プロローグ
「っっ!」
目を覚ますとそこは赤と白が混じりあった部屋だった。本来、白くて清潔感のあったであろう部屋に大量の血が飛び散っていた。誰の血かは椅子に縛られてる自分の体を見る限りあきらかだろう。
「おやおや、ようやくお目覚めかい」
部屋にあるスピーカーから聞こえてきた声は男とも女とも判断付かない物であった。
「ここは一体どこなんだ!俺に何をしたんだ!」
「どうやらまた記憶が飛んでるようだね。」
その言葉にゾッとした。言われてみれば過去の事が思い出せないのである。ここに捕まる前の記憶はおろか幼少期の記憶すら思い出せないのだ。
「そうだな~、今日は右腕を・・・いや目玉でもほじってみようか♪君がどう泣くのか楽しみだ。」
気が付くと自分の周りの様々な道具を持った人が人間が沢山いた。
「えっ、待て待て待て!」
少年は今日も体をいじられていくのだった。
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「朝ですよ、マスター」
「・・・、おはよう」
秘書のサエが言うにはどうやらもう朝になっていたようだ。目が見えなくなってしまって約5年くらいたっているはずだか未だに時間の感覚が狂ってしまうのは自分の修行が足りないからだろう。
「今日はの朝食はパンとスープです。スープの具はハツタケとウサギの肉です。」
自分の席に座るとサエが今日の朝食のメニューを言い食べさせてくる。いつもの風景だ。この森にすみ始めてからほぼ毎日行われている。
「なあ、サエお前は外に出たいとは思わないのか?」
「私にとってマスターの世話をするのが何よりの幸せですのでマスターが出たいのならお供しましょう。」
いつも通りの質問にいつも通りの受け答え、意味が無い会話ではあるが俺にとってこんな変わらない日常がとても幸せに感じる。変わらない物なんて無い分かってはいるが俺は毎日のように変わって無い事を確かめてしまう。
「朝はCエリアで訓練。昼はJエリアで狩り。夜は家で魔法の研究です。」
風の流れ、音の反響などで物の位置が分かるようになってからはサエから手を引いてもらいながら移動する必要はなくなった。その後、自分の位置が本当に分かっているのかを確かめるためにエリア分けし指定された場所で作業を行うようにしている。最初のころよく迷子になっていたのは今では今ではいい思い出だ。
朝食を食べ終わり朝の日程をこなすため扉に手をかけた時だった。外に人の気配がした。
「ああ、なんだまた終わってしまうのか・・・」
人と関わることを避け誰も寄り付かない迷いの森にわざわざ来たと言うのに【不変】は無いとも言いたげに扉を開けるとそこには勇者一行がいた。
気が向いたら続きを書きます(/ω\)