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ライト&ダークファンタジー  作者: 天使の中ちゃん
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第1部 絶望の始まり ⑭動き出す闇の勇者

 3階大広間にてティル、カルタ、サークルカイトの技師3人で簡易であるも、サークルカイトの改造を行っていた。  



 サークルカイトの羽の角度を変え、下降しやすくした。操縦席下にクッションを入れ、着陸の際の衝撃を緩和させようとした。羽の付け根にスカイドラゴンの皮を縫い付け、羽がもげる可能性を低くした。などなどアイディアを出し合い、できそうなことは、すぐに取り入れ、加工した。



 技師が言った。


「まさか、サークルカイトで下の大地に行くという発想が出るなんて・・・・。思いもしなかったです。」


『現実世界で、例えて言うならば、幼児の玩具の作りの車が、F1カーと同じ速度で走る感覚であった。』


「はっははは。私もだ。」


カルタは笑った。ティルは苦笑していた。


「でも、これが私らの運命を決めるのですよね?」


技師は信じられないという顔をした。


「そうよ。あとは私に必要なことある?」


ティルは聞いた。


「そうですね。あとは、お姫様の操縦テクニックと根性と運でしょうね。」


技師は浮かない顔で言った。カルタは、どこかで聞いたセルフが可笑しかった。


「あら!?運も必要?」


ティルはトボケた。


「下の大地に行く為には、風の向きや天候、気圧とかにも影響されると思いますよ。」


技師は成功する可能性の低さに涙が出そうだった。


「で、貴方はどうするの?私と貴方が加工したサークルカイトを信じて石になるの?ならないの?」


ティルは真面目な顔で言った。


「ひえー。殺生な賭けごとですよ。ただ、自分のした仕事です!!信じて潔く石になりますよ!!成功を祈っていますね。お姫様!!」


3人は笑い合った。何故、こんな状況で笑ってしまうのか技師は不思議だった。思った以上に人間は図太いのかもしれない。そう思った。サークルカイトの改造は終了した。


サークルカイトの技師は、ティルの


「申し訳ない。必ず、助けに行くから。」


という言葉と少し悲しそうな表情をお土産に、そのまま抜け道に案内された。



 

 カルタとティルは一度、2階の魔霊室に行き、サークルカイトの改造が終わったことを王や妃に伝えた。魔霊室では中央に水晶を置き、その水晶から、城内のことや抜け道の様子を見ていた。 王はティルを見て


「うむ。」


と一言だけ言い、小さい黄色の宝石と巻物、新しい剣を取り出してきた。 黄色の宝石は袋に入れられていた。取り出すと、12の光線が下に向かって出現した。


「ティル、これは地下にあった大きな黄色の宝石の欠片だ。この光線の1つ1つの向こう側には、お前が求めている物がある。お前なら分かるな。そして、この巻物には、今回のことが詳しく書かれている。オスマ国の王に渡して欲しい。後、この剣だが、お前の16才の誕生日に渡そうと思っていた剣だ。少し早くなったが、今、渡そう。」


王は剣をティルに渡した。ティルは剣を鞘から抜いた。刀身は青みがかり輝いていた。少し短めの剣だった。柄の先はドラゴンの顔になっていた。そして、普通の剣よりも軽かった。


「この剣は、スカイドラゴンの牙を加工し鍛え上げた物だ。軽いがキレ味はある。柄はドラゴンの顔に装飾してある。持って行きなさい。」


王は愛おしそうにティルを見た。ティルは王からの愛情を十分に感じていた。ティルは一礼した。その後、お妃とジエラック、他の魔法使いに挨拶した後、大広間に戻った。



 カルタとティルがサークルカイトを4階の屋上へ移動させている時に、その時は来た。午後4時15分頃であった。



 上空でバルトが動き始めた。バルトは2体のドラゴンライダーに指令を出した。1体はスカイマウンテンに行き、ガーゴイル軍団長リットの動向を逐一、知らせること。もう1体は上空に留まること。そして、バルト自身は城に向かい突撃しようとしていた。



 バルトの剣術は真風流。元の名は斬風流だった。バルトは幼少から斬風流剣術を習っていた。何千、何万の実戦を経て、斬風流を基にバルトがアレンジしたのが真風流剣術であった。幾多の戦いの犠牲からできた鬼の剣術であった。ただ、この剣術には一つ欠点があった。それは死線を何度も乗り越えた天才バルトにしか使えないということであった。この剣術と闇の力が合わさった。その威力はジェラックの想像を遥かに超えていた。



 バルトは剣を抜いた。一気に身体から黒い霧が立ち込めた。漆黒の目は見降ろし、スカイドラゴン城に照準が合わされた。軽く、黒いドラゴンの横っ腹を蹴った。ドラゴンは身体の方向を変え、城に向かい下降しようとする態勢に入った。


「グレイト・ダーク。」


『グレイト・ダーク:闇属性呪文 上級レベル』



 地獄の底から聞こえるような声で呪文を唱えた。巨大な闇のオーラが剣を包み込んだ。そして、両手で柄を持ち上段に構えた。


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