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~十話 空を行くモノ~

 ボウッと空を眺めていると、ゴゥゥゥという音と共に何か巨大な物が空を通過した。

 まるで葉飛空器のようだと思ったが、それにしては巨大で重そうである。何より安定しすぎている。

「へぅう?」

 指を指しながら父を見ると、父は何を聞きたいのか察したようで、

「あれはね、飛行機というんだよ」

 と教えてくれた。

 なるほどわからん。普段使っているような言葉はなんとなく分かるようになったが、新しい単語は一体なんと言っているのかサッパリだ。

「沢山の人があれに乗って移動しているんだよ」

 分かる部分を繋いでいき、なんとかアレの機能を考える。人。乗る。動く。

 ……どうやら人が移動する為の乗り物らしいが……ハハハハハ、何を言っているんだい? あんなに巨大なものが人一人の魔力で動かせるはずがないじゃないか。

 あれはどう考えても重く、早く、真っ直ぐにぶれる事無く飛んでいる。

 浮遊魔法は自分を対象にするだけでもとてつもない魔力を使う。あまりにも燃費が悪すぎて、とても実用に耐えれるモノではない。それを人の重さ以上のものに適用させるのはとてもじゃないけど無理な話だ。

 浮遊魔法はいくつもの呪文を複合して発生させている。重力を操作して浮かせる魔法。強烈な風を間近に与え続ける魔法。少し浮かせてゆっくりと前に動かすだけで二つの魔法が必要だ。これに加速魔法や方向転換の風魔法、急激に止める為の引力操作など、一朝一夕で使えるものではない。

 そんな燃費の悪い魔法で人を動かすだなんて、あまりにも馬鹿げている。

 これはきっと親父殿が私に嘘を言っているに違いない。まだ幼く、何を言っても理解出来ないだろうと馬鹿にしているに違いない。

 私だって物の道理くらいは分かる。あんなものが空を飛ぶなど有り得ないのだ。

 だが、そう考えるとやはりあれは何だという疑問に戻る。

 考えられる妥当な所で言えばワイバーンといった魔物の一種だ。人間には到底扱えなくとも、空を自由自在に飛ぶ魔物はいる。中にはお前の羽じゃどう考えても飛べないだろうという理不尽な魔物が飛んでいたりもする。

 だからあれはきっと魔物なのだ。そうであれば納得出来る。そしてそれを操る者が居て、移動の手段として扱っているのだろう。

 前世では空を飛ぶ魔物は総じて凶悪で従える事など出来なかったが、この世界ではそれが可能らしい。

 きっとあの魔物が暴走したらとんでもない被害が出るぞ。

 私はあんなものには乗らない。もしも落ちたら助からない。

 そもそも死因からして落下死なのだ。前世ですら空を飛べなかったのに、この世界で空を飛べるとは思わない。

 そうだ。私は乗らない。絶対に乗らない。

 ……

 ……

 ……っていうか。

 ……

 ……

 高いところ怖い。

空を行くモノ(飛行機)


無理矢理自分の納得出来る理由をつける、この世の道理を分かっていない元エルフさん。死因が死因であるために、高所恐怖症になってしまったようです。

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