岩塩
匠さん「クンクンクンクン」
匠さん「此方だな」
守護神「あんた岩塩って匂いあんの?」匠さん「さぁ?」
守護神「こんな所で朽ち果てたくないから右斜め上へ進んで」
匠さん「何で?」守護神(40)「岩塩の場所判るから」
山の記憶から死の山の全てを把握した守護神(40)が案内しながら死の山を登り始める。
何もない岩だらけの見通し良い筈の山。
だが何故か視界はボヤけて景色は歪んで見える。
匠さん「何か景色がぐにゃぐにゃして気持ち悪い」守護神(42)「眼瞑って歩いたら?」
匠さん「それだ!ヨッシャ!真っ暗!」
足を前に出す簡単な作業を繰り返し勢いよく登り始める。
「あー右にずれすぎ少し左!」
「逆逆左だって!あーもう!あと少しだから!」
そして
「ここよ!」
岩塩のある場所に到着
匠さん「これが?どれどれ」
一つ拾い上げ口に入れるとシャリシャリと砂の感触と雑味があるが塩のしょっぱい味がする。
匠さん「塩のうめぇ」
夢中になりながらポケットに詰め込み始める。
大きなものは服の中へ入れ更に大きなものは
匠さん「そーれ!」岩塩岩「ドカ!」守護神(60)「いったぁぁぁ」
ガラガラガラ程好く砕きます。
ガラガラガラ?ふと周囲を見渡す匠さん。
岩塩の産出する場所は岩壁。
ほぼ垂直に切り立った壁に重量を無視したように直立する匠さん。
匠さん「えっと」守護神(60)「駄目下見ちゃ駄目!」
匠さん「見ちゃっぁぁぁぁぁ落ち落ちっるううううぅ」
が落ちない。
「「何で?」」
匠さん「不思議な山だ」
守護神(60)「あんたが異常なだけでしょ」
匠さん「先生更に質問が」守護神「何かね」
匠さん「岩塩拾っても拾ってもポッケが満タンになりません」
守護神「良く判らないけどあんたのそれ別次元に繋がってるよ」
匠さん「どらえ○んか!!」守護神「あうとー」
匠さん「多分沢山拾ったし帰ろう」守護神(60)「ゆっくりね」
匠さん「任せろ。。。とうっ!」守護神(60)「飛び降りぁぁぁぁぁ」
ドン!ダダダダダダダ。。。。。。。。。。
また来た方向へ走って行く匠さん。
守護神「あんた帰り道わかんの!?」匠さん「匂いがする!」
守護神「は?」匠さん「ウソ太陽さんがあっちだから多分向こうかなって」
守護神「合ってるよ」
したり顔で走り続ける匠さんに苛っとする守護神。
匠さん「何でどらえ○ん知ってんの?」守護神「死ねぇぇぇぇぇぇぇ」
行きとは違い帰りは和気藹々と帰宅しました。
ドドドドドドドド
匠さん「ただいまー」村「しーん」
匠さん「おーい」村長「なっ!?出ていったんじゃ?」
匠さん「岩塩採りに行って来ただけだから」村長「は?」
採って来た岩塩を村長へ見せる「なぁぁぁぁぁガッがっがっ!?ぇぇぇぇぇぇぇ!?」
村長の発狂により家に隠れていた村人達が出てきて人だかりが出来る。
「岩塩だって」「まじか初めてみた」「岩塩ってなぁに?」「なんだ!?と?」「へぇー岩塩すごーい」
匠さん「食べる?」「「「「食べます!!」」」」
「「「「!!!?」」」」
村人達が初めて舐めた岩塩は涙の味だった。