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【完結】かつて世界を救った勇者は地獄に追放された〜俺は俺を世界から追放した神々への復讐を決意する〜  作者: 早野冬哉
第二章

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43.分断

「俺は真ん中の本体を相手する。ネルとドライアドは右、クーダマリーは左の分身を頼めるか?」


「うむ」


「承知いたしました」


「了解した」


 三者三様に頷くのを確認して、俺はゼスに向き直る。


「まずは俺が、あの三人のゼスを分断する! スキル付与『岩石生成』」


 俺は略奪剣に『岩石生成』を付与し、二度振り下ろした。すると、本体と左右それぞれの分身の間に、巨大で分厚い岩壁が出来上がった。


「みんな死ぬなよ」


「当然だ。妾を誰だと思っておる」


 紫色の髪を靡かせ、逞しい微笑みを浮かべたネルが壁の向こうに姿を消す。


「わたくしはルーカス様に一生寄り添うと決めておりますから」


 清楚な大人の微笑みを浮かべて、丁寧にお辞儀をした後、ドライアドもネルに続いて姿を消した。


「私もこんなところで死ぬつもりはないさ」


 そう言ってクーダマリーは親指を立て、ネルたちとは反対側の壁の向こうに歩いていった。


「よし、俺も行こう」


 そうして俺は、『炎翼』と『突風』のスキルを発動してゼスの本体に斬りかかった。


***


「さて、私の相手はあなたね」


「ふん、たかが地獄の番人ごときがワシに敵うとでも思っておるのか?」


 黒い直剣を構えたクーダマリーをゼスの分身が蔑む。だがクーダマリーは気にした様子もなく笑った。


「ははっ、これでも私は番人の中で一番強いんだ……全力のネル様と張り合えるくらいの強さは持ってるさ」


「ほう……」


 妖しく笑うゼスが持つ杖に嵌め込まれた赤と青の宝玉を見て、クーダマリーがゼスに挑発的な声を投げかける。


「その宝玉の色、それに杖から漂ってくる魔力の波長を見るに、私の前にいる分身は火と氷属性のスキルだけしか使えないと見えるな」


「その通りじゃ。じゃが、それが分かったところでお主とワシの実力差は覆らぬよ」


 ゼスが持つ杖の宝玉が光出す。それに合わせてクーダマリーは足に『黒雲』を纏い、ゼスに向かって踏み込んだ。


「『氷槍』、『炎熱火球』」


 ゼスが頭上に杖を掲げると、ゼスの背後に無数の氷柱と火球が現れた。そして次の瞬間、無数の弾丸がクーダマリーに降り注ぐ。


「舐めるな! 『虚斬り』」


 クーダマリーが切り上げた剣筋から、空間には黒い亀裂が走る。亀裂は木の根のように複雑に枝分かれして広がり、氷柱や火球を消し去った。


「隙だらけだぞゼス!」


 『黒雲』スキルで空を駆けるクーダマリーが、フェイントを織り交ぜてゼスの頭上を取った。そしてすぐさまゼスのつむじを狙って剣を振り下ろす。


「氷壁」


 ゼスが咄嗟に張った分厚い氷の壁を豆腐のように容易く切り、なおもゼスの頭部に向かって振り下ろされ続ける剣。


「取った」


 クーダマリーが勝利を確信したその時、


「『氷鎧』、スキル付与『氷槍』」


 ゼスの頭を包んだ硬い氷が、クーダマリーの剣を防いだ。さらに氷の鎧から生えた氷柱が、刹那の間にクーダマリーを捉える。


 グサッ!


 クーダマリーは体を捻って氷柱をかわそうとしたが、氷柱が鎧ごとクーダマリーの左腕と脇腹を貫いた。


「ぐっ……」


 短いうめき声を漏らすクーダマリー。彼女はすぐさま右手に持った剣で左の二の腕と右脇腹に突き刺さった氷柱を切ると、ゼスから数歩分の距離をとる。


「分身だと言うのに、そんな高度なスキル行使ができるとはね」


 左腕に刺さった氷柱を引き抜くと、クーダマリーは両手で剣を構え直す。


「ふん……ワシと本体、そしてもう一つの分身はそれぞれ違う脳で動いておる。故に三人同時であれ高度な思考が可能なのじゃよ」


「なるほどね。やっぱり神っていうのはどいつもこいつもバケモノだ」


 ゼスは唐突に会話を切り上げ、杖を掲げた。


「氷吹雪」


 雪の代わりに氷の粒が使われて巻き起こる吹雪。その氷の一粒一粒が一撃で人間を絶命させるほど大きく、いくつもの棘が生えていた。そして、迫り来る無数の氷粒を前にして、クーダマリーは……。


「ははっ! 私はこれを待っていた! 早まったなゼスの分身。 私にはこんなスキルがあるんだ……『虚構』」


 クーダマリーがスキルを行使した瞬間、吸い込まれそうなほどに真っ黒な膜が彼女の全身を包み込む。その直後、殺意剥き出しの氷粒がクーダマリーに衝突する。だが、クーダマリーに触れた全ての氷粒が、彼女を包む黒い膜に触れた瞬間消滅した。


 ズズッ……。


 不意に、ゼスを閉じ込めるように真っ黒な膜が立方体状に現れた。


「何だこれは?! 神であるワシの知らないスキル……だと?!」


「チェックメイトだ。ゼスの分身」


 パチンッ!


 クーダマリーが指を鳴らすと、さっき漆黒に吸い込まれて消えた無数の氷粒がゼスを囲う漆黒の膜から飛び出す。


「グアァァァアァァッ……!」


 全方位から押し寄せる大量の凶器に刺され、押しつぶされて、ゼスの分身は砕け散った。


「……終わったな」


 ゼスの分身が砕け散ったことを確認して、クーダマリーは地上に降りた。そうして、『氷槍』で貫かれた左の二の腕にある傷口を押さえる。


「本当は無傷で勝利してルーカスやネル様の方にも加勢したかったんだが……このざまでは足を引っ張ることになりそうだ」


 自虐的に笑って、クーダマリーは地面に倒れ込む。


「勝つんだそ。ネル様、ドライアド、そしてルーカス」

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