能力研究所(その他ver)12
次回の投稿は3日後です。
赤芽と呼ばれた男を回収したレオンは、以前銀行で遭遇したSKS学園の生徒を引かせて、ある場所に向かっていた。
彼は既に放棄された研究移設の階段を下り、目的の場所に訪れる。そこは、まるで怪獣同士が争ったかのような被害を受けていたフロアだった。肩に軽々く大の大人を背負いつつそのフロアに開けられた巨大な穴をくぐると、彼の視線の先に崩れた瓦礫が見つかる。そして、彼の足元には気を失った男女が倒れていた。
「彼等は、SKS学園に保護された方がいいですね」
足元に倒れる男女を放置したまま、レオンは右手を瓦礫にかざし、瞬時に発した光線で瓦礫を粉砕する。粉砕された瓦礫の下には、血塗れの人物が倒れていた。それは、先程良壱の一撃を受けた宮原だった。
「随分とダメージが酷い。けれど、息はまだあるようですね」
「うぐ」
赤芽を雑に床に投げ捨てると、膝を折って辛うじて息をしている宮原に手を伸ばす。そして、容体を確認する。そして、
「鎚布君。癒花さんと筒花さんを此方に転送してください」
誰も答えない中、突然誰かに指示を出したレオン。するとレオンの背後に空間を越えるように無数の蝶々が舞い始める。その蝶は、本物の蝶ではなく蝶の形をした何かで、それぞれが羽ばたきながら集まり3m程の巨大な蝶型ゲートとなる。
紫と赤の幾何学模様のゲートから、緑色のフード付きコートを纏った時部物が現れる。そして、彼の両腕の袖から新たに無数の蝶型のゲートが放出。先程と同じく数多くの蝶が集まって二つのゲートが生まれる。
「およびになってレオンちゃん?」
「何? 誰か壊れない愛玩人形でもくれるの?」
黒髪黒眼のツインテールでゴスロリ衣装な中学生くらいの少女と、見た目は小学生低学年くらいだが服装は、大人っぽい服を纏った不束筒花がゲートから現れる。
ゴスロリ少女は、両手に持った剪定ばさみをガチャガチャと何度も握り、壊れない愛玩人形と言う者を探すも「いいえ、違いますよ癒花さん」とレオンの否定を聞いて落ち込む。
「貴方達には、この宮原君の傷と心の傷を修復して貰いたい。彼は我々選ばれし者に必要な人材です。そして、我々の誕生目的であるで能力者に対する差別の被害者だ」
レオンがそう言うと腰に手を当てた不束が、「仕方ないわね。レオンちゃんの頼みじゃことわれないわよ。それより今夜あたり私と熱い夜を過ごさない?」とレオンの指示に従う意思表明と誘惑を同時に行った見た目幼女の成人女性。
「まぁママが言うなら従うけど……」
そう言ってくちびるを尖らせる癒花。だが、彼女がママと呼んだ筒花の意向に逆らう気はないのか、すぐさま両手をボロ雑巾な宮原に向ける。そうすると彼女の周囲から突然植物の弦が生い茂り、その弦は宮原の体を優しく包み込むと突然巨大な蕾となって彼の身体を呑み込む。
「ふぅこれで2日もしたら完治だよ。けど、元々身体はボロボロみたいだね。それに脳にもダメージが残ってる。これは治せないよ?」
「構いませんよ。ありがとう癒花。筒花さんは、彼が目覚めた時、精神に強制的なドーピングをお願いします。自分を強く保つ これを彼に強要してください」
「なに? 報告書通り精神が不安定なのね」
「えぇ。鎚布君。彼をこのまま転送して貰えるかい? 本部ではなく君の鏡面空間で安全に回復させたい」
レオンが後ろで黙って経過を見送っていた男に尋ねれば彼は、レオンを見据えてこう言った。
「構わない。だが、そちらの男はどうする?」
