【Day23】08/18
【記録欠落:Day06~22】
当該期間の観察日記は、施設側アーカイブにて欠損確認。
記録再生不可。補填資料は後日追記予定。
Day23,8/18,天気:晴れ(午前中より危険な暑さ)
なぜだろう。この家の中は、いつも暖かい。
私もだいぶ、慣れてきたということか。
私は本日、突然AI認証スキャナー端末を没収され、もうこうして物理的に手指で文字を書くことしか、観察のログを残せなくなった。
以前のような白衣を着なくなったことも、恐らく関連しているだろう。
「おはよう。よく眠れたみたいだね。」
毎朝、私に一番に声をかけて、体調管理を申し出てくるのは悠先生。彼の白衣はそのままだ。
次に階段をドタバタと下りて騒がしいのは、決まって双子のような2人。恋くんと凛くんだ。
「おーはよっ♪あ、寝癖ついてる!」
「おはよう。僕が整えてあげ…」
2人共、常時至近距離だ。
「ほら!もっとかわいくなった♡」
満面の笑みの隣で、私の頭を睨む凛くん。
キッチンでは、優くん、薫くん、斎くんが朝食の支度をしている。
私はいつも通り、ソファに座った。
「朝食の前に、温かいお茶で胃腸をほぐしましょうか。」と、珍しく私の隣に茶器をセッティングしたのは、翠くん。
「君がそんなに近づくなんて、意外だな。じゃあ、今日はどんなスケジュールで動こうか?」
翠くんを挑発するように私を挟んだのは、タスク管理を委任していた凪くんだ。
私は、身動きが取りづらくなった。
けれど、2人は道を空けてくれるわけではない。
顔面の温度が上昇していくのが分かる。
これは…『照れる』ということ?
「あの、お2人とも……」
私は耐えきれず、声を発した。
すると、調理や話し声、全ての音が一瞬止まったように思えた。
恐らく、錯覚かバグだろう。
でも、一人物影から姿を現したのは、想くんだった。
「今の…君の声、だよね?」
私は咄嗟に「えっ!?」と声を裏返しながら、想くんの居る背後に振り向いた。
手には何やら、小さな機器……?
「想、今のはお手柄だったな!(笑)」
「たまには、良い仕事をするものですね。」
「ナイス!ストーカー!(笑)」
何やら、想くんの周りは賑やかである。
私も釣られて、表情がゆるんだ気がした。




