プロローグ
目の前に見えている世界だけが、全てではない。
世界は3つの星から出来ている。
我々が住む人間界、いわば地球と呼ばれる所。
天使と呼ばれる種族が住む天界、天国と呼ばれる所。
悪魔と呼ばれる種族が住む魔界、地獄と呼ばれる所。
この3つの世界は、人人間界を挟むようにして存在しており、天界と魔界が干渉することはない。
そんな世界に1年が366日の年があるのをご存知だろうか。
『1月0日』
『始まりの日』そんなふうにも呼ばれるこの日は、500年に一度だけやって来る。……何の日なのか。
それは、『始まりの日』なんて名前にふさわしくない、不幸の日。
普段は対局に存在する、天界と魔界が急接近する日。世界の均衡が崩れ、世界が崩壊する日。
では、なぜ現在があるのか。
それは“均衡者”と呼ばれる者がいるからだ。500年に一度、『始まりの日』と同時期に生まれる者が、その命を犠牲に2つの世界の接触を防いでいるからだ。
これが長い間、人間界に伝わってきた噂。
人間は誰もこの現象を自分の目で確かめたことがない、審議を確かめようにも確かめることが出来ない。
理由は簡単、人間が誰も1月0日に起きていないから。
『始まりの日』に起きていることが出来るのは、悪魔と天使だけ。
どこにいようと、どんな状況であろうと、悪魔と天使は例外なく『始まりの日』を目撃する。
―――そんな世界に住む1人の少女の話