プロローグ 選ばれし者達
この作品はダンガンロンパに強い影響を受けています。
作品の傾向から読者様にも楽しめる様に配慮を出来るだけするつもりですが、投稿はかなり遅めになると思います。
重い瞼を開けると、そこは薄暗く何処かの学校の教室の様だった。
「あっ、眼覚めた?」
「…………君は?」
眼の前には耳の尖った金色の長髪に緑色の眼をした女性が自分の顔を覗き込んでいた。
「あー、自己紹介が先だよね? ゴメンね、驚かせちゃって私はエルフのサリア・マシェットよ。」
「サリアさん……ね、僕は…………アレ?」
(思い出せない?)
「どうかしたの?」
「名前が……思い出せないんだ……。」
「えっ!? まあ、こんな状況だし何が起こってもおかしくは無いかな。」
「こんな状況って?」
「実はね…………。」
サリアの言葉を遮る様に学校のチャイムが鳴り響き、何やら教室の壁に設置されているスピーカーから声が聴こえてくる。
「あー、あー、マイクテスト、マイクテスト……オマイラ全員体育館へお集まりください集まり次第この学校生活におけるルールの説明をさせていただきます。 では体育館で後程。」
静まり返った教室に響いたスピーカーの声は陽気な感じで不気味さが増していた。
「オマイラ全員って言ってたけど、サリアさん以外にも居るの?」
「ええ、皆この学校へ連れ込まれて閉じ込められたみたい……それより体育館に行った方が良さそうね。」
「分かった。」
(他に誰か居るのか知っておいた方が良さそうだし、自分の事を知ってる人が居るかもしれない。)
謎の声に従いサリアさんと一緒に体育館へと移動すると14人の人集りが出来ていた。
「これで全員か……。」
「全員?」
「まあ、一応自己紹介くらいはしておくか……俺は“レイニアス・バークライト”職業は勇者だ。」
全員と言う言葉に違和感を感じるも、眼前の金髪に蒼い瞳をした青年は自己紹介を始める。
「よろしく、自己紹介してもらって悪いんだけど自分の名前が思い出せないんだ……ごめん。」
「そうか……、ここに連れ込まれた時に頭にショックを受けたのかもしれないな。」
「じゃあさ、じゃあさ! ナナシちゃんて呼ぼうよ! 呼び名が無いと不便だし、皆で協力してここから脱出する為にもさ!」
「うわっ! ビックリした!!」
レイニアスとの会話に割り込み自分の呼び名をナナシと提案してきたのは、モフモフとした毛並みの猫の姿で人形の獣人であった。
「おい、いきなり割り込んで来るなよマフェット!」
「あはは、ゴメンね〜アタシの名前はマフェットだよ! 他の皆にも記憶が無いならナナシって名前で定着させておくね〜!」
「はぁ、緊張感の無い獣人だな……。」
マフェットは話に割り込んで直ぐに他の人達の方へ行き、自分の名前をナナシとして話に行ってるのだろう。
「そう言えば、さっきレイニアス君は職業が勇者って言ってたけど……。」
「ああそれか……実はな、ここに居る全員が職業を持っているみたいでな、さっきのマフェットの職業は“メンタリスト”まあ精神科医とでも思ってくれ。」
「じゃあサリアさんは“狩人”ってところかな?」
「えっ? あ、うんそうだよ私は“狩人”であってるよ。」
「何か、さっきから全然喋らなくなってたけど大丈夫?」
「うん大丈夫だよ、平気平気!」
「そういえば、さっき全員って言ってたけど……。」
「いい加減にしろよ! てめえ!!」
レイニアスに何故全員揃ったと言ったのか聞こうとした瞬間、周囲に怒号が響いた。
その声の方向へ眼を向けると肥満体型の男性に筋肉質な女性が詰め寄り、その後ろに隠れる様にしている女性がいた。
「そ、そんなに怒る事では無いでしょう! ワタクシはただ、おパンティの色と模様を言い当てただけでありますゆえ。」
「……気持ち悪い……。」
「なーにが、おパンティだこの野郎! それ以上アタイら女性陣に近付いたらぶちのめすぞゴラ!!」
「困りましたね、先程収まったかと思えばまたですか……。」
