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第九章 秘められし力

「あ〜気持ち悪い……」

「情けないぞ、タイシ」

「情けないわ、タイシ」


 心からのぼやきに容赦なく降りかかる言葉。

 死にそうな思いをしながら頭を上げても鋭い視線が降り注ぐだけ。

 折れそうな心を必死に再建すると、自分をここまで二日酔いでグロッキーな状態にさせた2人にくってかかる。


「……誰のせいでこうなったんですか……」

「そりゃあ、飲み過ぎたお前が悪い」

「その通り。だいたい私の方がタイシより飲んでたわよ」


 再び心が折れる。

 でもこれは正当な抗議なはずだ。


「……わかりましたよ。僕が悪かったです。ですから今日は休ませてくださ――」

「却下だ、タイシ君」

「まったく、タイシはそれだから皮もむけない半人前なのよ」

「……もう良いです」


 ああ言えばこういう。

 この2人の心には何を言っても響かないだろう。


「さーて、2人とも。今日はこれから楽しい建築業だ」

「けんち、くぎょう?」

「ああ。見張り台が壊れたからそれの復旧作業がタイシの任務」

「タイシがそれをやるんですか」

「ああ、そうらしい。俺たちはタイシのサポートだ」

「そう、頼もしいわね、タイシ。さっきの言葉は撤回するわ」

「……何故僕ひとりでやらなければならないのですか……」


 タイシのぼやきは相変わらず届かない。

 やはりこの部隊に所属になったことを後悔するタイシだった。




 ¶


「いやー絶景絶景。この世界は余のもの――」

「フェノア様、三日天下をご所望ですか」


 作り始めて三日ほど経ったが、未だ未完成の見張り台。

 その頂上で夕日を眺めながら気分良く大声を出していると後ろからエミリーの冷たい一言がかけられた。


「驚かせるなよ、エミリー」

「ちっとも驚いてないくせにそんなことを」

「いくら何でも部下に背後を取られるわけにはいかねえさ。それよりタイシはどうしてる?」


 フェンの横にエミリーがならぶように立った。

 眩しそうに夕日を見やる。エミリーの緑の瞳は遠くを見ていた。


「タイシならとっくにもう休んでます」

「ちっ、もう休むなんてあいつは根性ねえなぁ」

「直情型単細胞馬鹿のタイシです。こういう器用で繊細な任務はあのバカには不向きでしょう」

「おいおい、ひどい言い様だな」


 エミリーの歯に衣着せぬ物言いに笑い声を上げるフェン。

 エミリーも顔に笑みを浮かべたのだが、その笑顔がフェンには少し引っかかった。

 少し影のある表情。

 フェンは迷いながらも突っ込んでみた。


「タイシとはもうヤったのか?」

「ブホッッッッ!!」


 突拍子もない質問は奇声で返ってきた。おまけに鼻水の噴射付き。


「その反応はまだなのか……。じゃあもしかして親への紹介はもう済んでるのか?」

「んな訳ありません!!順番ってものが!!っていうかそもそも何で私がタイシ――」

「んー?じゃあヤってから親への紹介をしてヤって結婚って言う流れか」

「違ーーーーう!!しかもヤりすぎ!!」

「いや〜相変わらず良いツッコミだな、エミリーは」

「全く……一体何なんですか、唐突に」


 頬をふくらませるエミリー。

 フェンは今度こそ本当にエミリーの影に突っ込んでみた。


「それで、タイシとは本当に何もないのか?」

「はい!?」


 首の骨が折れそうな勢いでフェンの方を向くエミリー。

