守護神
匠さん「むしゃむしゃなにしてんの?」
村長「畑も実らず食料が尽きてしまい皆で話し合いをしてまして」匠さん「ふーんむしゃむしゃ」
村娘「たくみん何食べてるの?」匠さん「雑草むしゃむしゃ」
村長「雑草ですと!?この辺の雑草はとうに食べつくし巨木の膠も底をついているのにいったい何処から!?」
匠さん「こいつんちから採ってきた」守護神「こいつって言うな!神様と呼べ!」
村娘「良いなぁ」匠さん「食べる?」
「「「いただきます!」」」
どれ程飢えていたのか?
この七日間1日一杯の膠汁で辛うじて飢えを凌いで来たものの既に限界だった村人達が匠さんのポケットから出てくる雑草に群がり貪り始める。
「うまっ!?」「旨い」「岩塩が程好く効いて鼻腔から抜けていく草の香り堪らん」「くぅ旨いうーまーいーぞー」
「もっともっと」「待てお前もう食っただろ!」「おい!早く寄越せ」
匠さん「神様んち行けばいっぱい生えてるのに」
村長「むしゃむしゃ いや守護神様のんぐっむしゃむしゃ 森はハァハァ 凶暴な動物も多くんぐっんぐっ」匠さん「おーい誰かおじいちゃんに水持ってきて」
村娘「はい」村長「げほっげほっごくごくハァハァ ですから森の探索や採取は命懸けで最終手段なのですじゃ」
匠さん「ふーん守護神酷いわー」守護神「は?」
匠さん「こんな苦しんでる人達がいるのに動物達に襲わせるとか無いわーちょー無いわー」
守護神「はぁぁぁ?何言ってんの?妾は森湖に生きる草木や動物の守護神であってそこを荒らす部外者は皆敵よ!」
匠さん「大体守護神ってなんぞ?」
村長「守護神様はこの世界の全てに存在し自らの支配地に繁栄をもたらす存在ですじゃ」
守護神「そうそう妾の為に尽くす者達へ守護の加護を与えその者達へ恩恵を施し繁栄させ格を高めるのじゃ」
匠さん「へぇ神様すんごい」守護神「恐れ入ったか一度でも加護を受けた者達は繁栄が約束される!神様は凄いのじゃぞ!図が高いのじゃ!」
匠さん「あんた一度村人達を助けたって言ってなかったけ?」
守護神「あっ」「「「なんだってぇぇぇぇ!?」」」「え?」「あっそう言えば強風があった時さ」「あー全く被害無かったわ」
守護神「」
皆の視線が守護神に集まり突き刺さる。
村長「森湖の守護神様どうかどうか我々をお救い下さい」「「「お願いします」」」
匠さん「むしゃむしゃ」守護神「妾は森湖の守護神なの!村の守護神にはなれないの!」
村娘「なれないの?」匠さん「大丈夫大丈夫 じゃこうしよう森湖の守護神 兼 村の守護神ほら良く社長兼平社員って居るじゃんそんな感じ」
守護神「はぁ!?そんな事出来るわけ無っは!?なっ!?ぇぇぇぇぇぇぇ」
突然守護神が宿る若木が皆目を眩ませる程の光を放ち周囲を飲み込む。
何が起きたのかも判らず立ち尽くし静粛が辺りを支配し時だけが経過していく。
一陣の風が村を抜けた時
村人達の視界に入ったものは
荒れ地だったはずの村に一面緑色の草が生い茂り草原とかし畑には今まで芽すら出て居なかったのに植えた覚えもないトマトやキュウリにレタスやニンジンって畑の範囲外にも見た事の無い植物が実を付けていた。
「「「「ありがとうございます」」」」
守護神(458)「どうしてこうなった?」