第一話:LILAC
技術が発展しさまざまな便利なものが作られてきました。
人類は機械に囲まれ何不自由なく生活ができるように街が作られていく。
しかし、そんな時代でも何処かには山があって森があって自然と共生しています。
何故なのか、それは我々人類が自然からしか受けることのできない特別な力があるから。
きってもきれないそんな人類と自然の関係がいまの我々をここまで進化させてきました。
ではその自然がなくなったら、我々はどうなっていくのでしょうか……
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2055年7月30日
今日もまた嫌な朝が来た。
くだらない学校に行く日、同じことを繰り返す日々に嫌気が差す。だが、ようやくそんな日々も少しだけだが終わる、明日から夏休みだからだ。
そんな事ことを考えながら支度をしていると僕を呼ぶ声が聞こえて来た。
「葵、ご飯いつもどおりおいとくから、食べたら行きなさいよ。あと、いつも通りゴミだけ出しといてね」
「わかったよ母さん、いってらっしゃい」
母さんはいつも朝早くから家を出る。父さんが亡くなってから毎日仕事に追われている。本当に母さんには頭が上がらない。
ゴミ出しが終わって時計を見ると時間ギリギリだった。
「やばい、遅刻する」
鞄を持って急いで駅に向かった。
「まもなくモノレールがまいります。ゲートが開くまで白線の内側でおまちください」
「はぁ……はぁ……間に合った」
息を切らしながらモノレールに乗り込む
「本日もご乗車ありがとうございます。彩都の次は三御、三御です」
モノレールが発車して席に座り息を整える……
少しして落ち着いて来たのでゆっくり休んでいると窓に大きな施設が見えてきた。
三御科学研究センター 通称三科研と呼ばれている。
母さんが勤めている所で、今は亡き父さんが創った研究所だ。父さんが亡くなった今、母さんが所長を務めている。
創設当初は小さな研究所だったが、この街の発展に大きく貢献したことでいろんなスポンサーがつき今では街のシンボルになるほど大きくなった。だから母さんはちょっとした街の有名人だ。
母さんは口を出す人が増え面倒が多くなったとよく愚痴を溢しているが、そのおかげで新しいことに挑戦できていると喜んでもいた。僕としては母さんがいいならどちらでもいいが安定している今の方が安心ではある。
ただ、親が有名人だと良いことづくしのように思われるかもしれないがそんな事はない。
街の人は僕に良い顔をしようとするし学校でも腫れもののように扱われ話しかけてこない、たまに僕の話をしようものなら陰口ぐらいだ。みんな僕ではなく母さんしか見ない。誰も僕を見ようとはしない。
こんなことばかり考えてしまう自分に落ち込んでしまう。
「はぁ…………」
やめだやめだ……こんなこと考えてもキリがない。少し落ち込んでまた、窓の景色をみる。
しばらく窓の景色を眺めているとアナウンスが流れた。
「まもなく三御、三御。お降りの際は完全にモノレールが停止してから席をお立ちください。本日もご利用頂きまことにありがとうございます」
僕と共に同じ制服を着た学生が一斉に降りる。いつもこの時間は混雑するので避けていたが今日は遅れたためこの有様だ。人混みを避けるため少し遅れて改札を出た。
駅から出て5分ほど坂を登ったところに僕の学校はある。
府立三御高等学校
この街唯一の府立学校で女子からは制服が可愛いと人気が高い。男子の僕には関係のないことだがそのおかげか女子のレベルが高いと男子からも人気のある学校である。
「キーンコーンカーンコーン……」
予鈴が聞こえてきた、早足で教室に向かう。今日もまた憂鬱な学校生活が始まる。
初めて執筆した作品です。
文章の書き方など至らぬ点が多いとおもいますが温かい目で成長を見守っていただけるとありがたいです。