 その眉間には皺が寄せられている。


「いや、別に恋仲にあるんじゃねえかな〜とか思ってる訳じゃねえよ。ただ、どうもただの同僚には思えねえからよ」

「……」

「言いたくなきゃ帰っても良いぞ。ただ、帰る前に俺の質問に答えてからにしろよ」

「……言ってることが矛盾してます」

「なーに、こう、ちょろちょろ、っと言やあ良いんだよ。部下の心境を知っとくのも上司な大事な心得だからよ」

「……」


 大きなため息が出る。

 だが、隣からは絶え間なく視線が注がれているし、観念するしかないようだ。


「似てるんですよ、弟に」

「弟?」

「はい。真面目で、融通聞かなくて、頑固で……。背格好は全然違うんですが、言ってることとか、行動がダブるんです、弟と」


 フェンの視線の先のエミリーは少し寂しげな目をしていた。

 夕日に染められるエミリーの整った顔。茶髪が風にそよぎ地面に赤と黒のコントラストを生み出していた。


「戦争で弟は死にました。弱い私では守れませんでした」

「軍に入ったのは、それが理由か」

「ええ。強くなりたい、それだけです。男は単純って言うけど、女も単純でしょう?」


 エミリーは自嘲気味に笑いながら問いかける。

 顔に浮かぶのは、後悔。

 いつもふざけてばかりのエミリーの心の奥底に眠るものが垣間見えた。


「フェノア様はどうして軍に?」

「あ?」

「私に言わせておいて言わないなんてのはナシですよ」


 少しの時間の空白をおいてエミリーが問いかけてきた。

 まっすぐ見つめてくるエミリー。

 フェンはもうほとんど沈んでしまった太陽に目を向けながら答える。


「強さに憧れたんだ」

「?」

「俺にはやらなきゃいけないことがたくさんある。その方法として強さが必要だったんだ」

「抽象的ですね?」

「……俺はミステリアスな男なんだよ」

「どの口がそんなことを」


 笑い声を零す2人。

 だが、フェンは決して心の中を話したわけではなかった。


 フェンのやらなければならないこと。

 その内容は多くの人を裏切ること。

 この国を裏切ることなのだ。




 ¶


 数日後。

 完成した見張り台の見張り番からフェンに敵襲の知らせが入った。

 その敵国は好戦的だったストリボーグではない。

 ガッスルフニンだ。


「そいで、どーするよ、ニーヌ」

「どうするも何も、作戦のたてようもないでしょ。こっちはまだまだ復興できてないんだから」

「ま、そりゃそうか」


 現状、フェンとニーヌの居るヴァサームの兵数は200前後。

 見張り番からの報告では敵兵数は100前後と推測された。


「それにしても随分中途半端な兵の数だな」

「本当ね。本気で攻めてくる気があるのかやらないのやら」

「同盟締結、の噂が本当かどうかも判断しづらいな」


 ストリボーグとの戦闘しかり、ここのところ急に敵襲が増えていた。

 ただ、その割に敵国から本気で攻め落とそうという意志が感じられないのも事実だった。

 同盟を結んだことにより、2国間の国境付近の兵がアナーヒタへの攻撃に当てられているのはわかる。

 だけど、それにしては中途半端だった

 攻め落とす気があるのか、無いのか。


「とにかく、またいつも通り消耗戦か?」

「……そうね。性に合わないけど――」

「その必要はないんじゃねえか?」


 フェン達は後ろから急にかけられた声に振り返る。

 そこにいたのは茶髪の大男。

 ラディックスだった。


「ラディックスのおっさ、じゃなくて、ラディクス様じゃないですか」

