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【完結】かつて世界を救った勇者は地獄に追放された〜俺は俺を世界から追放した神々への復讐を決意する〜  作者: 早野冬哉
第二章

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35.異変調査

「ガルルゥ!」


 森の中で飛びかかってくる白狼を、剣で切ろうと鞘に収めている剣に手をかけた。しかし剣を抜く必要はなかった。


 ザクッ……。


 ドライアドが木の根を操り白狼を串刺しにした。


「露払いはわたくしにお任せください」


「あ……ああ、頼む」


 恭しく頭を下げるドライアド。従者というものに慣れていない俺は、鞘の位置を直して歩き出した。


「魔獣発生装置の回収なら、俺一人でも大丈夫なんだが……」


「わたくしはルーカス様の下僕です。せめてルーカス様が緑縛地獄におられる間だけでもそばにお仕えしたいのです」


 俺たちは今、魔獣発生装置を回収しに森の奥地へと向かっている。ついでに、その周囲に何か装置を置いた者の手がかりがないかも確かめるつもりだ。


「ついたぞ」


 そう言って俺は、壊れた魔獣発生装置を拾い上げる。その間、ドライアドはスキルを使って周囲を探っていた。


「……これはやはり、天界に住む者の所業ですね。あれを見てください」


 ドライアドが指し示した先には、天使ミカエルや女神ヘスラが纏っていたものに近い白い布切れが枝に引っかかっていた。


「天界……か。天界に住む誰か、個人を特定することはできないのか?」


「ピクシーたちの力も借りて、時間をかければ可能です」


「そうか。ならば一度戻るか」


***


「なるほど、天界の者どもが絡んでおるのか……」


 巨木の最上階とヘイルム城の会議室の間をネルのスキルで通信状態にして、俺とドライアドは異変に関する調査結果を報告した。


「して、個人の特定は出来たのか?」


 ネルの問いに、ドライアドはゆっくりと頷いた。


「はい。少なくとも、緑縛地獄の奥地に魔獣発生装置を設置した者はわかりました……ゼスです」


「ゼス?! 間違いないのか?」


 椅子から立ち上がって聞く俺に、ドライアドはまた頷く。


「間違いありません」


「そう……か」


 ゼス──俺を理不尽な理由で地獄に落とした張本人であり、俺を魂ごと消滅させようとさえした男神。


 あの老害……俺だけではなく地獄にまで手を出すのか! ふざけるな!


 バンッ!


 俺は机を思いっきり叩いた。その衝撃で我に返ると、


「すまない。取り乱した」


 俺は椅子に座った。


「よい。お主の気持ちは理解できる。……それに奴のことは妾も看過できぬ。なにせ禁を破って地獄に干渉してきたのだからな」


 そういえば、地獄に神々が干渉するのは禁止されていたな。


 通話越しに聞こえるネルの声は、明らかに苛立っていた。そしてネルはため息を吐く。


「まずは番人たちの手を借り、地獄の隅々まで調査し、他に魔獣発生装置等が置かれていないか確認する。ルーカスにはドライアドとともに緑縛地獄の調査をしてもらいたい……頼めるか?」


「ああ、わかった」


***


「ネル、少なくとも緑縛地獄には魔獣発生装置はなかった」


「そうか、ご苦労だった。他の番人たちからの報告によると、焦熱地獄に二つ、極寒地獄に一つ、隷虐地獄に三つ、虚黒地獄に二つ、それとヘイルムに一つ発見された。そのどれもが、ゼスの手によって置かれた物だとも断定されておる」


 最初の会議から一週間が経ち、魔獣発生装置の探索を終えた俺たちは、再び通信で次の行動について議論していた。


「一つ、よろしいでしょうか?」


 不意にドライアドが手を挙げる。


「よいぞ、申してみよ」


「ありがとうございます。……わたくしは疑問に思ったのです。男神ゼスはどうやって、他の神々に気づかれずに何度も地獄に来られたのでしょう?」


「確かに……勇者時代に聞いた話だど、天界での門の開閉を管理する神々もいると聞いた。そうなんどもその監視を掻い潜れるとは思えない……」


 一瞬の沈黙が、全員に一つの答えを導き出させる。その答えを、ネルが重々しく口にする。


「つまりゼスは今、人間界におるというわけか」


 ゼスが人間界にいるのなら、今が奴に復讐する絶好の機会!


 俺は椅子から立ち上がり、ネルに声を飛ばす。


「ネル、俺を人間界に連れて行ってくれないか?」


「そうだな。ゼスに対処しなければ地獄は危うい。そしてゼスを倒すのならば、ルーカスの力が必要だな」


 ネルの言葉はどこか建前めいていて、本当はただ、俺に復讐を遂げてほしいだけだと言われている気がした。


「ルーカスよ、ヘイルムに戻れ。明日の朝、人間界に行くぞ」


「ならばわたくしもお供させていただけないでしょうか? わたくしのスキル『幻想結界』ならばネル様のお力を人間界でも使用できるはずです!」


 ドライアドは深緑の瞳で俺を見て跪いた。


「そう、だな。人間界でネルの力を使えるのはありがたい……ネル、ドライアドを連れていってもいいか?」


「ルーカス様を独占したかったが、仕方あるまい」


 ネルがボソボソと呟く声を、俺は聞き取れなかった。


「ん? ネル、通信の状況が悪くて聞こえなかった。もう一度頼む」


 ネルは咳払いをして、言い直した。


「んんっ……よかろう。今回は妾とルーカス、そしてドライアドの三人で人間界へ行く……」


 ドゴオォォオォォォオォン!


 ネルの声を掻き消し、通話越しに轟音が轟く。そして、ネルの秘書悪魔の声が聞こえてきた。


「ネル様! 上空に大型の門が開きました。そこから天使の軍団がヘイルムに向かって降下中。門の中には男神ゼスの姿も確認しております!」

この話を読んでいただきありがとうございます!


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