生徒会長サマ
「はい、皆さんおはようございます!今日は昨日予告していた通り、Bクラスとの交流戦があるのですが、なんと、急遽生徒会の皆さんが身に来て下さるそうです!!大変だと思いますけれど、みなさんで力を合わせてがんばっていきましょう!!」
シー先生は明るく元気に言っているが俺らはみんな黙りこくっていた。無論全員表情筋が死んでいる。もう絶望の色しか見えない。
シー先生はそんな俺らの表情を見て少し笑顔を崩して、
「お~!......」
と言ってみたのだが、俺らの返答はというと、
「....ぉぉ....」
今すぐ死にたいと言ってると同然の返答だった。そりゃあたりまえだよね。寄りにもよって生徒会に店閉めるような形でBクラスと交流戦だなんて。見世物かよ俺らは。ま、俺は今日こそ保健室に...
「英雄アルフ~!!今日も1試合だけでいいからたのむよぅ!!...流石に俺たちだけじゃむりがあるよぅ...」
「アルフ様ぁ~!!頼むよぉ~...」
「神様~....」
全員涙目になりながらこちらを向いてきている。だが、今日こそ俺は保健室に逃げ込むんだ!!絶対にこの考え方を曲げな...
「アルフぅ~、私も頑張るから、ね?おねがい~...」
やめろお前にそんなことされたら俺は...
「わーったよ!!今日も1試合だけだからな!!お前らサリナに泣いて感謝しとけよな!!」
くそぅ、俺はまたここでサリナに負けちまうんだ...
時間は進み、授業が始まったころ。
「これより、由緒正しきBクラス対Eクラスの模擬戦を始める!!生徒一同、敬意をもって戦うように!!」
おい、お前らAクラスより敬意がなってねぇじゃねぇか。おい、その発言ゴリゴリ矛盾してんぞ。自分で言ってて分かんないのかよ。
そんなことを考えながら俺は目の前にいるBクラス代表ではなく、その横に立っている生徒会の方を見ていた。
右から、アリアーヌ=テイラー=エスパルザ、ハーマン=ケリガン、シャロン=エスピノーザ、ローゼン=リライトのようだ。何とも素晴らしいメンツだ。俺に書き換えられたとは知りえもしない連中だ。特にアリアーヌの方に至っては『ユニークスキル』を消し去ったからな。
そう思うと俺の口角は少し上がった。お、ローゼンに見られたな。まぁ、別に関係ないけど。
俺が睨み返すとローゼンはビクッと肩を震わせているように見えた。
お、流石会長サマ、ローゼンの反応に気が付いて俺に魔術を打とうとしたな。でも残念。お前のmpの最大値は0なんだよなぁ。
俺はアリアーヌの魔術がスカッと消えるところを見てあからさまに煽るようにクスリと笑った。
そしてアリアーヌの魔術が不発したことに気づいたローゼンは見るからに青ざめた顔をしていた。
時間は進み、無駄に長い説明が終わった後、俺はいつものように訓練用の剣を借りては
「さてと、そんじゃ今日も一試合だけやってきますか。『program』...前回同様に再構築しろ。」
『短縮文を検出。前回のビルドからソースコードを検出。....パッチ対応完了』
俺は前回同様に基本ステータス10倍を付与したただの訓練用の剣に書き換えた。そして競技場の端っこまで移動し、体育座りをして、コートに呼ばれるまで待った。
「まぁ、サリナが負けることはないし、大丈夫だろう。ふぁぁぁあ...眠い...」
俺が一人ごとを呟いてウトウトしていると急にアナウンスが流れた。
「Eクラスのアルフ!!至急3コートに来てください。繰り返します...Eクラスのアルフ!!至急3コートに来てください。生徒会長様がお呼びです...」
「はぁぁぁ!?なんで俺があんなのに呼ばれないといけねぇんだよ。ふざけんな!...ったく、もうクラスのみんなに1試合だけやるって言っちまったし...行くか。」
俺は少し憤怒を抱きながらいつも通りに、ノロノロと3コートに向かっていった。
俺が付くと早々に、
「ソナタがアルフであるか!!私の呼び出しに急いでこないのは何事だ!!身の程をわきまえろ!!私が1戦してやると言っているのに!!」
あ~あ、第2王女まで脳筋かよ。何なんだこの学園は...まともなヤツ1年Eクラスにしかいねぇんじゃねえの?
俺は少したまった憤怒煽り飛ばすように
「あ~そうですか、そりゃまことすばらしいことでごぜーますわね。というか、俺アンタと学年違うんだけど?これってイジメってやつです?児童相談所に連絡入れますよ?」
へっと笑い飛ばすように言ってやったぞ!!これで相手が脳筋だったらクリティカルヒットだな!
「....死刑だぁぁぁぁ!!第6階梯ノヴァ・ストライク!!」
俺は聞いてて呆れていた。だってコイツ魔術が使えないことにさっき気が付いたくせに魔術使ってやがんだぜ?
俺は目の前で無残に魔術が消え去るのを目で確認してから、オーバーキルかもしれないが、
「第26階梯 エンチャント・ブレイブ・Death Spirit」
と呟いて、訓練用の剣に死の精霊が付いたことを確認してから、1歩。アリアーヌのまで超高速接近し、首を切断した。死の精霊というのは、確定ではないが、必ず絶命させる運ゲー技なのだが、俺には確率の乱数を全てただ1つ、成功の100%に書き換えたため、確定キルになるわけだ。
俺が斬り捨てたあと、審判の方を向き、こう言い放った。
「俺の勝ちでいいですよね?あ、あと早く蘇生士読んできたほうがいいですよ。アリアーヌ=テイラー=エスパルザ第二王女様、御強かったです。対戦ありがとうございました。それでは。」
今回はさらにスピードを上げたためか、近くにいたローゼンでさえ反応できなかったようだ。このくらいがちょうどいいんだ。
俺は清々した気分で闘技場を出て保健室まで歩いて行った。
彼は先ほど何と言っただろうか。私は彼の剣に斬り捨てられた。しかも首を。蘇生士が居なければ今頃私は
殺されていただろう。それにしても、
「第26階梯....彼は確かにそう言った。」
私が少し真面目に考えていると、ローゼンが一刻も心配したように
「会長、大丈夫ですか?.................生きていて良かった....」
今ローゼンは何と言った?生きていて良かった?
私は探りを入れるようにローゼンに向かって強めの口調で、
「ローゼン、何を隠している。すべてを話せ。」
「...話せません...」
「何故だ、会長命令だ話したまえ。」
「...申し訳ございません、会長。このことはアルフ様から他言無用と命じられておりますので...それに」
「それに?」
「このことを話す前に一つ言っておきます。会長、貴女は人の心が読めるはずの『ユニークスキル』をお持ちのはずです。何故使わないのですか?」
「...っ!?」
言われてみれば確かにそうだ、私は相手の行動をいつでも読み取れるはずだ。なのに今はローゼン意思すらも読み取ることができない...
「会長が今お気づきになられたのはアルフ様の力の1%にも満たない内容です。私はこの件については他言無用なのです。申し訳ないのですがご理解ください....」
そう言ってローゼンは闘技場から出て行ってしまった。
「どうしたんです?会長?僕が見るに、さっきの彼、なかなかのやり手でしたね。そう思ったでしょう?」
「ふざけるなハーマン...奴はなかなかっていうレベルではない...序列戦、彼が出ることになったら、学園が消え去るぞ...」
私は初めて恐怖や畏怖を感じた。