「フェン坊、今、俺のことをおっさんっつっただろ」

「そんな事より、ラディックス様、どうしてここふぇ!?」


 ニーヌに思いっきりケツをどつかれ、舌をかんでしまった。

 恨みがましくニーヌを睨むがニーヌはフェンに一切目もくれず、ラディックスと会話しはじめた。


「ラディックス様、援軍ですか?」

「久しぶりだな、ニーヌ。ああ、ここの援軍に行けとの指令を受けたんだ。たった今付いたばかりだが、ちょうど良かったみたいだな」

「……ありがとうございます。それで、先ほどの言葉はどういう意味ですか?」

「ああ、実は今回の援軍は俺の部隊全員で来てるんだよ。兵の数は400人」

「400!?そりゃまた心強い……」


 ニーヌの暴力で受けた負傷から復帰したフェンも会話に参戦し始めた。

 フェンはラディックスの言葉に安心すると去ろうとする。

 ラディックスに今回の戦を任せて自分は休もうという魂胆だったのだが、その目論見はあっさり却下された。


「それで、ニーヌ。今回は休んでな。俺とフェン坊でガッスルフニンは追っ払っとくし、問題ないだろ」

「な、そんなわけには……いえ、わかりました。お願いします、ラディックス様」


 ラディックスの申し出を固辞しようかと思ったが、ラディックスの提案はニーヌの疲労を気遣っての物ということぐらいニーヌにもわかる。

 事実、疲労もピークにさしかかってきているため、その好意に甘えることにした。

 ちなみに、納得のいっていないのはフェン。


「ちょ!なんで俺まで出なきゃいけないんだよ!あんなんラディックス大先生ならちょちょいのちょいじゃ!?」

「よし、そうと決まったら行くぞ。ニーヌはもし形勢が危なくなったら援軍を頼む。そんなことはないと思うけどな」


 食い下がるもあっさり無視されるフェン。

 いつもタイシにしている仕打ちを味わい、これからはタイシに少し優しくしようと心に決めた。







「ラディックスのおっさん、何で俺の部下は休んでて俺だけ戦わなきゃいけないんだ?」

「……お前は敬語という物を知らんのか」

「お戯れを、いつも自分は敬語を使ってるじゃありませんか」

「……」

「……」


 恭しいフェンの物言いにジト目でフェンを睨むラディックス。

 一方フェンは無理矢理戦に駆り出された恨みを解消しようとブツクサ文句を言っていた。


「まぁいい……。フェン坊は俺と行動をともにしろ。一度お前の実力をきちんとこの目で見たかったんだ」

「……まさかそれだけのために俺を駆り出したんですか?」

「ああ。当然」

「……早死にしますよ、ラディックス様」


 フェンの文句をラディックスは無言の圧力で黙殺し、ラディックスの部隊は行軍を始め、配置についた。

 そして、ガッスルフニンの軍を待ち伏せし、一網打尽にしようと試みる。

 待機すること数十分。目の前にガッスルフニン軍が現れるとラディックスは一斉に合図を出した。


「蹴散らせええええええええええええ!!」


 合図とともに一斉に駆け出すラディックスの部隊達。

 ラディックスはその様子を見るとフェンに声をかけて自らも最前線へ突入する。

 フェンもため息を押し殺してその場に応戦した。

 フェンは剣を振りかぶると目の前にいるガッスルフニンの兵たちに斬りかかる。

 数の暴力に圧倒され、劣勢にあるガッスルフニン軍。だが、敵兵達もガッスルフニン製の強固な武具で装備を固めており(ガッスルフニンは鍛治が発展しているため、武器・防具が充実している)、一筋縄ではいかなかった。

