第1部 絶望の始まり ④輝く剣 魔法剣!!
ティルは、輝く剣を振りかざした。剣を動かす度に輝きで、剣の残像ができた。
『とにかく、二体の死霊が近づききるまでに、目の前にいる死霊の首を跳ね落とす。』
ティルは考え、すぐさま行動に移した。死霊は剣を上段に構えていた。ティルは自ら踏み込み、死霊が剣を降り下ろすのを誘った。死霊が剣を降り下ろした瞬間、右側に素早くステップをおこなったと同時に前方へ飛び跳ねた。光が弧を描いた。死霊の後方に着地したと同時に死霊の首は落ちた。輝く残像は、まだ残っていた。
ほっとする間もなかった。既に二体の死霊は手が届く所まで来ていた。ティルは自分の握力が無くなってきていることに気がついていた。
息を大きく吸い呼吸を整えようとした時には、二体同時に襲いかかってきた。再び右側にステップをするも、一呼吸遅れた。不覚にも死霊の斬撃を剣で受けざるおえなかった。簡単に後方へ姿勢は崩された。
もう一体の死霊がティルの左側に回ってきた。ティルが態勢を整えようとした時、口から黒い霧を吐いた。再び光り輝く剣を盾にした。輝きが致命的なダメージから救ってくれた。しかし、今度は大きく後方に吹っ飛ばされ、石畳の地面に叩きつけられ転がった。
「うっ。」
息が詰まり急には立ち上がれなかった。
死霊が近づいてくると思った瞬間、光の矢が飛んできた。二体の死霊を貫き、死霊は黒い霧となり消滅した。ティルは、ただ唖然とした。
光の矢が飛んできた方向から声がした。
「姫様、大丈夫ですか?」
部隊隊長補佐役ホスマであった。まだ若い魔法使いで、眼鏡をかけており顔に真面目と書いているような人物であった。馬に乗り何人かの部下を引き連れていた。ティルは、心底ほっとした。
「私の場所が、よく分かりましたね。」
ティルは胸を押さえながら身体を起こした。息が、まだ上がっていた。実践が、こんなにも疲れるとは思ってもいなかった。実は魔法使いジエラックは独断でホスマに姫様の所に行くように指令を出していたのだ。
「師匠のジエラックが城と魔法図書館を結んだ直線上にいると教えてくれたので(テレパシーで)姫様のことだから屋根の上を、走ってくると言ってましたよ。ちなみに助けたことは王に内緒ですよ!」
口に指を当て、笑いながら答えた。ホスマには屋根の上を走るなど考えられない発想だった。
「壁を壊しながら、真っ直ぐ走るよりかは常識的でしょ!」
ティルも笑った。すぐにホスマから回復魔法をかけて貰い、現状が思わしくないことを教えて貰った。