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Efectors-エフェクターズ  作者: STTT
能力犯罪編
8/87

能力犯罪(良壱ver)

某月


 東京都新宿区に建つ巨大銀行にて、集団による大規模な銀行強盗が決行された。5階建ての大型銀行に押し入った犯行グループは8名。全員が武装しており、覆面をつけているために身元は不明。厳重なセキュリティーを誇る銀行だが、強盗団の全員が能力者らしいと言う報告があり、警備システムは無効化された模様。銀行内の人質は33名。


 既に警察の特殊部隊が制圧に乗り出すも、強力な能力者によって阻まれ人質の救出は困難となった。そこで警視庁能力犯罪対策科は、SKS学園に緊急招集を掛けた。SKS学園生徒会執行部、能力者の学び舎で特に優れた能力を持つ人材を集め、学内の安全や未登録能力者による犯罪を阻止する組織である。

 警察から連絡を受けた生徒会メンバー3名。書記・虹 草子、雑務・板石 鋼太郎、副会長、小柴 楓が防弾繊維を織り込んだ制服と生徒会執行部の腕章を巻いて、送迎の車から降り立つ。


「おぉ、よく来てくれた。見ての通り、犯人は高レベルの能力者集団でな。頼めるか?」 


 一人の現場指揮官の警察が、彼らSKS学園生徒会メンバーに頭を下げる。彼等の代表として楓が「お任せください。早期解決をお約束します。では行こう草子さん、鋼太郎さん」と答え、2人を連れて銀行に近づいて行く。


「草子さん」  

「なに?」

「銀行強盗にあっている銀行のブレーカーが、偶々起こることってありえますか? 後、人質に向けられている武器全てが故障する事も」


 黒髪眼鏡でおさげの少女に楓が意味を含めて問うと、彼女は何処からともなく本を取り出し、ペンで持って「○○銀行、銀行強盗の最中に、能力者が侵入。その際に銀行内の全ブレーカーが落ちる。さらに人質に向けられた兵器全てが不具合を起こして使用不可になる」と書きこむ。だが、犯人全ての武装を無かった事にはできないと悔しそうな表情をする。

 そして、彼女達が銀行の入口に踏み込むと同時に、銀行内の全ての電源が落ちる。

「行きます。鋼太郎さんと私は前衛で敵を片付けます。サポートをお願いします草子さん」

「よっしゃ!」

「うん」


 狼牙棒を構えて、楓が能力を発動する。効果は、自信の身体能力の強化。強化された脚で地面を蹴って一気に加速する。それを待ちかまえていたように強盗グループの3名が手に持つMP7機関銃を乱射する。


「はぁああ!」

「草子は俺の後ろにいろ!」


 全ての弾幕を強化された動体視力で見切った楓は、狼牙棒を激しく回転させながら、弾丸を弾いて突き進む。彼女のやや後方で、身体の皮膚を手にもつ最新鋭の強化金属に変化させた巨漢が後ろのおさげの少女の盾になって突き進む。彼の皮膚に弾丸が命中するも、彼の皮膚を傷つける事は出来ずに弾かれる。


「でぇええい」

「おらぁ」


 前衛に飛び出した二人が、最寄りの銃を持つ犯人に攻撃を仕掛ける。骨をも砕く威力で振るわれた狼牙棒が犯人の左腕を殴りつけ、機関銃を狼牙棒の柄で砕く。血まみれになった左手を押さえながら犯人が痛みに悶える。

 その横で鋼鉄の拳を鳩尾に受けた犯人が床に崩れていた。残る覆面の一人が「その腕章、あの学園の奴らか! だが、俺達【選ばれし者】に盾付いた時点でお前らは終わりなんだぜ」と声を上げ、掌を生徒会メンバーに向ける。その瞬間、男の掌から毒々しい色をした無数の手が彼女達に向かって伸びる。


「2人は下がれ!」 

「おう」

「ん」


 楓の指示に従い二人が後ろに飛び退く。逆に楓は、自らの強化を高めて前に飛び出す。男の発生させた手は、30本にも及びそれぞれ意思を持ったように楓に向かってくる。体勢を低く構えて地面スレスレを走る楓の後を追って、掌が床に触れる。すると、床が見る見るうちに溶け始め、不愉快なガスを発生させる。


