第一次袋麺戦争
『ばーか! ばーか! サッポロ○番に決まってるだろ!』
『うるせぇ! このメジャーなら何でもいいだけ男が!』
今……私の目の前で、世にも無意味な、しかし、人類の歴史が始まってから1度たりとも、決着の着いた事がない、不毛過ぎる、戦いの火蓋が切って落とされた。……いや、落とされてしまった。
今にも殴り合いを始めかねない、2人の男達。
先程から、サッポロ○番を推しまくる、仲間で1番ケンカの強い【クマ】
出前○丁の素晴らしさに、1歩も引く姿勢を見せない【ロリ】
あっ登場人物が、不明な方は、過去の【私と愉快な仲間達シリーズ】を読んでください。
これでクマの対戦相手が、私または、クリームやドムなら、私も付き合ったりはせずに【死ぬまでやってろ】と放置をするのだが。
クマに対峙ているのは、仲間内で最も非力な、あのロリなのだ。
しかも、ロリは基本、気弱で友達も居ない、私達が居なければ、今頃間違いなく、引きこもりになってるような奴だ。
故に、ロリは、私を含め年上には、基本敬語と言うか、話し方も丁寧にしており、怒らせるような事もしない。
だと言うのに……今、ロリは私の目の前で、あのクマに向かい、暴言を吐いている……
恐ろしき、袋麺……
ロリをここまで狂わせるとは……
『だから! 何回もいってるだろうが! サッポロ○番、1択なんだよ! しかも! 塩な! 塩!』
『理解力のねぇクマだな……脳ミソどっかに落として来たのか? 一緒に探してやろうか? 出前○丁に勝てる袋麺は、この世にねぇんだよ!』
『サッポロ○番にはな! 醤油も、味噌も、トンコツだってあるんだぞ! 出前○丁は醤油だけじゃねぇか!』
『おいおい、塩が至高だとか、さっきほざいてた口が、負けそうだからって、醤油や味噌やトンコツに助太刀頼むんですかぁ? あぁあん?』
うむ……すぐに殴るクマよりも、常に私と一緒に居る時間が異様に長いロリの方が、口喧嘩では、優勢だな。
私、この時、やけに冷静に、2人の男の争いを観察していた。
正直に言えば【どうでもいい】なのだが、そんな事言おう物なら、一瞬で、クマロリ連合軍vs私の争いになってしまうだろう。
『サッポロ○番塩に付いてる、刻みゴマ! あれを混ぜてみろ! ゴマの香りが広がって、腹の虫が鳴きまくるわ!』
『何がゴマの風味だよ、お前、鼻殴られ過ぎて軟骨ねぇじゃねぇか! そんな潰れ鼻で、良い香りなんて言われる塩が可哀想だわ!
同じゴマでも、出前○丁のゴマラー油に勝てる訳ねぇだろ!』
そろそろ、止めないと、クマが口喧嘩に負けそうになって、殴り出すかな? 等と私が思っていた、その時に……
『『もふ(君)! サッポロ○番と出前○丁、どっちが好き?』』
私に話をフリやがった……
しかし私には、この争いを瞬時に止める秘密兵器があるのだ! 喰らえ! ロリクマ!
「袋麺? そんなもん、スガキヤ○風とんこつラーメン、1択だろ?」
『『うむ! スガ○ヤは、愛知県民のソウルフード! スガキ○は正義!』』
そう言って、硬い硬い握手をする、3人の男達であった……