暇すぎるので天地創造
暇だ。
暇すぎる。
なにもない『ここ』で、何億回かの独り言をつぶやく
否、肉体などという堅苦しい入れ物など、
とっくに脱ぎ捨て、 口などない。
音などなく思念のみが頭の中に反芻していく。
そもそも『ここ』に空気どころか距離や空間という
概念があるかどうかも、どうでもよすぎてわからない。
今一度、己がなにをしたいか考えてみる。
遥か前は、認識出来るもの全て破壊する事しか考えてなかったが。
己のもっと別の欲望、遥かな時のなかで思考にこびりついた欲の形を、
食う寝る遊ぶなども超越してしまった、己に残ったあの輝きを。
めっちゃかわいいショタによしよしされて~な。
「よし、星つくるか。」
思考より湧いた音によって、
『ここ』にポツンと丸い石が瞬時に出来た。
いや、違うよ?
もう性欲とか、ないからね?
只これは、ほら、なんというか、
たまには甘えたいな~みたいな?
ね?
え?
ショタの理由?
少年から溢れでる母性愛に比較できるものなんてないからですが?
女の子も確かにいいけど、ショタでしか得られない暖かみがあるんだって。
いや、
わしが特殊なんじゃなくて、
ほら~こうしている間にもう水と熱も創造できました。
此であとは、星に命を吹き込むのみ、
星に小さな小さな命の雫を一滴垂らす。
………大丈夫かな~これ、
足りなくない?
もうちょい垂らす?
なんか肉体あったときに食べてたパスタ?のあの辛いやつ思い出したわ~名前なんだっけあれ?
まあいいや、多すぎなきゃ大丈夫でしょ?
ぱぱぱぱっと♪
よし、あとは寝て、いや瞑想してまちまーす。
星に緑か生えていた。
カビ生えてる~!!
ってこれ木か、小さすぎてわかんなかったわ、
なんか水の中に動いてるやつもいるし、成功っぽいな!
いや!!わしすげー!
一発で、成功するかねこれ!
でも人間にならなかったら意味がない。
この星の目的はかわいいショタをつくること。
ちょっと遅いな。
えい♪
トポポポポ♪
こんだけ命の雫入れたら大丈夫っしょ♪
この状態で三億年待ちまーす♪
「…。」
あ~楽しみだな。ショタ。
「…よ。」
エプロンとか着せて、「もう。早く起きてくださいよ!」
とか言わせて~。
「主よ。」
あと、「もう、僕がいないとほんとダメダメなんですから♥️」とか聴きて~。
「主よ!」
おうっ?!
えなに?
この星喋った?
「主よ、お聞かせ下さい。我々の存在理由を。」
いや、これは、この星の人間どもか、
わしに対話出来る程成長…いや進化しているようじゃな。
ちょっと長く深く瞑想しすぎたかな?
「主よ?」
「ショタじゃ。」
「はっ、………………は?」
「かわいいショタをつくるためじゃ」
「…我々を。」
「早う、ショタを貢げ。とびきり可愛いく、信仰深く、可愛いく、母性に溢れ、可愛いく、料理上手で、かわいく―」
「我々を、裏切ったのですか。」
「なに?」
おかしいな、神々しさマシマシで言ってあげたのに。
「そんな、下賎な欲望の為に、我々を。我々を!」
「下賎?否、この世界において最も神聖なものよ。」
「もう、いい。」
「主、いや、悪魔よ。我々は今、お前を落とし解放される時。お前を、殺す。」
ほう。面白いではないか。わしを、か、
少しだけ、ない胸が踊るようだ。
忘れてた何かが、弾けるような、ワクワクするぞ。
「くらうがいい。悪魔よ!これが我々の全ての歩み、その総算、結晶にして、未来の礎。星の命を集めた星兵器!クナグラを!!」
星の命? 命の雫か、確かに、アレはわしの一部の様なもの、
もしや、すると、わしを。
「クナグラをくらえば、概念すら残らん!死ね!悪魔!!!」
星の一点が輝くと光の柱が此方へと延びてくる。
そして思い出した。パスタの辛いあれ。
よくかけすぎて後悔してたわ、あれ。
「クナグラか、ダサいが良いの。」
「死ねぇぇ!!!!」
「名があるというのは。」
ピタリ、と光が止まる。
「なんじゃ、まだ時空間すら操作出来ん文明じゃったか。」
既にない、手を、イメージする。
棒付きキャンディーの様になったそれを掴む。
その技に名などない、
なぜなら名とは他者に呼ばれるためにあり、
全てを壊すその技は己しか残さないからだ。
いや、それ以前にそれは技ですらなく。
己にとってはただの所作であった。
キュッ♪ っと。
握りつぶすと、星は極少の点になり、
パキリと割れる。
……ちなみに、そとあとに起こる現象を
ビックバンという。
「うおっ!」
一瞬にして、『ここ』が黒くなりキラキラと超極少の星々が生まれる。
「あー、……こーやって宇宙って創るんか。確かに握り潰したのは初じゃな。」
キラキラの星々をみて懐かしさを噛み締めると、
「可愛いショタ、この中から探すのか。」
めんどくさく、諦めたくなるが、
「まあ暇じゃし、いいか。」
「待っておれ!可愛いくて母性愛溢れるショタよ!」
そうして、己の旅が始まった。この宇宙で最も尊い、神聖な欲望を、叶えるための旅が。
今、始まる。
※これはラブコメです。
次回
暇すぎるのでショタで降臨