 フェンも応戦し、ウェスタを召還しながら戦う。

 そして、自分の相手していた敵兵数人を殺し一息ついたころ、いつの間にか隣にいたラディックスに声をかけられる。


「フェン坊、やっぱりお前俺の部下にならねえか?」

「……前にそのお誘いはお断りしませんでしたか?」


 ラディックスはフェンの戦いっぷりに満足したらしく、にやにやとしながら緊張感のないことを言ってくる。

 フェンはその誘いをあっさりと固辞すると、再び敵兵の方へと向かい斬りかかった。

 ラディックスも笑みを消すと、フェンの方とは違う方向へ助け船に向かった。

 その直後、フェンは遠くの方から聞き覚えのある金切り声を聞いたような気がした。

 耳をつんざくような金切り声。

 他の兵たちが気付いている様子も見られない。


「……ドラウグか?」


 フェンはラディックスに視線をやった。

 ラディックスは敵兵との戦闘に夢中になっているのか、フェンの様子を注視している様子はない。

 フェンはドラウグの鳴き声を気のせいかと思ったのだが、再び金切り声が聞こえた。

 だが、尚も他の兵たちに気付いている様子は見られない。

 ラディックスにも先ほどの金切り声は聞こえていないようだ。

 気になったフェンはこっそりとその場から離れ、声が聞こえた方向へとかけだした。


 走ること、ものの五分。

 そこには案の定ドラウグが暴れ回っていた。

 フェンはドラウグに気付かれる前に木の陰に姿を隠した。

 どうした物かとしばしの逡巡。

 だが、すぐに答えは出た。


「……これは、いい機会か」


 フェンのつぶやきに頭上のタルケがキュイーっと返事をするように鳴く。


「ラディックスも気付いていなければ、ニーヌが見張り台で見てたとしてもこんな森の中を見渡すことは出来ない」


 再びキュイーっと返事をするタルケ。


「別に返事しなくていいって、タルケ。これは独り言なんだから」

「キュイー?」

「とにかく、力を試そう。

 こんなチャンスを生かさない手は無い」


 フェンは微かに震える手を握り、ゆっくりと自分に言い聞かせる。

 初めて、今まで隠してきた力を解放する事への震え。


「俺が何のためにフェノア・ニクスとして生きてきたのか。

 何のためにこれまでアナーヒタの兵として戦ってきたか。

 全てはこの国をぶっつぶすためだ。

 レックス、しっかり見ててくれ。

 俺がサラマンダーの一族として戦う最初の戦いだ」


 フェンはゆっくりと木の陰から姿を現すと瞳を閉じる。

 ドラウグはフェンを見つけると近づいてくるがそんなことは気にしない。


 大きく、深呼吸。


「集え、炎の精霊。我が名はヤン・ハムレット・ウォドゥン・フーディーニ。我がサラマンダーの血族の力をここに示せ」


 フェンの呟きに呼応するようにフェンとドラウグの間に紅の巨人が現れた

 赤々と周囲を照らしながら燃えさかるような熱を発する、炎の巨人。

 背丈は大きく、フェンの頭の高さでその巨人の腰ぐらいほどだった。


「スルト、蹴散らせ」


 フェンは呼び出した精霊 スルト に命じるとスルトはドラウグに向かって歩みを始めた。

 ドラウグは突如現れたスルトに驚き、歩みを止めていた。

 スルトが歩いた大地は一瞬で焦げ付き、その熱はフェンの顔をじりじりと焼いてしまうように感じられた。

 熱に耐えかねたフェンの頭上のタルケがフェンの服の胸ポケットにその姿を隠す。

 スルトは空中に手をかざすと、どこからか真っ赤に燃える剣が現れた。

 そして、その剣をゆっくりと振りかぶる。

 ドラウグは先ほどまでの威勢はどこへ消えたのか、獅子に標的とされた動物のように後ずさりしていく。

 一際、その場の熱が強くなったとき、スルトは炎の剣をドラウグに向かって振り下ろした。

 次の瞬間ドラウグの首が地面のドサリと落ちる。ドラウグは断末魔の声を上げることも出来ず、静かに絶命した。


 フェンは、その一撃を満足げに見送ると、スルトを自らの身体と融け合わせ、召還を止めた。

 そしてゆっくりと足下のドラウグの胴体を確認する。

 ドラウグは間違いなく絶命していた。

 その死体をどこに隠そうかと考えていると突如、声がかけられる。