「そうですね。こいつは能力者の風上にも置けない屑です。どういった処理をしようか悩んでいたんですが……」
倒れている赤芽の事を尋ねられ、両腕を組みながら真剣に悩むレオン。彼にはとある理由から赤芽を丁重に扱う理由はなかった。むしろ能力者をおもちゃのように扱うこの男を生かしておく気も皆無だった。けれど楽には殺したくないと言う彼の個人的な感情が無駄に赤芽の寿命を引きのばす。
「……」
「……」
そんな彼を見た目幼女が頬笑みを向け、隣のゴスロリ少女が剪定ばさみを掲げながら熱い視線で物を語る。それに気が付いたレオンは微笑みながら、彼女達の願いをかなえた。
「そうですね。貴方がたに彼の身柄は預けます。好きに、遊んでください。けれど、情報だけは引き出してください。本部が汚れるのは嫌なんで、鏡面世界で頼みますね」
「うふふん。やったー!」
「うふふふ。刻んで治して 切って治して 溶かして治して 刺して治して 折って治して ……期待が膨らむ夢膨らむ!」
歓喜の声を上げた2人の女性。彼女らに処遇を任された赤芽の末路は語るに及ばず。どう転んだ所で人としての死を迎える事は出来ない。それだけはハッキリしていた。
想像どうり展開に再び蝶を放出してゲートを展開した。それに蕾に包まれた宮原と赤芽が飲み込まれ、筒花と癒花が入ろうとした矢先。
「待てよ」
異空間に入る前に突然彼らの前に男が現れる。声が聞こえた際にその方向を全員が見る。そこに居たのは幾分か傷を負い草臥れた黒城だった。既に指を鳴らす体制を整えこちらを敵意を持った目で睨む。
「選ばれし者だよな。お前らには利用された恨みがあるんでな……おっと動くな」
突然現れた黒城に癒花が剪定ばさみで襲い掛かろうとすると、それより早く指をならした黒城の音響手榴弾の爆発が彼女の足元で爆発する。
それにより吹っ飛んだ癒花の体を優しく受け止めたレオン。そして微笑みながら彼女と隣で機会を伺っている筒花の前に出る。
「オマエがリーダーか?」
「どうでしょうね。鎚布君、彼女たちを頼みます。この男は私が始末します」
「……その必要はない。エリナが来た」
目の前のスーツの男のただならぬ気配に警戒し一ミリも注意を裂かなかった黒城。戦いなれた彼だからこそ、レオンの隣で二人の女が逃げるためのゲートから突然飛び出したオレンジに煌めく3本の矢に対応できた。
「音響手榴弾!!」
突然の矢に指を弾いた音を何百倍にも強化した音爆弾で対応。全てを撃ち落とした彼が見たのはゲートから飛び出したレザースーツの無表情で目に意思を感じられない女。
その人物は、右手を前に伸ばし、そこからオレンジ色の煌めく閃光を弓に変形させ、その弦を引く。すると弓と同じくオレンジに煌めく閃光の矢が形成され、彼女が掴み手を放す。さすれば放たれたオレンジの謎のエネルギー矢が発射される。
その矢は空中で幾重にも分裂して、黒城に襲いかかる。黒城は音響手榴弾を足の裏で爆発させ擬似的な音速跳躍でそれを回避するが次から次に矢が放たれる。
「ふざけんな」
既に放たれた矢は、8度の発射で分裂した数も会わせて800を越える。その全てが壁や床を貫通し、膨大な熱量で命中箇所を溶かしていた。
エリナと呼ばれた少女は、何時までも無表情で淡々と黒城を追い詰めるが、黒城が反撃で音響手榴弾を彼女の足場に向ければ、何かを察知したのか横に跳ぶ。だが、跳んで受け身を取りながらも弓を引いて、止まることのなく矢を射る。
「く」
