能力研究所(その他ver)14
死の王が鎚布の能力を用いて消えたところで彼は、スーツのネクタイを緩め、側にあったソファーに腰かけて溜め息をつく。
一息つくと同時に光に質量を持たせて、酷く高度な分身を投影。分身の自分に光通信で指示をだし、気絶したメンバーを介抱していく。そして本体である自分は、未だに使いなれていない最新鋭の通信機器でおぼつかない操作により連絡を取る。
「リークどうも、君の情報にまた助けられましたね」
レオンが片手で分身に全員分の紅茶を用意するよう指示しながら通話相手に感謝を述べれば、向こう側から笑い声が聞こえる。
『最近こっちの活動も激しくてね。それぞれの王も暗躍を始めてます。まだ我々、双頭の蛇は表に出れない。だから貴方たちに消えられては困るんですよ。あ、この前はうちの過激派メンバーがフライングして申し訳ないです』
「あぁ、あれはビックリしましたよ」
『でも奴らの能力は、把握されたんでしょ?』
「そうですね……分身心折られましたけど……」
『どんまい』
「そういえば、ちょっと待ってくださいね」
レオンは通話相手に待ってもらいながら、心臓を貫かれた赤芽に目を向け「もういいですよ」告げると心臓に穴が開いた赤芽は突然光の粒子になり、再び一つに収束してレオンの姿になる。赤芽に化けていた分身は、肩を回しながらボヤく。
「作戦とはいえ、気分が悪いですね。胸を刺されるより赤芽に化けると言うのがどうも」
「気持ちは察しますよというかリアルタイムで私も感じてましたしね」
レオンとレオンが話し合う不気味な光景だが、二人のレオンはヤレヤレといった様子で、分身がレオンに吸収される。
『もういいですか?』
「えぇすいません。本物の赤芽は、尋問の後に君に預ければいいですね?」
『はい。利用方法はふんだんに有ります。死の王が口封じに来るのは想定できる程に』
「彼女……会うたびに不気味になっていくんですよね……」
『というか、ゲート一時的にとはいえ死の王に奪われて良かったんですか?』
通話相手の心配はもっともだが、レオンは電話越しに凄く良い笑みを浮かべている。
「えぇ。鎚布君のゲートは、彼の意思を離れても繋げた場所に繋がってるんです」
『……何処に繋げてたんです?』
「ゴビです」
『死の王、キレませんか? それはそれで面白いけど』
「月に送らないだけましですよ。今頃、ゲートが閉じて困ってるとは思いますね。仮に誰かを傷付けていれば、こんな悪戯じゃないですがね」
『相変わらず性格悪いですね光の王。尊敬しますよ』
互いに通話でにこやかだが、実際にゴビに強制的にゲートを繋がれ、飛び込んだ死の王は、日光が肌を焼く砂漠で地団駄を踏んでいた。
「では、赤芽の身柄は後々に連絡したときに」
『了解です。最低限脳ミソがあれば良いんで、楽しんでください』
そう言って通話を切断したレオン。ちょうど厨房から紅茶の香りが漂ってきたので、掃除していた分身に気絶したメンバーを起こさせる。そして、彼も光の粒子となって別の場所にいる本体の元へと還っていった。
分身を吸収した筈の本体は、現在別の任務を継続していたのだった。




