13.12月25日
結ばれた二人を祝福しながら書き進めました
窓が明るくなり、ベッドの上で目が覚めた。胸元に朱音の頭があり、寝息が聞こえる。
朱音の首筋には昨夜の二人の思いの跡が見える。
愛おしくて、やさしく抱きしめた。
昨夜の朱音の姿が脳裏によみがえる、声にならない声、息遣い、柔らかくみずみずしい肌。
唇で、手で、朱音の全身に触れ続けた。
紅潮した朱音から発せられる秋良への反応のすべてが愛おしい。
そして、朱音の熱い濡れた泉。
これ以上の快楽はないだろうと思えた。
思わず朱音を抱きしめる手に力が入る。
朱音が目を覚ます。
上目遣いに秋良をみると両手を秋良の首の後ろにまわして、秋良の胸にうずめて頭をこすりつける。
「朱音。大好きだ」
「私も」
至福の時間。ただ抱き合っていた。
その時、昼を知らせる音楽が流れ始めた。
「え?!」
二人同時に声を発すると、見つめ合った。意識が現実に戻る。
「確かに、お腹がすいてる。まだ朝かと思ってた」
秋良はそう言うと、「何か食べ物買ってこよう」と言って起き上がった。
上半身は裸だったが、寝間着代わりのルームウェアのズボンは履いていた。
朱音は秋良が用意したパーカーを着ている。
太ももから下は露わな状態だ。
秋良はまたふつふつと湧き上がる思いを感じた。
「スープは昨日の残りがまだあるから、サンドイッチとかパンを買ってきて」
朱音がそう言って、キッチンの方へ歩きだそうとしたところを秋良が後ろから抱きしめた。
「はっ」
朱音は息を吐き、手を後ろの秋良の頭へまわし、頭だけ後ろを振りむいてキスを望む。
秋良は朱音の唇を犯す。
朱音はゆっくり振り向いて秋良の首の後ろに両手をまわす、秋良はさらに朱音の唇を舌を蹂躙した。
「またする?」
朱音は体の向きを変えてささやくように秋良の耳元に言った。
「したい」
二人は抱き合ったままベッドへ倒れ込んだ。
朱音は昨日の姿に戻り、身支度を整えている。
「駅まで送るよ」
秋良がそう申し出たが、朱音は「ううん。送ってもらうと離れられなくなるから。また明日来るね」と言って秋良のアパートを後にした。
駅へ向かう道すがら、朱音は幸せをかみしめていた。
秋良と過ごした昨日からの時間は本当に楽しかった。
胸がドキドキしたり、心がほわっと暖かくなったり、とにかく生まれて初めての体験だった。
(怖いくらいに幸せ)
高校まで、ひたすらに吹奏楽に打ち込んで、気が付いたら奥手の恋愛下手になっていた。
少し離れた席に座る秋良を見つめるだけの日々。
それが、少しずつ、距離が近くなり、秋良が大好きな自分を自覚して、みんなにからかわれたりして恥ずかしかったけれど、近くなり始めた距離を以前に戻すことは無理だった。
少しずつ、少しずつ、近づいていた二人が昨日、一気にくっついた。
いや、くっついたどころではない。交じり合ったのだ。
今、思い出しても自分が自分ではないような、それほど大胆に秋良を求めている自分に驚いた。
奥手の私はもう、どこかへ行ってしまった。
秋良が大好き。
秋良も私を好いてくれている。
その確認ができた幸せ。奇跡だ。
心の底からそう思っているはずなのに、なぜかチクリと不安が心をよぎる。
(ああ。秋良に抱きしめられたい。安心したい)
朱音の全身を秋良の唇が、手が、蹂躙する。敏感なところに触れられた時の電気の走るような感覚がよみがえる。
もう、秋良から離れることはできそうもない。
家に着いて着替えをする。
もう夕方だ。
自分の体の、秋良の生々しい痕跡が心臓を高鳴らせる。
秋良の息遣い、声、唇や手の触れる感覚がまたよみがえる。
また明日、秋良に会いに行こう。抱きしめてもらおう。キスしてもらおう。
朱音は自分の体を抱きしめた。