「たいした物だな」


 ラディックスに見られたかと慌てる。

 だが、聞き覚えのない声色、そして、アナーヒタの人間がかけてきた言葉としては不適当な言葉の内容。

 フェンは違和感を感じつつも慌てて周囲を確認した。

 視界に入ってきたのは巨大な、黒狼。

 先ほどのドラウグの大きさなど霞んでしまうほどの大きさ。全長10メートルほどだ。

 鮮やかな毛並みの黒狼は鋭く巨大な牙をフェンに向けながら、鋭い爪で周囲の樹木を薙ぎ倒す。

 そして、黒狼はフェンの目と鼻の先まで近づいてくるとゆっくりとフェンと相対した。


「ドラウグを囮にして貴様を呼び出しただけはあるな。貴様の真の力、存分に見させてもらったぞ」

「……囮?」

「ドラウグの鳴き声は貴様にしか聞こえていない。ネレイデスの亜種はこのようなことも出来る」

「親切なんだな、教えてくれるなんて。親切ついでに逃がしてはくれないか」

「否」

「……だろうな」


 フェンは体中から湧き出る冷や汗を止めることが出来なかった。

 さきほどの力を使ったところで、この黒狼に勝てるだろうか。

 この黒狼はおそらく書物に載っていた生物。

 その名は――


「フェンリル、か」

「ほう、我の名を知っているのか」

「……書物で読んだよ。ヨルムンカンドとフェンリル」

「では、ヘルも知っているか」

「名前だけはな」


 フェンリルはその場に伏せるとフェンをゆっくりと眺める。

 フェンとしては逃げることも出来ず、戦うことも出来ず、その場でただ待つことしかできなかった。


「フェン、一体何があった!?」


 ラディックスが慌てたようにフェンとフェンリルのいる付近に現れる。

 見たところラディックスの部下はいなく、ラディックス1人だけのようだ。

 ラディックスはその場の異様な状況に息を呑むとあわてて背中の長槍を構えた。


「……ラディックス様は援軍を呼んできてください。誰でもいい。最低限の兵を残してこっちに戦力を――」

「何言ってやがる、フェン坊――」

「いいから早く!」


 尚も言葉を言いたげだったラディックスだが深刻なフェンの表情にフェンの顔中に吹き出す汗。

 そして、フェンを逃がすことを許さない黒狼の様子からフェンの言うとおりにするのが最善の選択と考え、一目散にヴァサームへと走りだした。


「利口な判断だな、ヤン・ハムレット・ウォドゥン・フーディーニ」

「……なぜ、その名前を知っている?俺の本名を知るのはサラマンダーの一族だけのはず。スルトを呼び出したときの言葉を聞いていたのか?」

「いや。我は貴様の名を元より知っている。そもそも知らないはずがない。我々とそなたは対存在なのだからな」

「……対存在?」

「ヤハウェ。貴様がそう名付けられたときから全ては始まっていた」

「何を言っている?」


 フェンリルは立ち上がると巨大な口を開き顔を天に向けた。

 直後、天と地が震えた。

 フェンリルの遠吠え。

 その声は、音としての次元を超え、世界中に響き渡るように感じられた。


「ヤハウェ、貴様はこの世に破壊をもたらすだろう」

「……随分物騒なことを言うんだな」

「だが、私たちは貴様が生まれなければこの世に現れなかった。感謝するぞ」


 フェンリルはフェンに背を向けた。


「何もしないのか?」

「ああ。貴様を殺すのはまだ早い。ヨルムンカンドも目覚めていなければ、ヘルの使い手も今は不安定だ」

「……精霊ヘル。死霊魔術を操る精霊が実在すると言うのか……?ヘルの使い手はどこにいる?」

「オルクスは幼い。貴様が自ら探すのだな」

「おい、フェンリル?」

「また会うときが来るだろう、ヤハウェ。その時は貴様の命頂戴しよう」


 フェンリルは来たときと同じようにゆっくりと歩きはじめた。

 途中、フェンが倒したドラウグの死体を口の中に入れ、一噛みで飲み込んでしまった。

 そして、森の中へと姿を消していく。

 その場に1人取り残されたフェンはその場に座り込む。


「あれと戦うって言うのか……?」


 思わず漏れた呟き。

 その呟きは風に流され消えていった。

一年空くとは……orz

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