能力研究所(早坂ver)4
「ッ!?」
飛んできた銃弾をよけながら銃声の主を見る。そいつは俺が操られていたときに 良壱と雪のデータを見せてきた男だと思う。しかしその男は最初に見たときよりも目が虚ろでどこを見てるかわからないような有様だった。
おそらく意識がない状態で操られてるのだろう、と目星をつけながら全員で階段を上ろうとする。
「だ~か~ら、上らせないって言ってるでしょ!」
「させない!」
「ちい!?」
また拳銃を撃ってきたが、雪が自分たちと相手との間に氷の壁を精製し防ぐ。銃弾を防ぐことはできたがその壁自体は急ごしらえでそこまでの厚みはない。
「急ぐぞ!外に出ちまえばこっちの勝ちだ!」
「そんな簡単に行かせないよ?」
「な!?」
走っていこうとした矢先に、目の前に会ったはずの壁が溶かされた。おそらくあの操られている男が炎系の能力持ちだったのだろう。
銃が矢継ぎ早に打たれるので、たまらず階段近くの壁に隠れる。そのときにあたりを確認する。
周りにはさっきまでの騒音を聞きつけたのか、たくさんの機械が集まってきていた。
このままでは全員殺される。そう思い、雪に先に行かせるように指示しようとしたが、
「哀原、楓をつれてお前らだけ先に行け。」
良壱が先に言った。
「!?だめです!二人だけじゃ銃に対応できません、むしろ怪我をしている良壱君が楓さんを連れて先に行くべきです。」
「俺だってそうしたいさ、だが今の俺が連れて行ってる途中にあの機械に会ったら一発でアウトだ、守りきれん。だから哀原頼む。」
「大丈夫だ雪。さっき見たように、俺らはそれなりに連携だってできる。だからあんな奴には負けない。だから頼む。」
俺と良壱の思いに答えたのか「わかりました。でも絶対に死なないでください!」そういい残し、壁を作り一瞬の間に階段を上っていった。
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「さて良壱、久々の大物だが行けるよな?」
「問題はない」
俺の質問に良壱は鼻で笑いながら答える。そのわかりきった反応に笑いながら俺は言う。
「ハッ、よし俺に合わせろよ良壱?」
「笑わせんなよ、お前が俺に合わせろ早坂」
二人で拳をたたきながら言う。それを待ってたかのような反応で相手が話しかけてきた。
「話は終わったかい?ところで物は相談なんだけど、君たちここで働かない?高級優遇の各種社会保障完備で結構いいと思うんだけど?」
「しね」
「却下だ」
そう返しながら俺と良壱は男を操ってるであろう、今話していた奴に襲い掛かる。
その速度は、陸上選手もびっくりするような初速度だった。しかし相手は「残念だ。」と手で顔を覆い残念そうにしてるだけだった。
何のつもりか知らないが、周りに駒が一人しかしないこの状況で、行かないわけがない。
そう思い俺たちは殴りかかった。が
「なら、実験動物になってもらおう。頼んだよ大嶽君♪」
そういうと、先ほどまで炎を放ったりしてた男がまるで盾にでもなるように出てきた。
「邪魔だ!」「どけ!」
出てきた瞬間に俺は大嶽を蹴るが、わかってたかのように右手の拳で叩き落される。そこに腕を振り切った隙を狙い、良壱が礫を飛ばしながら近づく。
普通なら反応しきれずに拳か瓦礫のどちらかを食らってしまうだろう。
そう、普通ならだ。
大嶽は飛んできた瓦礫を腕を振り切った反動を使い、体を縦に一回転しながら踵落としのように足を振り落として瓦礫を叩き割ったあとに、その微妙に前かがみになった姿勢のまま良壱の腕をとり腕をひねる。そして
「ど~ん」
男の声とともに膝で叩き折られた。
普通ならここで腕を折られた衝撃に悶絶するだろう。だが痛覚を消した良壱には関係ない。
腕を折って若干油断してるように見える大嶽相手に、良壱は動き出す。
「潰す!」
そう宣言しながら良壱は折られてない左腕を使い体を動かし、遠心力の乗った足払いで大嶽をこかす。
その様子を見た男は驚きながら銃を良壱構える。だがこの展開になることがわかりきっていた俺は男に接近する。
