「遠くへ・・」
「遠くへ・・・」
昨日子供を顔を、ずっと見ていたせいか、一睡もできないまま朝を迎えた。
私は何事も無いように夫を見送り、しばらくして実家の母に電話して、由美を
預かってもらうようにした。
母には嘘をいって、同窓会があるからと・・・
夫にはテーブルの上に手紙を書き家を出ることだけをかいた。
「ごめんなさい、貴方との生活には疲れました、どうか探さないで下さい。
由美のことお願いします。」それだけを書き残した。
実家に着いて由美を母に渡し私は家を出た。
祐二さんに連絡してあったので、実家の近くまで迎えに来てもらい
車に乗り込み、走り去った。
しばらくして、高速道路が見えてきた。
私は、もう引き返せない、そう想い由美の居る方に顔を背け泣いていた。
それを見た祐二さんが車を止めて話かけてきた。
「小百合、今なら、まだ間に合う戻るか?・・・」
「いゃぁ!大丈夫、私は決めたんだから、悲しいのは今だけだよ、今だけ泣かせて」
「泣きたいだけ泣いたらいい!本当に後悔はないな!」
「うん!車だして・・・」
そいって、2人の車は高速道路へと入っていった。
どこをどう走ったのかは、分からない出来るだけ、遠くへ車を飛ばし県外へと車は
到着した。」
辺りは、すっかり暗くなっている、もうすでに私のことは、実家の母も、夫にもばれてはいるだろう・・・」
そして、案の定、携帯のベルがなった・・・
ピィピィピィピ〜
着信10・・20・・30・・・まだ!鳴ってる・・・
私は電話にでた・・・
「小百合・・・どこにいる!どうしたんだ!・・・」夫の声だった。
「ごめんなさい・・・もう掛けてこないで・・」
「小百合・・あなた何してるの!泰明さんにこんなことして、由美はどうするの・・」
母も電話にでた・・「何にも心配しないでいいから、とにかく帰ってきなさい!」
「お母さんごめん・・・由美をお願い・・・」私は携帯を切り電源も切った。
祐二さんが後ろから抱きしめ優しくはなしかけてきた。
「小百合・・・いいんだなこれで、俺の方もたぶん今頃慌てているだろう・・」
私には後悔はなかった、そして又祐二さんにも後悔はなかった。
その夜2人はお互いを慰めながらベットへと横たわり眠りについた。