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元死神は異世界を旅行中  作者: 佐藤優馬
第3章 学園道中編
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現実逃避

死神の投稿を再開します。とは言っても、レポートと並行しながらの作業なので、かなり遅いペースになってしまうと思います。申し訳ありません。暖かい目で見守ってくれると幸いです。また、1、2章を多少手直ししたので、時間がある方は最初から読み直していただけると嬉しいです。

 さて、説明していなかったような気がするので、冒険者ギルドについて具体的に解説するとしよう。


 前にも話したことがあるとは思うが、冒険者ギルドは公的機関だ。国から認められて、初めて運用することができる。勿論、年に1回は国の代表が視察に来る。とは言っても、今は形骸化していることは否めないのだが。

 で、役割について話していこう。主な役割は人材の管理、発掘、情報収集、仲介役と多岐にわたる。冒険者どもは馬鹿にしていることが多いが、ギルド職員というものは実はエリート集団なのだ。まあ、一人で全部やれるようなやつはなかなかいないので、――――カイの野郎はできちゃあいたが――――説明担当だったり、仲介役担当だったりと専門分野に分かれてやっていることが多いそうな。そっちの方が確かにいいとは俺も思う。


 次に、お待ちかねの冒険者たちはどう利用しているかについてだ。冒険者になるためには、単にギルドカードを発行する、これだけでいい。発行すれば、ギルドに登録される。ここから冒険者生活のスタートというわけだ。冒険者になると、ランク付けがされる。これは優秀な人材を発掘し、確保するためだ。こんなことを知っているのはなかなかいないけれどな。実際はランクが上がって嬉しい、とでも思っているやつがほとんどだろう。それは置いておくとして。ランクはGから始まり、SSまで存在する。最高ランクまで行くのはなかなかいないだろうが。普通はC、Dまで行けばいい方だろう。B、Aは天賦の才、それ以上ともなれば普通に化け物の域に足を突っ込んでる。俺はなりたくはないね。


 ランクが上がると嬉しい点はいくつか挙げられる。

 まずは知名度が上がること。これはまあ、当たり前だろう。俺としては勘弁したいが。

 次に、冒険者ギルドや特定の店で使える場所が増えること。要はVIPコースやら、特別な武器が置いてある場所も案内してくれるようになるとかだな。興味がないことはないが、今のところ自前の武器で十分だし、面倒事に進んで突っ込みたくもないので、これもあまり魅力ではない。

 最後に、優遇権。これは依頼を受けようとしたときに、同時にそれを受けたいやつがいたとする。すると、ランクが高い方が受けることができるようになるのだ。こういった権利のことである。他にも列への横入り、店へのツケ払いなどが含まれる。まあ、あんまり乱用しないことが条件だけど。こん中では一番魅力があるのはこれだろう。面倒が少なくなりそうだし。


 だが、うまい話には裏もある。ランクが上がれば、やらなければいけないことも増えるのだ。

 まずは、ランクに合った依頼を必ず2ヶ月に一度行うこと。S以上はなかなかないため、これは適用されないが、それ未満だった場合は必ずやらなきゃいけないわけである。要は、「怠けるな。働け」といった命令だ。これを守らなかった場合、罰金、もしくはランクの下降が行われる。

 次に、緊急依頼への絶対参加。これはS以上にも適用される。緊急依頼とは何かとは、後で説明することにしよう。これの罰も前のと同じである。ざっと挙げられるのはこんなところだろうか?

 あー、後優遇権の乱用での罰が上に行くほど重くなるのも、デメリットか。一度、それを使って無理やり女を犯そうとした馬鹿がいるらしい。それから乱用時の罰が重くなったのだとか。阿呆だなあ、そいつ。


 これで最後となったが、依頼の受け方だ。

 依頼は~ランク付けで分かれて、クエストボードというところに貼ってある。この依頼方式を通常依頼といい、一般的な依頼の受け方になる。ちなみに、通常依頼で受けられるのは自分のランクまでの難易度である。じゃないと、無駄に死人が増えるしな。妥当な判断だろう。

 次に、指名依頼。これは雇い主が冒険者ギルドから優秀なやつを指名し、依頼を受けさせるものである。当然、ランクが高いほどこれが舞い込んでくるわけだ。これは通常依頼と比べると、お値段も高くなるので注意が必要な依頼の仕方である。(そりゃそうだ、安全性と手数料の問題で)

 そして、緊急依頼。これはランクに関係なく、だれでも受けられる依頼である。ただしいつでもあるわけではなく、よほどの緊急事態の時にしか出ない依頼である。例えば魔族が攻めてきただの、竜が攻めてきただのである。

 最後に特殊依頼。これは名前の通り、特殊な依頼でランクの昇格試験などが含まれる。それだけしか知らん。途中でめんどくさくなったし。聞き流すことにしたのだ。それでも、ニーナよりかはちゃんと記憶してるが。


 話は長くなったが、何故俺がこんな説明をし始めたのか、不思議に思うやつがいることだろう。答えは簡単、意識を現実へと戻せばわかる。


 「だーかーらー!さっきから言ってるでしょ!?あたしは精霊で、こっちはあたしの契約者なんだからここに入れて、って!それにあたしたちを歓待して、サービスするべきって!」


 ぎゃおぎゃおとせわしなく飛び回りながら、金髪の耳の長いダンディーなおっさんに突っかかってく、どこぞの誰か。認めたくない……あれを俺の契約精霊と認めたくない………あまりの現実に天を仰いで、遠い目をしていたのだった。それにしても、シルフィ。お前、図々し過ぎやしないか?ジト目で睨むも、あいつは気付かないようだった。そこで、おっさんも苛立った様子でシルフィに言い返していた。


 「では、その証拠はあるのですかな?人間如きと契約するなどと……ただの妄言にしか思えませぬ」


 そう言った直後にこちらを睨んでくるおっさん。……隠す努力をしてほしいんだが。露骨に嫌悪の視線を向けてくるとか、どんだけ見下してんだって言いたくもなる。ただ、そういった視線には気付くようで、シルフィもそのおっさんへとまた抗議を叩きつけていた。そのおっさんもまた言い返しを続け、こっちとしてはもはや呆れしか感じない。どうしたもんか、と考えを巡らせていると、クイクイと袖を引かれた。そちらを見れば、不安そうな表情のニーナが俺を見上げている。


 「れ、レオン君……これ、どうしましょう?」

 「さあな……ほんとにどうすりゃいいんだか………」


 喧嘩を続けるエルフと精霊を視界に収めつつ、頭を悩ませるのだった。 

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