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15.新年初練習

新年初練習です

オケの箱の中がちょっとざわついています

 新年を迎え、秋良の所属する大学オケは初練習日を迎えた。


 まだ新しい譜面が来ていないので、簡単に音出しをして、各自思い思いに楽器を演奏している。

 新年のあいさつを交わして談笑をしている者もいるし、全体に和やかだ。


 ただ、一人の女の子がちらりちらりと皆から視線を集めている。

 そして、その視線は彼女へ向かった後は秋良へ向けられる。


「よう、相棒、新年おめでとう」

 一貴がそう言うと秋良の隣に座った。

「おめでとう。今年もよろしくな」

「こちらこそよろしく……。なあ」

「なんだ」

「もうひとつめでたいことがあるよな」

「ああ、そうだ、な」


 今の朱音の姿を見て、何もないなどと言えるものではない。


「彼女が出している幸せ光線は目の毒だぞ。見た目も雰囲気も去年までとはガラッと変わってる。何があったらこうなるんだ」

「付き合いだした」

「そうなんだろうけど。それであんなにしあわせ彼女感というか奥様感が漂うものか」

「うー……。おそらくだけど、俺のせい」

「そんなの、分かってるよ! そこでボケるか?」

「すまん。ボケたつもりはないんだ。怒んなよ。俺が……」

「俺が?」

「ヘタレだったせいだと思う」

「自覚あるんだ」

「自覚した。きっと朱音はずっと待ってくれてたんだと思う」

「周りから見てると、ほんっとじれったかったぞ」

「ごめんて。機嫌直せよ」

「それで急接近してああなったと。髪の色も変わって、変身レベルだぞあれは。スーパー梅香崎じゃん」

「ええ?」

「ま。梅香崎がああなったということは良い事があったということだろうしな。ヘタレのお前が頑張ったんだ。良しとしよう。俺はお前に大切な人ができて嬉しいぞ」

「一貴」

「何だ」

「俺はお前が友達で良かった」

「結婚式で演奏する曲考えとこー」

「お、おい」


 一貴はにやりと笑って音出しを始めた。


「ねえ、今日、大平君と何話してたの?」

 練習帰り、秋良と朱音は二人で歩いている。

「ん。朱音の事。付き合い出した事伝えた」

「そう。何か言ってた?」

「何か怒ってた」

「え? 何で」

「いや、本気で怒ってたわけじゃなくて冗談で。それで、朱音が変身してるってさ。スーパー梅香崎になってるって」

「なあにそれ。私、アニメの主人公じゃないよ」

「周りからはそれくらい朱音が変わったって見えてるらしい」

「そうかな。秋良はどう思う?」

「お、俺も、クリスマスからそう思ってた。朱音が変わったって」

「必死だったの。もう秋良が大好きなこと抑えられないことに気づいて」

「ほんとにありがとう。待っててくれて。あと、ヘタレててごめん」

「ううん。そういう秋良だったから私は好きになったんだと思うし、結果オーライよ。私、今、すっごく幸せだもん」

「俺も、朱音と付き合えてうれしい。実を言うとね、一年のころから朱音の事が気になってた。けど、彼女いたことないし、自信なくて」

「私も一年のころから秋良が気になってたよ。私も自分に自信がなくて前に進めなかったの。私たち似たもの同士だったんだね」

「そうだね。今までごめんな。これからはその分大切にするから」

「お願いします」


 朱音の笑顔がまぶしい。

 良いのだろうか、こんなにも好きになってしまって。

 もう、よそ見などできない。


やっとクリスマスからの件が落ち着いたようです

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