そして、ついに黒城の肩に矢が刺さる。すると全身に激痛と猛烈な熱気が発生する。まるで電子レンジで内側から蒸発させられるかのような苦しみが、黒城に苦い顔をさせる。ここに来る前に魔王の音響で体を強化したから耐えられる一撃。だが、それでもこの攻撃は不味いとすぐさま音響手榴弾で自分に刺さった矢を爆発させる。もちろん黒城も無事ではなく、ダメージが嵩む。
黒城は、妹を連れてこなかったことを後悔していた。彼女のサポートがなくても戦える自信はあるが、今回ばかりは部が悪い。これは相手の数を見誤ったかと先に立たない後悔を募らせる。
「けどよ!」
音響手榴弾を足の裏と背後で爆発させながら、急加速する黒城。その速度に多少反応が遅れ気味のエリナは、矢を放つタイミングが遅れる。
「そこだ! 音響手榴弾!!」
矢を全て回避した黒城は、エリナの背後と天井を爆発させた。これまでの矢と音響手榴弾の応酬で互いに移動させあった結果。黒城は勝機を見いだして爆発した瓦礫で止めを狙った。
彼女の持つ弓と矢では防げない瓦礫。回避しても前にしか進めないエリナの足元には既に黒城が狙いを定めている。将棋であれば詰みであ
る。
「な、しま」
だが、無表情なレザースーツの少女は、オレンジに煌めく弓矢の形を二振りの蛮刀に変形させ降り注ぐ瓦礫の中から危険な物を溶かして切断した。その動作足るや軽やかで、ほぼ完全に瓦礫での奇襲は無効化された。けれど音響手榴弾で攻撃を仕掛ければいいと舞うようにして瓦礫を斬った彼女が背中を見せたとき指を鳴らした。
だが、彼女の髪から300を越える矢が弓を引く動作もなく発射された事実に最大威力の音響手榴弾でガードする行動をとった黒城。別に弓矢以外にも変形できるなら確かに弓などなくとも矢だけ飛ばせばいい。そんな事実すらエリナが執拗に弓を射る動作を行う演技のせいで黒城のなかには無かった。
最大威力の音響手榴弾で無数の矢は吹き飛ばせたが、黒城の体も同時に近距離での爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。
「エリナ、いきますよ。彼も部が悪いことは察している。これ以上此処に居れば面倒なことになります」
「了解。任務の遂行を最優先しますマスターレオン」
エリナと黒城が戦っている間に筒花と癒花を避難させたレオンが最後にエリナを迎えに現れた。そして、吹っ飛んだ先の柱の影に隠れて様子を伺う黒城を放置することを言い渡し、エリナもそれに従った。
そしてエリナともどもゲートを潜れば、蝶の形をしたゲートは細かな蝶々となって何処へなりとも飛んでいった。
レオン達がその場から消えたことで一息ついた黒城は、柱にもたれ掛かりながら深呼吸した。
「結構戦闘タイプの能力者も多いみたいだな。SKS学園に続いて選ばれし者も層が厚い。あいつらは一体なんなんだ?」
戦闘を終えた黒城の問いに答えるものは誰もいなかった。その後、地下に向かった黒城を追って訪れたメンバーと学園や警察機関が能力研究所に家宅捜査のために乗り込み、誘拐された被害者などがそれぞれ保護された。
名前:不束癒花
性別:女
年齢:17
所属:???
能力:癒花
能力内容:地面や自分の体から植物を生やす。それで攻撃や拘束もできるが、最も特徴的なのは、植物が精製する巨大な白い花に包まれた人間の傷を癒す事が出来る。四肢欠損レベルなら1時間で完治する。
容姿:身長150 黒髪黒眼のツインテール。ゴスロリな衣装を好む。
性格:ヤンデレ。相手を拘束して自分で傷つけ。それを癒す事を喜びとしている。
武器:剪定ばさみ100 投げてもよし 刺してもよし 斬ってもよし 切ってもよし の便利アイテム。