「「つぶれろぉ!」」
俺と良壱はほぼ同じタイミングで蹴りを放つ。
「ガッ!?」
「ざんねーん。」
しかし食らったのは大嶽だけだった。男はいつの間にか近くに寄せていたロボを盾にした。そのロボットは胴体を貫通され、役目を終えたかのように動かなくなった。
男に食らわせられなかったのは残念だったが、それでも大嶽は内臓破裂の重症でもう戦闘中には動けないだろう。
その大嶽の様子を見て男は「う~んこのやくたたず。」そういい馬鹿にする。
自分が操ってそのようにしているのに、そんな事を吐く男に苛立ちを覚えながら対峙する。
「冷静になれ早坂。そいつ一筋縄ではいかない。」
「わかってる。」
良壱が俺をたしなめながら隣に来る。
「あらら、二人とも来ちゃったか~これは厄介だな。」
「だまっとけ。」
相手のとぼけたような声を無視しながら俺は突っ込む。良壱は大嶽から奪った銃を使い発砲する。しかし手に自動小銃を持つ機械に食い止められた。
片手が銃で埋まっているのに、何にも弊害のないかのように片手でこちらの相手をしてくる。かなりいいAIのようだ。
抜けられない様子を見て男は笑っている。
「やだな、こっちにこないでよ暑苦しい。」
「そうか、ちかづかれたくなかったのか。ならこれでいいだろ?」
俺はそういいながら機械に突っ込んでいく。相手は機械特有のワンパターンな迎撃ではなく、その場その場で最適解を選んで行動してきていた。一人で突破するのは難しいだろう。
だがそれは一人ならだ。
「早坂、奪え!」
そう言うと良壱は機械の脛、胴、腕をめがけて銃を放つ。それに反応して機械は体を半身にするようにして避ける。
「おうさ!」
俺は良壱に言葉を返しつつ半身になった機械の持ってる銃を腕ごと奪い取り頭を飛ばしたあと、男に向けて銃を放った。
「くたばれ!」
「ちぃ!」
男はさらに追いついてきた機械二台を使い、盾にしつつ襲わせてくる。
だが結構いい銃なのか、機械は面白いくらいにどんどん装甲がへこんでいき、しまいには重要部分の破壊に成功したのか動かなくなった。
それを見ていた男はイライラした様子で吐き捨てるように叫んだ。
「なんでこんなにうまくいかないんだよ!」
「んなこと俺が知るか!」
「まったくだ。」
もうあたりには今まで相手をさせられていたロボットはいない。すべて壊しきったのだろう。
「ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!!俺はどれだけこの研究に命かけてきてるんだと思ってるんだよ!?俺はこの研究のためにすべてを投げ出してきたんだ!なのに、なのに!!何でお前らは俺の邪魔をするんだぁ!!!!」
男は血の涙でも流すかのように、俺たちに呪詛を吐いてくる。その様子を見る限りこいつは屑なりに命張って生きてきたんだろう。
だが知るか。こいつは今回の事件の黒幕だろう。そんな奴に同情する余地など一ミリもない。
そんな様子の男に良壱は近づいていった。
「そんなこと知るか。お前は俺だけでなく楓を巻き込んでいるんだ。だからお前は潰す。何があっても潰してやる。だから覚悟しろ。」
良壱は男に近づいていく、あいつはまるで死神のような雰囲気を漂わせていた。殺す気なのだろう。本来は止めなければいけないのだろうが、足が動かない。
「ひぃ!?くるな!くるなぁ!」
良壱は無言で近づいていき足を頭を狙うかのように上げる。そして
「やめなさい。」
足が下ろされた先には紅い花ではなく、光の剣があった。
それに納得の言ってない良壱はレオンに文句を言う。
「なんでじゃまをするんだよ。」
「あなたには早すぎるからですよ。それに。」
気絶した男を担ぎながら言う。
「私もこの類の人間は許せないのですよ。」
なんでもないかのように殺気のこもった声で言い放った。
「わかった。」
「おや?物分りがいいですね?」
「ああ、今お前と戦っても絶対に勝てないからな。」
「なるほど、ではまたの機会に。二人とも今度会うときを楽しみにしていますよ。」
そういうとレオンは地下に向かって行った。




