自分の属性
俺は夕食を摂ってから、先生の部屋へと急いだ。面倒事は早めに片付ける方がいいし、俺も丁度聞きたいことがあった。そういえば、ニーナという子も呼ばれているのであった。だが……
(ニーナって誰か知らないし、それどころか先生以外で名前知ってる人いないんだよな………)
いくらなんでも、これはひど過ぎる。そもそも仲良くなろうとする努力してないし。これじゃあ、いつまでたってもぼっちだろう。ちなみにみんなが遊んでいる間、俺はずっと自己鍛錬をしている。見た目子供だけど、中身は80過ぎたジジイだしな。はしゃいで遊べるわけない。これは赤ん坊の頃からやっているので(勿論、大人や他の子供には隠れてだ。見つかったらビビるだろうし)、今じゃ結構力もあるし、体力もある。あくまで同年代と比べればだが。大人に比べればまだまだだ。前々世と比べりゃ、格段にあるだろうが。
(それに前世でのこともあるしな)
前世では信じれるのは自分だけだったとはいえ、80年以上童貞はやばいだろう。幸い、この世界では前ほど人間の黒い欲望が渦巻いているということもないだろう。少しくらいは仲良くなる努力をしよう。
(まあ元々コミュ障だったし、どこまでやれるか分からないけど)
考え事をしてるうちに部屋に着いた。軽くノックをして、返事を待つ。先生から入っていいと言われたため、部屋の中へと移動する。中には、先生ともう一人少女がいた。少女は青い髪に、赤い瞳をしていた。青といっても薄い青。水色と言った方がいいかもしれない。目はぱっちりとしていて、鼻は少し小さめだろうか?背丈も周りと比べると、ちょっと小さいかもしれない。でも、可愛らしい少女だった。将来はきっと美人になるだろう。俺はこの少女には見覚えがあったため、記憶を探り思い出す。
(この子は確か、俺の前に並んでた子だよな?ニーナってこの子だったのか)
「さて、お二人には話があります。とは言っても、叱るわけではないので安心してください」
隣の子――ニーナはその言葉を聞いて安堵している。お前、なんか悪いことしたのか?
「まずはニーナさんから話しましょうか。あなたは私と同じ聖属性魔法の使い手です。おそらくこれから多くの人から力を借りたいと頼まれたり、仕えてほしいという人があなたに近づいてくるでしょう」
それは未来が明るいことだ。だが、いいことだけではないだろう。
「勿論、その中には悪い人もいることでしょう。信用できる人を見分けなければいけませんよ」
なんかニーナがおろおろしてる。自分に自信がないんだろう。なんか見てて楽しいな。仲良くなったら、からかってみたい。いいリアクションが期待できそうだ。
「すぐにできなくてもいいんですよ。少しずつ慣れていきましょう。それまでは大人に頼ってもいいのですから」
そう先生は笑いながら言う。やっぱりいい人だな、この人。だが、今度は困ったような顔をしながら、こちらを見て話す。
「レオン君、あなたの適正属性は……無属性です」