どうやら肥満体型の男性が原因で喧嘩になりそうな雰囲気を醸し出しており、それを黒い帽子に黒いロングコートで口元を隠し白い手袋をした男性が二人を宥めている様だ。
「えっと、何があったの?」
「ん、君は初顔だね……僕の名はサバトとでも名乗っておこうかな。 因みに職業は“暗殺者”だよ。」
「よ、よろしく……。」
「そんな身構えないでよ、僕は無闇矢鱈に暗殺の依頼は受けないからさ。 そんな事より、おーい君達も自己紹介したら? 喧嘩してないでさ。」
サバトが喧嘩中の二人に向けて声を発するとお互いこちらに気付き自己紹介を始める。
「いやー、お恥ずかしいところを見せてしまいましたね。 ワタクシ誰よりもおパンティを愛する漢! デルタ・マグワイルと申す、職業は商人ですぞ! 今は何も売り物が無いのが残念なところではありますな。」
「うるせーよ、用が済んだんならとっとと消えやがれ変態野郎! ……っと、悪いなアタイはエミル・ブランケットだ! 職業は傭兵をやってる、女だからと言って甘く見ない事だね!」
「あっ……アタシは、シリル……です。 その……職業は……賢者……です。」
「自分は記憶の名前が思い出せないからナナシって呼んでもらってもいいかな?」
そう言うとサバト以外の三人はキョトンとした表情になり、察してくれたのかナナシと呼んでくれた。
「へー、記憶が無いのかい……なら仕方ないねナナシと呼ばせてもらうよ。」
「アタシも……アナタの事、ナナシ君って……呼ぶね……。」
「いやはや、ボクチンもナナシ殿と呼ばせてもらいますぞ! 事が落ち着いたら、どうです? ボクチンとおパンティ談義でも。」
「まだ言ってんのかてめえ、アタイらを拉致った奴より前にシメられてえようだなあっ!!」
「悪いね、ナナシ君……取り敢えず君がまだ話しかけていない向こうの壁際で話し合いをしている方々にも自己紹介をしてみてはどうかな?」
サバトの指差す方向には、何やら会議をしている様な雰囲気のある人集りが出来ていた。
「結局出口は見つからなかったか……。」
「そうっすね、にしても俺達を拉致した犯人はなんでこんな古い学校みたいなとこに閉じ込めたんすかね。」
「さあね、分からない事だらけね……あの放送で来てみたけど未だに犯人からのアプローチが無いもの今は待つしか無いわね。」
「あれあれー、皆ぁ知らない人が居るよー!」
会議中の四人はコチラを見て、腑に落ちない表情をしながら話しかけてきた。
「ねぇねぇ、君確かワタシ達が出口を探してる時には見なかった顔だよねー、もしかして……犯人だったり?」
「ち、違うよ自分も気が付いたら学校の教室に居たんだ。」
「怪しいのは確かだが、俺からするとネイブルも変わらんぞ?」
「ネイブル?」
「ワタシの名前だよー、可愛いでしょー。 得意技は未来の透視なんだー。」
「要は占い師と言ったところだな、ああそうだ俺も自己紹介させてもらうか俺の名はバスク・トリオンだ職業は料理人だぜ? まあ、材料さえありゃ腕を奮ってやっても良いぜ。」
「タリアよ、職業は聖女ね……何? 見えないってよく言われてるから気にしてないわ。」
「最後は俺っすね、始めまして俺はテセウス・ラギウスって名前っす。 俺の感だとそろそろ誘拐犯が姿を現す頃っすね。」
テセウスが言い終えた瞬間、体育館内の照明が暗転しスピーチ台の方へとスポットライトが充てられると上の方へからゆっくりと緑色のアフロヘアーで黄色い服装のピエロが舞い降りスピーチを始める。
「皆様お集まりいただき、誠に有り難くおもいます! 貴方方に集まってもらったのは他でもありません! オイラは皆様をハッピーにする為に……殺し合いを提案しまーす!」
「「「「「「「「「「はああっ!?」」」」」」」」」」
(こ、殺し合い!?)
突如、現れたピエロは殺し合いを要求し邪悪に歪んだ表情で不敵に笑っていた。
次回から日常編と非日常編を書いていこうと思います。
取り敢えず読んでくださり有難う御座います。