分からない、ただそれだけ
僕は生きてるのか死んでるのか分からないそんな世界で、ただ一つの光に掴まっていた。でも、それは誰かの死によって出来たもので僕はその誰かが生き返ることだけがずっと怖かった。
生き返ってしまったら僕は“捨てられる”………
それなのに誰かは簡単に目覚めてしまった。
同じ闇を共有する彼は僕にとっては敵でしかなかった。しかも、彼は僕の心の安らぎといつも仲良く笑い合っている。僕はただ安らぎに彼の弟だと紹介された、ただそれだけのものなのに……
そんなときに彼は死にかけた。医者が言うには目を覚ますのは難しいかもしれないと。
僕は早速、彼を失い絶望していた安らぎに手を伸ばした。
僕達の幼い頃の記憶はすべてドロドロしていて異常なものだった。僕達は自分たちを守ることに必死で、周りの変化に気づけなかった。
変化し世に付いていけず、取り残された僕達はお互いがしてしまった罪をお互いに非難し続けた。僕達の関係に完全に亀裂が入ったのはそんな環境下で心をすり減らしたお互いの逃げによるものだった。
僕は食事を取っている最中に吐血をし、彼はお風呂場で湯船に水を張って手首に深い深い傷を付けて人形のように眠っていた