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元死神は異世界を旅行中  作者: 佐藤優馬
第1章 異世界転生編
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適正属性

 それから時は過ぎ、俺は5歳になった。孤児院での生活にも慣れてきた。孤児院はもっと貧乏であると考えていたのだが、そんな事はなく俺はすくすくと飢えることなく育った。前世ではこのぐらいの歳で人殺しをしたのだが、どうやらここではしなくてもいいらしい。そのことにほっとした。まあ貧乏でないのは理由がある。


 まず、院長であるルアン先生が病院的なものを営んでいることだ。ちなみに、ルアン先生というのは俺を森で拾ってくれたあの男性である。誰に対しても優しく、怒っているところなんか見たことがない。いつも笑顔を浮かべている感じ。みんな先生と呼んでいるので、俺もそう呼んでいる。この人のおかげで、俺の心は幾分か安らいでいた。感謝してもしきれないな。先生の病院(?)にはひっきりなしに人が訪れる。癒し手がどうやら少ないようで、尚且つ良心的な値段でやっていることもいいようだ。物で払ってもいいということもあるかもしれない。


 次に、10歳を超えた子供は村の手伝いをする。稼いだ金は、一部孤児院に支払われる。残りは孤児院を出る時に渡してくれるらしい。このシステム作ったやつ頭いいな。初めて聞いたとき感心したよ。


 最後に寄付金である。どうも先生は若い時は冒険者だったらしく、彼に助けられた冒険者たちが今でも金を寄付してくれてるのだとか。先生何したんだよと思ったが、この世界にはどうも魔法があるらしい。先生は魔法の中でも貴重な回復魔法が使えるのだ。そりゃ、感謝されるよな。


 そんな感じで普通に生きている今日この頃なのだが、今日は5歳の子供たちが適正属性を知る日らしい。俺は適正属性とは何かを全くもって知らないので、何をするのか全く分からない。そもそも魔法のことを何も知らないのだ。字の読み書きぐらい誰かに習っときゃよかった。先生読み書きできるみたいだし。そうすりゃ、本読んで知れてたかもしれないのに。

 そうやって俺が後悔している間に、先生が水晶球のようなものを持って来た。


「皆さん、この球に手を翳してください。球の色が適正属性ですよ。魔法については後日勉強しましょうね」


といい、先生は笑う。周りの子供たちは嫌そうな顔をしたり、嫌そうな声を上げていた。まあ、勉強が嫌いなんだろう。前世――いや、前々世とでも言えばいいのか?――では、俺もそうだったし。だが、今の俺としては願ったり叶ったりだ。正直、この世界のことを知らなさ過ぎる。魔法のことだけでも今のうちに知っておくべきだろう。

 先生の合図で、子供たちは次々と球に手を翳していく。変わっていく色は赤、青、黄、緑のようだ。


(適正属性だから赤は火、青が水、黄が土で、緑が風ってところか?)


 四種だけなら、RPGとかでありがちなそこら辺だろう。そんなことを思っていると、まだあったようだった。俺の前の女の子は球の色が白へと変化する。


(白?白は何属性だ?)


 周りの子供も首をかしげている。だが、先生は驚きの表情であった。


(どうやら珍しい属性みたいだな)


 そして、俺の番になった。手を翳すと、色が変わらない。無色のままだ。


(おいおい、故障か?勘弁してくれよ)


 先生もおかしいと思ったらしく、手を翳す。すると、色は白に変わる。


(故障じゃないのか?じゃあ、なぜ色が変わらないんだ?それと白は回復属性だったのか)


 先生の方に目をやると、彼は沈痛そうな顔をしていた。そしてこう言う。


「ニーナさん、レオン君。後で私の部屋に来てください」


 どうやら俺――レオンは呼び出しを食らうらしい。なんか悪いことしたか、俺?

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