番外編 心に宿ったもの
『役立たず』
私が物心ついてから母上と兄上にずっと言われ続けらてきた言葉。
バズーラ家の次男として生まれながら、魔力を引き継ぐことの出来なかった私は父上以外の親族達に蔑まれながら生きてきた。
父上は魔力を持つことのなかった私を愛してくださった。
魔力が無くとも貴族子息として、勉学や剣の鍛錬で補おうと努力していた私に、父上は優しい言葉と眼差しで認めてくれた。父に応える為に更に私は鍛錬に励んだ。
しかし、母上と兄上は認めてはくださらなかった。
母上は魔力の無い私を見限り兄上に深い愛情を注ぎ、兄上は魔術の鍛錬と証し、私に魔術を放つこともしばしばあった…………。
『役立たずの出来損ない』
母上はきっと許せないのだろう。
友好国の隣国から嫁いで来た母。
たまたま隣国に訪れていた父上に出逢った母上。
既に妻帯していた父上に一目惚れした母上は両国間の同盟の強化と銘打って無理に父上に嫁いだ。
当時、有力貴族令嬢だった母は本来なら正妻の立場であってもおかしくなかったが、すでに正妻の座にいらっしゃったソニア様を心から愛していた父上は最後まで反対したのだ。
当然、揉めたらしいがいくら有力貴族令嬢とはいえ母上の実家はバズーラ家と同じ子爵家。
それに引き換えソニア様の実家は没落しかかっていたとはいえ伯爵家の方だった。
母上は大層ご立腹になりながらも第二夫人の座に座ることになった。
父上を愛していた母上に取ってソニア様は絶対に負けたくない相手。
そのソニア様の子である兄上を溺愛しているということは、それだけ母上は私に失望したのだろう。
私は情けない。
認めてくださっている父上に申し訳ない。
母上の誇りになれないことが、悔しい。
兄上を諫められない私が、泣きたい程に嫌いだ。
そんな情けなくて、みっともなくて、無様で、役立たずな私だけれども
貴女の役に立ちたいと、願う自分がいるのです。
ミーシャさん




