表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】かつて世界を救った勇者は地獄に追放された〜俺は俺を世界から追放した神々への復讐を決意する〜  作者: 早野冬哉
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/49

24.理不尽な女神

 ようやくだ。ようやく会えたぞ女神ヘスラ!


 俺は今すぐにでもヘスラに斬りかかりたい衝動を抑え、路地裏からヘスラとその周囲の様子を伺う。


「ああ女神さま」


 噴水の前に集まる人々は皆、手を合わせて女神に祈りを捧げる。そんな中、輝く金色の髪を靡かせてお淑やかに門から出てきたヘスラは、人々を見下ろした。


「今年も出迎えご苦労様。女神ヘスラの名において、皆の未来に幸あらんことを願う」


 ヘスラが振るった手から、噴水の周囲に光の粒が降り注ぐ。そうして気品ある仕草で祝福を終えると、ヘスラの視線が屋台の並ぶ大通りへと移った。その瞬間、ヘスラは形相を変えた。


「それで、この屋台の少なさはなに? 女神祭だと言うのに人も少なくて賑わいも足りない……女神であるこのあたしを愚弄しているの?」


「滅相もございません。……しかし今回はキラードなる者がこのカラクの町で何十もの殺人を犯しておりまして、その恐怖からか、町の外からの出展や来賓が減ってしまったのです。どうか我らにご慈悲を……」


 女神に対して、怯むことなく現状を説明した初老の男を女神は見やる。


「ふぅん……そうだったのね」


「許してくださるのですか? 寛大なお心、痛み入りま……」


「天雷」


 ドゴオォォン!


 女神によって落とされた雷が、初老の男を直撃する。そして女神は、その黒焦げになった体を踏みつけた。


「それで? だからなに? このあたしを祝福する以上に大事なものなんてないでしょうが。たとえ命だろうとなんだろうと、あたしに捧げて見せなさいよ、この木偶!」


 怒りを吐き散らし、黒焦げの死体を何度も何度も何度も踏みつけるヘスラ。噴水の前に集まった人々は皆、彼女に恐怖の眼差しを向けた。だが、女神という絶対的存在に、誰一人その場を動くことは出来なかった。


「そうそう、あなたたち全員同罪だからね。全員地獄に落ちなさい!」


「罪だと? あの女、頭がおかしいのではないか?」


「そのようだ。自らキラードという殺人鬼をのさばらせておいて、それで祭りが小規模になったことは人間の罪? 狂っておるな」


 あくまでも作戦通り、女神が天界へ戻るのを冷静に待つ二人。一方、噴水の上でスキルを行使しようと手を振り上げるヘスラに、俺は我慢の限界を迎えた。


「おい待てルーカス! 早まるな!」


 路地裏から飛び出す俺に伸ばされたネルの手は、俺の背を掠めるだけで掴むことはなかった。そのまま路地裏から一直線にヘスラに突っ込むつもりで、俺は地面を蹴り砕く。


 ボッ……ヒュオォッ!


 怒りに身を任せた俺は、気付けば無詠唱で『炎翼』と『突風』を発動させていた。そして俺はそのまま、群衆の上を疾走し、ヘスラに見つかった。


「人や屋台が少ないのは、キラードに加護を与えたおまえのせいだろうが!」


 剣を抜刀と同時にヘスラの首に叩き込む……が、キラードが使っていたものとは格のちがう『光盾』で防がれた。


「このあたしに剣を向けた? 誰だか知らないけど、楽に死ねると……」


 俺の顔を正面から睨みつけたヘスラは、驚きを隠せずに声を上げた。


「勇者……なぜあなたが人間界にいるのよ! 地獄に落ちたはずでしょう?」


 そんなヘスラを見て、俺は殺意のこもった眼光をヘスラに向け、ヘスラを指差した。


「なぜ俺が人間界にいるか? おまえたちに復讐するために、地獄から這い上がって来たからに決まっているだろう!」


 光の盾に防がれた剣を引き、再びヘスラに斬りかかろうとしたその時、亡霊を見たように青ざめた顔のヘスラが、平静を取り戻した。


「光爆」


 光が、ヘスラの手のひらに収束していく……。


「くそっ……、『岩石生成』『連弾』」


 咄嗟に炎翼で羽ばたき距離を取る。そしてヘスラの周囲に、何十もの岩でできた壁を生成した。次の瞬間、


 ズドオォォォオォォン!


 大地を震わす衝撃が走り、人体の何倍も分厚い岩壁は跡形も無く消し飛んだ。


「死にたくない者は我らの誘導に従って避難しろ!」


 イフリートの声が響くと、金縛りが解けたように一斉に人々がイフリートのもとに駆け寄っていった。そうして集まった人々をまた、ネルとレンで別の場所へと誘導していた。


 よし、避難は問題ないな……もう、周囲を気にせず全力でやり合える。


「俺はずっとこの時を待っていた……俺の全てを奪ったおまえに復讐できるこの時を!」


 ヘスラは土埃がついた純白のキトンを見て、より一層怒りを滲ませる。


「人間ごときが、あたしより信仰を集めてあたしに埃を付けるなんて……いいわ元勇者、あなただけはあたし自ら魂を砕いてあげる」

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけたら、


ブックマーク登録や、

↓の「☆☆☆☆☆」をタップして、応援していただけるとうれしいです!


星はいくつでも構いません。評価をいただけるだけで作者は幸せです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