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第4話 魔族領王都と決意

 森の中でサキュバスの少女、アイリスと出会ってから早数日。

 俺達は魔族の王都、居住区あたりに来ていた。

 もう魔王城を目に見ることができるくらい近い距離にまで歩を進めたのだが……

 

 「でねっ!あたしにはもうなんか親が決めちゃった婚約者(フィアンセ)がいるっぽいんだけど、一度も会ったことないんだよねー。」


 無理に振り切ることもないしで好きにさせてたら道中色々と魔族領のこととか内情とか聞いてもないのに喋る喋る。

 静かにしている時間と言うのが一切ない!ってくらい喋る。

 

 「そんなさぁ、一度も会ったこともない婚約者(フィアンセ)なんかより、カイトの方がよっぽど魅力あるなぁって思うよ!あたしのこと守ってくれてるし。」

 

 確かにアイリスは魔物と戦えるような子ではない。

 目の前で魔物に食われると言うのも寝覚めが悪いものだから守ってはいるのだが……

 強さの違いを散々見せつけたからか、俺と言う『獲物』の狩り方が『襲撃』から『籠洛』へとシフトした感じになったのだろう。

 それに付き合ってやる義理も、受け入れてやるつもりもないがな。

 

 しかし、この居住区はひどいものだな。

 瘦せこけた魔族が道端で、路地裏で、地べたに座りぐったりと建物に寄り掛かっている。

 まるで王国領のスラムのようで、彼らを見ていると俺も心が痛む。

 

 -魔族も、人族と同じなんだ

 

 王国領の人々にとって、魔族領とは『魔王が君臨する魔物の国』と言う認識でしかない。

 しかし実態は『人族の王が治める人族の国』と『魔族の王が治める魔族の国』と言う違いだけであった。

 

 「急ぐぞ!」

 「えっ!?ちょっとなんで?いきなりどうしたのよ!?」

 

 俺達は居住区を抜け、立派な建物が立ち並ぶ恐らくは貴族街であろう区域へと進む。

 この貴族街では居住区のようなスラム化にまではなっていないものの『魔族領』だからと言う理由だけでは説明がつかない、寂れた空気が漂っている。

 

 「アイリス、お前の家もこの辺りなのか?」

 「ううん、確かに王都邸もここにあるけど、うちはあの森のあたりの辺境よ?まぁこの雰囲気じゃね……ほとんどの貴族は王都邸使ってないと思う。」

 

 アイリスの家も財産の接収があったと言うが、やはりどの貴族にも……と言うところか。

 『籠絡』は少々鬱陶しいが、こう言った現地のガイドや、一緒にいることで魔族との余計な諍いが起こらない点はありがたい。

 

 -果たして、あの勇者は……他にもいるであろう勇者達は、魔王だけに標的を絞るのだろうか?

 

 そんな思いが脳裏をよぎる。

 

 貴族街を抜けると、魔王城の門が見えてくる。

 門の前では門番が二名立っているが、城を守る門番でさえもやせ細り、覇気が見られない。

 

 「な、何者だ!と、止まれ!!」

 

 それでも何とか気を持ち直し、俺達に向けて槍を突き付ける門番達。

 見ていて可哀そうになってくる程である。

 

 「俺は魔王に用がある。お前達とは戦いたくない……道を開けてくれ。」

 「そ、そうはいかない!ここは魔王様がおわす居城なるぞ!!」

 

 幾許(いくばく)かの給金があるのか、それとも罰があるのか……気の毒である。

 

 「アイリス、ここは頼む。」

 「うん、わかった。」

 

 アイリスは戦闘には不向きではあるが、淫魔・夢魔としての能力は持っている。

 それを『女神の祝福』で増幅してやれば……

 

 「おやすみなさい、いい夢見てね。」

 

 食事もロクに取れず、やつれ切った門番二人を眠らせることは造作でもない、と言う訳だ。

 

 「行くぞ!魔王と話を付ける!!」


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