「毒の手を発生させる能力ですか。めんどうですね」

「ちょこまかにげるんじゃねぇ!」


 脚力と動体視力を強化して、時速100キロを超える速度で銀行内を走り回る彼女に、男の毒の手は振り回されていた。徐々に速度の上がる彼女を覆面は遂に目で追いきれなくなる。そして、キョロキョロと辺りを探した時、楓はすでに彼の後ろにいた。


「手加減は無用!」 

「がぐ!」


 一切の迷い無い回し蹴りを顎に受けた覆面は、一瞬で意識を失い崩れ落ちる。それと同時に彼の出していた毒の腕が消滅する。だが、楓達の任務は終わってはいない。

 まだ、銀行内には人質と5名の犯人がいるため気を抜けないでいた。


「草子さん、彼らに麻酔をお願いします。起きられたら面倒です」

「ん」


 楓の指示通りに、草子が腰のポシェットに入った注射針を取り出し、気を失った覆面男に突き刺す。この麻酔を受けた者は、24時間目覚める事は無い仮死状態になる。その期間以内に能力犯罪者を収容施設に送るのが彼女達の仕事である。

 彼女達生徒会にとって今回のような事件は珍しくも無く。今回の事件も後20分もすれば犯人を殲滅して終わるはずだった。少なからず、迷うことなく二階への階段を駆け上がって行く3人はそのつもりだった。


 だが、時代や運命はまるで流れる水のように、次から次に何かが起こる度に流れを変えていく。今回の事件は、その新たな流れの始まりだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー2時間後

マン・ホール島SKS学園3ー1組教室


丁度2時間目の授業が終わり、全員が昼御飯を学食や机を囲んでお弁当を食べようと其々移動している。


授業を終えた数学教師も教卓から荷物をもって、職員室に向かおうと教室を出た。一方で教卓の一番前に座り授業中から昼休みの現在まで、突っ伏している青年、小柴良壱。理系は無理だと諦め、少しでも体力を使わない事にしている彼を注意する教師も生徒も少ない。例外で言えば彼の従姉である楓くらいなものである。


学園内での良壱の評価は、怠惰でやる気が感じられない生徒である。ただ、補修などは面倒で平均点は取るために普遍的な生徒とも言える。唯一の特徴は、現副会長と酷似した能力の持ち主で、運動能力だけでいえば生徒会長にもひけを取らないところである。


しかし、彼は問題や行動を起こすのが嫌いで、例外を除けば、能力を行使しない宝の持ち腐れである。

昼休みに入り弁当箱を寮に忘れた彼は、このまま寝て、放課後に寮で食べようと考えていた。意識を眠ることに集中使用とした矢先。


教室の外で、数学教師と何やら慌てている国語教師の姿を見つけた。他の生徒も何人か気がついている様子。彼は面倒だと思いつつ、能力である強化で聴力を格段に上げた。


「まさか生徒会が能力犯罪者に……」

「東京都の○○銀行で、能力犯罪がありまして。どうやら、相手にも強力な能力者が居たようです。それに庶務の板石君が重傷を負ったと」


会話を盗み聞きして、今回ヘマした庶務の薄幸そうな巨漢を思いだし、今度見舞いでも持っていってやるかと考えた。生徒会は危険と隣り合わせである。今回も運が悪かったと言うことだと眠りに入った。


「書記の虹君が現在も人質で、もっとも重大なのが」

「なんです?」


書記のお下げ眼鏡とは面識がなく人質ということは、相手が余程強く今回は、生徒会の上司部が派遣されるなと考えた。彼の従姉やもう一人の副会長などが追加されるのかと彼らに同情した。

死んでほしいとは思わないし、無事でいてほしいとは思うので応援はしようと思った時だ。


「小柴君が、犯罪者に加担し板石君や警察部隊を壊滅させたらしい。さっき見た映像では、間違いなく彼女がパトカーを蹴り飛ばしていた」

「品行方正で生徒の見本なあの娘が!?信じられません。何故彼女が」


派手に驚いて数学教師が信じられないと言ったとき。バァンと爆発音が教室で響き、暴風が発生した。教師達が教室を覗くと、良壱の居た席の床から窓まで、炎の足跡がくっきりと残り、それは運動場にも広がっていた。


---------SKS学園外壁


楓の異変を耳に入れた良壱は、身体強化を連続で行使して音速を越えた勢いで全力疾走していた。すぐに目の前に島を覆う外壁が見えたので、地面にクレーターができるほど蹴って一飛びで30mはある外壁を登りきる。


