44.ジュ・トゥ・ヴー(サティ)
秋良はソファーに座り、テレビ番組をザッピングしている。
2月の気温は低く、外を出歩く気もしない。
朱音は友人たちと卒業旅行に行っており、数日は一人で過ごす事になっている。
卒論は無事提出して受理され、一人でゆったりと過ごすのは久しぶりだった。
さっき朱音から無事北海道に到着したという写真付きのメッセージが来た。
グルメ三昧で過ごす予定らしい。
秋良のクラスは男ばかりで、卒業旅行など話も出ない。
行ったとしても一人旅をしている者が多いのではないだろうか。
まあ、卒論で大変な日々を送っていたからたいがいのクラスメートは秋良と同じくまったりと過ごしているのだろう。
こういうのんびりと過ごす時間は悪くない。
時折朱音から届くメッセージに返事をしていたが、何をしているのかと聞かれたのには何もしていないと答えておく。
そろそろ腹が減ってきたので、買っておいたレトルトのカレーを食べようと、米を研いでご飯を炊いた。
サラダはコンビニで売っている千切り野菜を皿にのせて、ドレッシングをかける。
カレーは今人気があるとテレビで言われているものを以前買っておいたものだ。
ようやく食する機会を得た。
夕食は冷凍餃子を焼こうかと思っている。
普段は飲まないが今日はビールを一緒に飲んでもいいだろう。
朱音からは順調に北海道グルメのメッセージが届いている。美味しそうだ。
秋良はカレーを平らげると、皿を洗い、水切りに入れた。
少し眠くなって来たのでエアマットを引っ張り出して寝ころんだ。
普段、オケの練習とバイトしかしてこなかったのでこういう時に何をしていいのか分からない。
(俺って実はダメ人間なのか?)
などど考えているうちに眠ってしまった。
目が覚めると午後3時過ぎで、結構な時間眠っていたようだ。
少し早いが、目覚ましに風呂を沸かして入った。
風呂から上がり汗が落ち着くと、パソコンを取り出して動画を検索してみた。
秋良が生まれるはるか前の「全員集合」する番組のコントがかなり面白い事に気が付いた。
一旦動画を止め、餃子を焼いて冷蔵庫からビールを取り出し、再度パソコンで動画を再生し始める。
面白いのでいくつも動画を再生し、餃子を食べてはビールを喉に流し込む。
そうして面白いシーンでゲラゲラ笑う。
朱音からまたメッセージが届く。温泉宿で露天風呂を楽しんだそうだ。
一通り動画を楽しんだので、そろそろ寝ることにする。
明日はどうするかなと考えていると、ゲームの事を思い出した。
そうだ、(明日はゾンビを殲滅しよう)と思い立った。
朱音が気味悪がるのでやらなくなっていたゲームだ。
間違いなく一日過ごせる。
よしよし、明日やることができたと、秋良はホクホクしてきた。
そして、サウナにも行く気になった。
外は気温が低いので外気浴が気持ちよさそうに思える。
明後日はサウナに決定した。
頭が回り始めた様だ。
少し時間が早いが、朱音にお休みメッセージを送っておいた。
明日からが楽しみだ。
「お休み、朱音」
一応、声にも出しておいた。
短編「彼女は」を全体に見直しました。




