作戦

 今日も今日とて千姫せんきの家に入り浸る。


 すき焼キス事件から1週間が経ちなんとかお互い以前と同じように話せるようになった。ただ、顔を見て話すことはなかなかできないけど。


 そして、恥ずかしさを隠して私はできるだけ毎日彼の家に足繁く通った。まるで通い妻のように。


「ふふっ通い妻……いい響き」


雪音ゆきね? どうしたの?」

「へっ、いやなんでもないよ! なんでもない」


 忘れていた。

 今は自分の部屋じゃないんだ。そしてこの数日の間に考えていた作戦を少しずつ実行する事にした。


「ふんふふ〜ん♪」


 わざとらしく鼻歌を歌いながら持ってきた雑誌をパラパラ開く。タイトルは


『ドキッ! 真夏の海の乙女達徹底解析! 水着でハートをキャッチング』


 ふふふっ。この雑誌をこれみよがしに見せつけて自然な流れで夏休みの予定をゲットよ。あわよくば千姫の好みの水着をサーチ。そしてそのままデストロイ……いやそれはまだ早い。


「あっそう言えば!」


 おっ早速食いついたか千姫くん。レジャープールでも海の家が素敵な海水浴場でもどんと来なさい!


桃太郎ももたろうの定期検診無事に終わったよ。健康そのものなんだって!」

「ふぁっ?」


 くぅぅ……食いついたのは犬だったか。


「そ、そっかぁ良かったね〜桃太郎〜」

「ワフワフッ」


 私の足元でぐるぐると回転しているお茶目さん。


「せ、千姫……その他に何かない?」

「ん? 他に?」


 パラパラ……チラッ


「エッホンッオッホン……暑いねぇすっごく暑い」


「あっエアコンだね。ごめんね気付かなくて、女の子って冷え性の人多いって聞いたからつけない方がいいと思ってた」


「そうじゃないよぉ〜コレ見てわかんない?」

「えっ?」


 私は半泣きで崩れ落ちながら雑誌を彼に見せる。作戦もへったくれもなくなってしまった。


「海……水着……あっ」

「千姫のにぶちん……」


 彼は見開かれたページをチラリと見ると少し微妙な表情で呟いた。


「水着……か」


 女の子の水着を見て恥ずかしくなり微妙な顔をしたのだと……この時の私は勘違いをしていた。


「せ、千姫はどんなのがいいの?」

「僕?」


 彼の正面に座り下からページをパラパラめくる。しかしその体勢はまずかった。


 雑誌に目を落とす彼は急に真っ赤になりワタワタと顔を隠す。


「千姫、ちゃんと見てよ!」

「いや、それはダメだよ」


 往生際が悪いんだから。もういっそ彼の好みを聞いてしまえ。


「はっきり答えてよね、どんな色なの?」

「えっ色? ピ、ピンクかな」


 なるほど、千姫はピンクがいいのか。私と好み一緒じゃん!


「どんな形?」

「形? えーっと……」


 そうか形じゃわからないか、ならば。


「上下セットになってるやつがいいの?」

「上下セット? そ、そっか雪音はお揃いなのか」


 いよいよ私もわからなくなってきたぞ。水着の好みを聞くだけでそこまで赤くなるかな? ちょっと攻めてみるか。


「もっとこう細いヤツとかどう?」

「細いヤツ……それって紐……」


「ま、まぁあんまりアレだと恥ずかしいけど、千姫になら見せてもいいかな」

「……」


 彼は黙ったまま天を仰ぐ。


「千姫どうしたの? こっち向いてよ?」

「いや……もう無理」


「なんでよ! しっかり見なさいよね! じゃないとわかんないじゃん」

「十分わかったから! おわっ……ちょっ」


 グイッと彼の服を引っ張ると勢いよく私の方へと倒れてくる。


「きゃっ」

「ゆ、雪音?」


 さて、今日の私の服装をおさらいしておこう。

 夏が近いという事もあり薄いブルーが印象的なワンピース。暗い雰囲気を消し去るような空の色。そしてほんの少しだけママから借りた石鹸の匂いがする香水を付けてきた。清潔感が大事だと思って。


 夏の空色のワンピース。ビーチで泳いだ後のシャワールームのような香り。そして私の目の前には、夏の日差しよりも赤い太陽。


 失礼……私の目の前いや足元に。



「せ、せんきの……」


 震える拳に力を入れて精一杯叫ぶのだ。


「せんきの……ばかぁぁぁ」


 バコンッ



 私の今日のショーツは桃色ピンク。

 ブラはスポ……なんでもない。



 まったく。徐々に外堀を埋める作戦がお色気作戦になるとは思わなかったよ。



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