監禁されたんだが
俺は午後の座学の時間ずっと考え事をしていた。そう、銃は作れないのかと。
確かにこの世界には銃という銃は存在はしている。だが、種類は少ないしやたら本体の方は高いし、弾はまず全然売ってないしと、かなり希少なものだった。おまけに殺傷能力なんてほとんど皆無だし。
そんなことを考えていると、
「アルフ!!この魔術式に入る魔素記号はなんだ?」
うおっ指名されたし...今までは一回も指名されたこと無かったのに。まぁ、あ?この式ゴミレベルに簡単じゃん。
「フレガイン中枢魔子で係数は3。マオン式はFrg²⁺....」
「せ..正解だ...お前これ不意打ちで出したがこの問題、3年でも解ける確率0.2%未満だぞ...」
「は?...シルバノア先生嘘ですよね...?これ多分誰でもできると思うんですが...」
俺の言葉に周りが凍り付いた。は?だってこれただ単に魔素記号言うだけだろ?周期表に書いてあんだろ。
そこで隣の席のサリナが一言、
「アルフ、この周期表にそんな魔素記号載ってないけど、どこでそんなの知ったの?」
「え”?...」
そう言われて周りを見渡すが、サリナの意見に同意するようにうんうんと頷き始めた。あ、まってそういやこの国みんな馬鹿だったの忘れてたわ。だって俺以外入学時のペーパーテスト0点近かったもんな...そりゃそうなるわな。
「まぁ、独学かな...」
「アルフは凄いな、こりゃあ賢者候補に入っちまうんじゃねぇのか?さてと、次の問題行くぞ~」
何とか乗り切った...俺は教科書を無言で見つめる。それにしてもこの教科書の周期表俺が前見たのより半分近く減ってないか?気のせいか?
まぁ、いいやこの科目は寝よおっと。はぁ...おやすみ...
そうして俺は深い眠りにつくのだった。
そして俺が起きた先は。....おいちょっと待てどこだこの教室....俺さっきまで魔学Aの授業で寝てたよな?
なんでもうこんなに日が暮れてんだ?
それに、手を椅子の後ろに縛り付けられているようだ。これは、
「監禁...か........まぁ、俺にはそんな下らないプログラム、消し去ってやるよ...『program』....このオブジェクトを消し去れ。」
そう呟くと、俺の目の前のオブジェクトは消え去った
そして俺はこの教室の張り紙を見て、
「ふぅ、まじでしょうもねぇこと済んだな生徒会はよぉ。握力の項目まで消し去ってやろうかな。」
そう俺は悪態をつきながらも、迫ってくる気配を感じ取り体制を整え、
「第1階梯フィジカル・リフレクション。第1階梯リフレクション」
物理反射と魔術反射を重ね掛けし、最終的には、
「第17階梯グランド・glow souls」
俺の基本ステータスを極限まで倍増させた。さぁこい、素手で叩き殺してやろう。
そんなことを考えながら俺はドアの前に立った。
ドアが開く、そして俺は笑顔かつ気持ち悪いくらいの敬語で
「こんにちは。俺に何か御用でしょうか?...会長サマ?」
「うっ....わぁぁぁあ!?」
俺を見るなり、奴はドアから直ぐに離れて尻餅をついていた。
俺はそれを見て貶すように「ふっ」と笑った。あれ?前回同様に脳筋っぷりは見せてくれないのか?ほら、イキナリ魔術放ってきたりだとかさ。まぁいいや、敬語を続けようかな。
「もう、何なんですか?会長サマ?こんな1年Eクラスの最下位に3年Aクラスの主席のアリアーヌサマがなにそんなに怯えているのです?ほら、いつものように貶せばいいじゃないですか?」
「やめ...て...くれ...頼む...許してくれ...」
「あ~、もうこんなに怯えちゃって面白くないから敬語やめよ~っと。で?何が目的だ?」
俺がそう聞いても、返事は帰ってこず、目の前の奴はずっと涙を流し続けている。はぁ~、しっかたねぇな。
「おい、Eクラスかつ最下位のヤツのハンカチなんざ使いたくねぇと思うんだが、取り敢えず泣き止めよ...な?第2王女サマが泣いてちゃあこの国おしまいだぜ?」
そう言って俺はポケットの中に入っていたハンカチを取り出し、目の前の奴に突きつける。俺はハンカチを「そんなものいらない」といって相手が闘気を出してくれるか少し期待をしていたが、コイツは素直に俺のハンカチを手に取り、涙を拭き始めた。
そして数分後、俺とこの泣き虫王女は生徒会室の中に戻り、話し合っていた。
「で?第2王女王女サマは最下位の俺に何の用があってこんな小学生みたいなことしてくれたんだ?」
「ただ、こんな私がアルフ様をお呼びしても絶対に応じないと思ったので...」
「まぁ、俺は100%お前の呼び出しには応じないだろうがな。俺はただでさえお前らみたいな権力持ったお子様ハッピーセット脳のヤツが嫌いだからな。」
「即答ッ!?....では私が王令で呼び出していたとしたら?」
「まぁ、この国の王制度ごと消し去るな。身分制度なんて、くだらないものだしな。」
「...そうか。では本題に入らせてもらうが、アルフ様の『ユニークスキル』についてだ...」
おぉ、こいつ人の事情にずけずけと入ってくんなぁ。まぁ、多分ローゼンが俺のことをバラシてるだろうし、話してもいいか。
「単刀直入に言う、お前の『ユニークスキル』はモノを消し去る能力だな?」
「ブフッ!!はははは!!お前あったま悪いんだな!!俺の戦い方見てて出た結論それかよ!!....まてよ、お前まだローゼンから何も聞いてないのか?」
「ローゼンからは何も聞いてはいない。コレは私が興味を持ったから聞いているのだ。さぁ、早く私に教えてくれないか?」
「お前、知らないほうが幸せな話って知ってるか?お前この話を聞いたら一生俺に逆らえなくなるぞ...」
俺は本気で心配をしていた。だってこんなヤツが俺の『ユニークスキル』の話なんて聞いたら自分の人生つぶすことになるんだぞ?
「そんなことはどうでもいいのだ!!私はいち早くアルフ様の力を知りたいのだ!!」
「はぁ~、まぁそこまで言うなら...じゃあ、さっきお前が言った事なんだが、『program』...オブジェクト生成、stone.obj」
『視点情報から座標を指定、x=273628.020067 y=456309.882782 z=000001.464097 g=64.37kを代入完了』
すると俺の目の前に高さ1メートル横幅1メートル縦幅1メートルの自然なつくりの石がそこに現れた。
「さて、これを見てお前はどう思うかだ。」
「あっ....ぁあ........創造神...様の...力...」
「まぁ、世間一般的にはそう言うんだろうな。これが知らなかったほうが幸せな話だ。」
俺の目の前で再びアリアーヌは尻餅をついた。
「これを見たうえでの相談なんだが、俺の序列戦強制出場を取り消すことは可能か?」
アリアーヌは少し固まって、ぎこちないように口を開く。
「申し訳ありませんが...もう取り消せないのです....ご容赦ください...」
「は?」
俺は口をぽっかりと阿保みたいに開けて絶望した。