無印パーティ編 1話目
※アコライト
回復と支援を得意とする職。
反面、火力及び耐久力には難がある。
パーティに1人はいると喜ばれる存在である。
第1話「ネトゲなんて俺の趣味じゃねえ」
2017年11月 ある日の日曜日の夜、純は友達と遊び終えて自宅へ帰るため暗い夜空の下、僅な街灯が照らすだけの寒風吹き荒れる道を歩いていた。
「うう…寒い寒い」
やっとの思いで自宅にたどり着いた。エアコンの暖房と炬燵のスイッチを入れ、風に吹かれ続け冷えきった身体を炬燵の中で暖めていた。
ケトルでお湯を沸かし、マイブームの椎茸茶を淹れる。
椎茸茶を飲み心身共に温まりテレビを点けるが、特に面白い番組はやっていなかった。
どうして炬燵に入ると眠気が襲ってくるのか…
テレビの音声はやがて子守唄に変わりうとうとしかけたその時、テーブルの上に置いてあったタブレットがLINEメッセージを受信した。
その音にビックリし眠気が覚めてしまった。
「ったく、誰だよ…」
せっかく気持ちよく寝るところを邪魔された気持ちになって悪態をついた。
「専門学校の友人のグループライン、弘樹からか。」
「面白いゲーム見つけたからやってみない?
アヴァベルオンラインってやつだけど」
メッセージの後にURLが張り付けてあった。
その後弘樹の話によると、世間で大人気のモンスターハンターに似たようなゲームだと説明された。スマホで手軽に仲間達と繋がりながら楽しめるものらしい。
「俺タブレットだけどな。」
スマホではなくタブレットしか持っていない純はポツリと呟いた。
純は誰とでも繋がるようなゲームは邪道だという価値観を持っていた。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジー
どれも昔の方が良かったと。
一人の世界に篭ることができるRPGが好きだったのだ。
今は繋がりを意識するようなゲームが多数登場しており純はそれを嘆かわしく思っていた。
それでも多少の付き合い程度でやる分には構わないか…
そう思いタブレットでアヴァベルオンラインをダウンロードしてプレイし始めた。
「ま、ネットゲームなんて俺の趣味じゃないけどね」
それがまさかどっぷりハマることになるとはこの時の純は思いもしなかった。
グループラインには純を含めたメンバーが5人いる。
その内の純と大悟がアヴァベルオンラインに興味を示しダウンロードをした。
ゲームを勧めた張本人、弘樹はサバゲーを愛しており自宅に多数のエアガンを収集している。その為、ゲーム内では銃などを使うレンジャーという職を選んだらしい。
名前は「たくあん」と名付けたそうだ。
大悟はこの手のMMORPGをやるとき
男なら老人キャラ 女なら可愛い女性を使いたいというちょっと純には理解しがたい考えを持ち合わせている。
アヴァベルには老人キャラは使えないため
女性キャラを選んだ。
技がダークな感じでかっこいいという理由でリベンジャーを選択したようだ。
名前は「こと」と名付けた。
「一番最後が俺か」
純はゲームを起動し、名前入力の画面まで開いた。
「どいつもこいつも当たり障りのない名前つけやがって、こんなもの田中茂夫でいいんだよ。」
3秒で考えた名前「田中茂夫」が誕生した。
「職はいっぱいあるのなぁ」
チュートリアルを進めていくと職を選ばなくてはならないところまできた。
接近戦が得意な ウォリアー
素早い攻撃が得意な ローグ
遠距離攻撃が得意な レンジャー
回復薬を精製できる クリエイター
魔法で戦う マジシャン
補助が豊富 ワンダラー
HP が減ると強くなる リベンジャー
「回復が得意なアコライト…パーティにいると喜ばれる存在…え!?喜ばれるの!?じゃあこれだわアコライトだ!!」
喜ばれるという言葉に釣られ、純はアコライトを選択した。
こうして、田中茂夫 こと たくあんの3人のアヴァベルでの冒険が始まったのだった。