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2.椎木秋良はホルン吹き

短編版から改訂してます。

 ファミレスからの帰り、朱音の心臓がドキドキと早い鼓動を打つ。

 さっきの秋良とのことを思い出すと顔が熱くなり、心臓もまったく落ち着かない。

(明日からどうしよう)


 秋良が木管アンサンブルのメンバーになったと聞いたとき、心が躍った。

(一緒に演奏できるなんて…)

 だけど、それはとても表に出せない。


 同じ学年だけど、学部は違うし、楽器もクラとホルンでは接点はない。

 合奏の時に音が時々重なる程度のもの。


 大学のオーケストラに入部して初めて練習場に入ったときにホルンの音が響いていた。

 これまで朱音が聞いてきたホルンとは明らかに違う音。

 明るくてキラキラとして練習場全体を包み込むような広がりのある特徴的な音。

 その音の主がが同じ学年の秋良だった。


 朱音はその音に聞き惚れてしまった。

 ホルンを吹いている彼をぼーっと見つめていた。


 それからというもの、練習場にくると彼を探してしまうようになった。

 だけれど、彼とは全く接点がない。

 もう2年生も半分終わってしまったのに、離れたところから彼の音を聞いているだけだった。


 これまではそうだった。

 それなのに。

 今日は彼から話しかけられた。

 無意識にガッツポーズしてしまう。

 嬉しかった。

(私、変なこと言ってないよね)

 うれしくて、緊張して、頭が混乱していた。

 それでも必死で平静を装った。


 彼がなぜホルンを吹いているのか聞いたのは覚えている。

 彼も私のクラの音が好きだと言っていた。

 私のことを意識してくれてた。


 別れ際も頑張った。

 精一杯の笑顔で別れた。

 彼も手を振ってくれた。


 道行く人たちからの視線を感じてはっとして、自分がにやけていることに気が付いた。

 あわてて何事もないように歩き出す。

 私、今日はがんばった。


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