外壁を登ると、周囲が海に包まれ唯一の陸との連絡網は、リニアトレインの線路だけだった。そこを走って行こうと壁から、飛び降りる直前。マンホールの蓋が彼に飛来した。


「またあんたか」

「えぇ、私ですわ。何処に行こうとしてるのかしら?」


飛来したマンホールを飛んで避けた良壱。すぐさま投げた主の生徒会長を睨む。彼と同じく外壁を上ってきた彼女。愛用の武器であるマンホールを手元で遊ばせながら微笑みかける。

微笑んでいるのに威圧から、良壱は迂闊に動けなくなった。


「楓の所だ」

「まぁ聞いたようね。でも生徒会でもない貴方の学外での能力行使と外出は認められないわ。諦めて帰りなさい」


諦めろと言う生徒会長の言葉に、良壱も殺気を込めた目で睨み返す。だが彼女は動じることなく続ける。


「今先生方が副会長に応援を要請しました。楓さんに何があったかは知らないけれど、同じ副会長の彼なら何とかしてくれますわ。それに最後は私が直々に楓さんを止めることになりましょう。貴方は正直必要なくってよ」


生徒会の問題は生徒会で解決すると述べる彼女。確かにもう一人の副会長と目の前のドリルなら、楓を力付くにでも制圧できる。だが、同時に楓を敵として見ていることの証明でもある。

良くて大怪我、最悪死ななくても五体満足ではいられない。特に目の前のドリルは、学生の味方だと公表している。正しくそうなのだろう。

だが彼女の守りたいのは学校であり、全生徒だ。楓一人に全力とはいかない。


為ればこそ、良壱は止まれなかった。


「無断外出は許しません‼」

「失せろドリル」


化物(生徒会長)を前にして、今現在出来る限りの強化で駆け出した彼。時速200キロを瞬時に叩きだし凄まじいGと風圧を皮膚、筋肉、骨、内蔵、動体視力の強化で防ぎながら走る。しかし、生徒会長はそれに楽についてきて、彼目掛けてマンホールを投げた。


時速300㎞に到達した彼ですら、避ける事も出来ないマンホール投擲。瞬時にとれた行動は、右腕を強化し続け、それを殴ることだった。

拳でマンホールを殴った時、バチバチと溢れ出るエネルギーが彼を襲い、激痛が走る。それでも強化を続けて拳とぶつかるマンホールを少しづつ押し返した。

それを見ていた生徒会長は、腕を組ながら「呆れた」といい指を弾いた。


「ぬお!?」


指を弾くと同時に、マンホールのエネルギーが爆発。良壱の体を吹き飛ばした。そう、島の外側……東京の方角へ。


「あら、無断外出ですわね。戻ってきしだいお仕置きですわよ。それと私の生徒会腕章を盗んだ罪も合わせて、覚えておきなさい」


砲弾のように吹っ飛んだ彼に、生徒会長はそう言い残して、外壁を飛び降りて帰っていった。吹っ飛ばされた彼は、着地に備えての脚力強化といつの間にか腕に巻かれた能力使用許可証がわりの腕章を見て、化物がと悪態をついた。

キャラ紹介


名前:虹 草子 にじ・そうこ

性別:女

年齢:17

クラス:3-1

能力:書いた事が本当になる

能力内容:能力で出した本に出来事を書き込むと本当に起こる(時差3秒) ただし絶対に不可能な事(非現実的)と人を操る事はできない

容姿:黒髪眼鏡おさげ 150cm 45kg

性格:おとなしめで声も小声か無口 照れ屋

武装:万年筆(壊れない)


・本の虫 生徒会の仕事が無い時は図書室に入り浸り

・生徒会の役員なのに影が薄いせいか生徒に気づかれていない

・あだ名 書記子

・体力は平均以下 ただし隠れるのはうまい


名前:板石 鋼太郎

性別:男

年齢:18

クラス:3-5

能力:変換

能力内容:自分の触った物質に最長10分間体を変えられる

容姿:武道系大男

性格:基本のんびり

武装:鉄片


・能力を使ったらつぎに変えたり戻したりするには1分最低待たないといけない

・苦労人

・ちゃんとどっちかの手のひらでさわらなければいけない




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