~二話 はじめまして異世界~
どうやら私は貴族に生まれたらしい。
恐らく両親である男女の姿も把握した。どちらも私の見慣れた顔とは掛け離れていたが、とても優しげな顔をしている。
父親は小柄ながらもガッチリとした体形をしていた。
母親も小柄で柔らかな印象を受けた。さらに言えば若く、美しかった。
そのような母親からの搾乳は些か恥ずかしかったが、私は今は赤ん坊。何も問題は無い。
だが、私が寝ている横で致すのは如何なものだろうか。とはいえ、私も前世では似たような事をしていた。なるほど、あの時娘はこのような気分だったのか。申し訳無い事をした。
騒いでやろうかと思ったが、私は大人。空気を呼んで大人しくしていた。
数日経って、改めて分かった事がある。
いや、正確に言えば改めて分からなかったと言った方が正しいだろう。
「AIAI、OUIAO、OIOI」
これを聞いていただければ理解出来るだろうが、全く何を言っているのか分からないのだ。
どうにかして翻訳は出来ないものか。と数日黙って聞いていたが、全く分からなかった。お手上げである。
私は過去、色々な場所へ旅をした経験がある。なので、大体の国の言葉は分かっているつもりだ。
その私が、全く知らない言葉なのだ。
これが示す事実はそう。
私が転生した先は異世界だったようだ。
どうせなら元の世界が良かった。
私は生まれて初めて神を恨んだ。
恐らく私程早くに神に感謝と恨みを覚えた者は居ないだろう。
生後十日のことだった。
とりあえず三話までは今日中に。それ以降は週一かな?